MSZ

「渚カヲル、新たな適格者フィフスチルドレン・・・・」

 真夜中のMADの研究室、リツコはカヲルの資料を見つめていた。

「渚・・・・カヲル・・・・・」

 カチッ!

「ふう〜〜〜」

 資料を置くとタバコに火をつけ暫しの休憩、時計を見ると3時を回っている。

「うふ、うふ、うふふふふふふふふふふふふふ

 連日の徹夜続きでハイになったのか突然笑い始めた。

「渚カヲル、また一人Gの世界に引きずり込めるわ」

お〜ほほほほほほ〜〜〜〜!

 真夜中のネルフにリツコの笑いが木霊した。夜中に不気味な笑い声がする、ネルフ七不思議の一つである。

 

 

 

 

 

 

 

「シンジ君、残念だけどお別れだ」

「えっ?カヲル君どうして」

「僕には使命があるんだ、行かなければならないんだよ」

 出会いがあれば悲しい別れがある。カヲルはシンジに別れを告げる、それは永遠の別れかもしれない。

「カヲル君・・・」

「シンジ君」

 見詰め合う2人、自然と2人の瞳に涙がにじんでくる。

「さよならシンジ君」

「カ、カヲル君〜」

 ドカッ!ドゴッ!!

「くっさい芝居してんじゃないわよ!このバカ共!」

「痛いよアスカ〜〜〜」

「相変わらず乱暴だね」

 2人の芝居?はアスカの乱入で幕を閉じた。今は学校、屋上で昼食を取っていたのである。

「ぬぁにが使命があるですって〜〜?単なる実験じゃないのよ、さっさと行きなさいよ」

 そうカヲルは使命と大げさに言っているが昼から一人だげ起動実験が予定されている。

「アスカ君には実験かもしれないけど僕にとっては使命なんだよ、シンジ君と離れ離れになる・・・ふっ赤木博士も残酷な事をしてくれるよ」

「カヲル君・・・・」

 カヲルの言葉に微かに頬を赤らめるシンジ。その姿を見たヒカリは・・・・

いや〜!不潔!不潔よ〜〜〜!!渚君と碇君ってそんな関係だったの?委員長である私が今まで気がつかなかったなんて不覚だわ、でも2人共顔が中性的だし似合うかも・・・キャ〜!私ったら何を言っているのかしら〜〜!」

 耳まで真っ赤に染め顔を両手で隠しイヤンイヤン自分の世界に入る。

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 その場に居たアスカ、シンジ、カヲル、トウジ、ケンスケは呆れて言葉が出なかった、レイを除いて・・・

「お弁当おいしい・・・・ぽっ」

 シンジ特製お弁当に夢中であった、一口食べるたびに目をつぶり味わっていた。

「ほら、カヲル!さっさと行きなさいよ、ヒカリが汚染されちゃったじゃないのよ」

「洞木君は妄想癖が凄いね、尊敬に値するよ」

さっさと行け〜〜!

 ドケシッ!

 アスカに蹴られ屋上から締め出された。

「いたたたた、しょうがないな行くとしよう」

 蹴られたお尻をさすりながらネルフに向かうカヲルであった。

 

 

 

 

「こんにちは博士、早速始めましょう」

 MADの研究室に呼ばれたカヲル、正面にリツコが座っておりレポートらしき紙をペラペラめくって目を通していた。

「そうね、始めるわよ。はいこれ」

「?これは何ですか?」

 移動するかと思いきや渡されたのは厚さ10cmはある本であった。

「ニュータイプ用の台詞よ」

「台詞?」

「見てみなさい」

「はあ・・・」

 意味がわからないカヲル、適当に開いて読んでみた。

「粛正してやる・・・・?これは」

「あっ〜〜駄目よ駄目!そこは大人達を憎むように感情を込めて叫ぶのよ粛正してやる〜!って」

「そ、そうですか・・・・」

 リツコの汗をかく迫真の演技に圧倒されると同時に恥ずかしさも込み上げてくる。

「さあ、やってみなさい」

「えっ?僕がですが」

「そうよ、アナタがやらなくて誰がやるの?」

「こ、これは実験とは関係無いんじゃ・・・・」

 カヲルの考えは当たっている、いや誰が見てもそう思うだろう。

「これは大切な実験よ、Zガンダムのパイロット、カミーユ・ビダンの精神状態でEVAにどんな影響をあたえるかを調べるのよ。その為に必要なのよ」

「そ、そうですか」

「さあ!叫んでちょうだい」

 目の色が違うリツコ、すでにイっている。

「は、はい・・・・しゅ、粛正してやる〜〜!」

 一息つけるとそこそこの大きさで叫んだ、恥ずかしい為にちょっと耳が赤い。

駄目!駄目よ!全然感情がこもっていないわ、それに何?その棒読みは実験する気はあるの?

「は、はいすみません」

 謝るカヲル、だがこれが実験だとは思っていない。しかしそれを口に出してしまえば即刻自身が実験体になるだろう。

「さあ、もう1回よ」

「はい・・・粛正してやる〜〜!」

駄目よ駄目!もう1回

粛正してやる〜〜!

 恥を捨てて叫んだ、こんなところをシンジに見られたら死んでしまいたい気持ちだろう。

「駄目!声は大きくなったけど感情がまだ入っていないわ。心の奥底から大人を憎む気持ちで、はい!」

粛正してやる〜〜!!

「駄目!全然駄目じゃない、これじゃあ今日は徹夜ね」

「えっええ?」

「当然でしょ、全部をマスターしないと実験は終わらないわよ」

「・・・・・・・」

 カヲルは固まった、今言っている台詞だけでも恥ずかしいのに本やは10cmの厚さがある。

(ど、どうしてこんなMAD SCIENTISTな人が偉いんだろう・・・・・)

「何をブツブツ言っているの?さあ!」

(う、ううシンジ君、僕はもう君に会えそうに無いよ)

 その後一週間、カヲルはシンジに会えなかったという・・・・・・


 カヲル君、とうとうMADリツコさんの餌食になってしまいました(笑)

 今回はMSと言ってもモビルスーツはでてきませんでした、期待していた方々ごめんなさい<_>

 お話通りカヲル君をカミーユにあてはめてみたわけです(あてはめていませんね^^;)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION MSZ