Mの食卓

はあ〜〜ああ〜〜んあんあん〜〜♪

 台所から底知れぬ陽気な声が発生している。

「ザックザック〜〜♪」

 声に合わせて野菜を切っているのはミサト、切り刻まれ一つ一つの形が出鱈目な大きさである。素人でもある程度きちんと形を整えて切る事ができるのだがミサトはあえてしない、それは『オリジナルティ〜をだすためよん』である。

「お肉お肉〜〜♪」

 冷蔵庫から牛肉を取りだし素早く切る。

「あ、あれ?切れないわね」

 肉は野菜と違って少し柔らかい、切るのにコツがいるがミサトにそんな能力はない。

「ふっ肉の分際で生意気な、こうしてくれるわ!」

 ブシュッ!

 包丁を両手で持ち天高く突き上げ一気に突き刺した。

「うふうふふ、生意気な肉はこしてくれる〜〜」

 グリグリグリグリ

 肉を突き刺したまま包丁をこねくり回す、その姿は料理をするのではなく遊んでいるように見える。

「切ったら炒めて〜」

 切っていない、引き千切った肉に火を通すが・・・

ぎょえええっ!

 油を多く入れすぎたため火が天井まで登り少し焦げてしまった。

「あっちゃあ〜焦げちゃったわ〜・・・まあいいわ、名誉の負傷ってやつね」

 自分は負傷していない、天井を焦がしただけなのだ。何事も無かったように料理を続けていった。

 

 

 

 

 

 

 

「最後は愛情というスパイスを入れて、ミサトスペシャル食べたら気絶しちゃうくらい美味しいぞカレー完成!」

 見た目はカレーなる食べ物が完成した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ただいま〜〜」」

 シンジとアスカのご帰宅、2人で仲良く買物に行っていたようである。

「お腹空いちゃった、早く作ってね」

「うん」

 笑顔で答えるシンジ、料理をする為に台所に向かった。その後姿をアスカは頬をちょっと赤らめて見送るのであった。

「さあて、腕によりをかけて作ろうかな、あれ?ミサトさん何をしているんですか」

 ミサトが台所に居る事が珍しい。

「おっかえり〜〜、今日は作らなくてもいいわよ。私が作っておいたから」

「えっ?・・・・ええっ!

 一瞬何を言っているのか分からなかったが、目の先にある鍋を見つけて理解した。

「さあ食べましょう、お腹空いているんでしょ?」

「えっ?いや僕はお腹一杯です。じゃっ!」

 シュタッと手を上げて逃げようとするが・・・

「またまた〜〜遠慮しなくて良いのよ、沢山作ったから育ち盛りはいっぱい食べてね」

 襟元を掴まれ逃げられなくなった。

(え、遠慮じゃないのに〜〜〜〜)

 リビングに引きずられていきながら涙を流すシンジであった。

「ミサト居たの?」

 リビングには速攻で着替えたアスカが寝転んでいた、ミサトを邪魔としか思っていない。

「居るわよ、さあご飯を食べるわよ」

げっ!

 片手で持っている鍋を見て理解した。忌まわしい記憶が甦ってくる。

「ミ、ミサトそれって、もしかして・・・・」

「そっ!カレーよん」

 にこやかに答えるミサト、アスカは顔が真っ青である。

「アタシは要らないわよ」

「まったまた〜〜食べないと大きくなれないわよ」

「そんな不味いもの食べたら逆に小さくなっちゃうわよ」

「不味くないわよ〜美味しいんだから〜〜〜」

 自分の舌で確認したので保証はできる、ただしシンジやアスカの味覚がミサトと同じだったら。

「それはアンタの異常な味覚だから美味しいのよ、アタシのような正常な味覚には不味いの!作るんだったら勉強してから作りなさい」

 ガ〜〜〜〜ン!!

 ショックを受けるミサト、茫然自失のまま仁王立ち。

「ア、アスカ言い過ぎだよ」

「良いのよ、このくらい言わないと効き目がないから、それとも食べたいの?」

「た、食べたくないけど」

「なら黙ってご飯を作る!」

「は、はい」

 ビシッと台所を指差され直行した。

「そ、そうだったの・・・・私のカレーは不味かったの?」

 膝をつき焦点が合わない目で床を見つめ呟いた。

「そうよ、不味いのよ。とっても」

「べ、勉強不足だったのね・・・・・」

「勉強したら食べてあげるわよ」

「ありがと・・・」

 ユックリと立ち上がると俯いて部屋に戻るのであった、そしてその日は二度と出てこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、葛城家で一番の早起きはシンジ、顔を洗うと朝食を作るために台所に向かった。

「あれ?ミサトさんおはようごさいます、早いですね、どうしたんですか?」

 またもやミサトが台所に立っていた。

「おっは〜〜朝食は私が作ったわよん、アスカを起こしてきてちょうだい」

「え、ええ・・・・」

 シンジは一瞬逃げようと思ったが昨日のアスカとミサトのやり取りを聞いていて、ちょっとはマシな料理ができたのだろうと期待した。

 そして・・・・

 

 

「アスカ、勉強の成果を見てちょうだい」

「いいわよ、テストしてあげる」

「勉強の成果はこれよ!」

 台所から持ってきたのは昨日と同じ鍋、開けてみると・・・・

「またカレー」

「ふふふふ、ただのカレーじゃないわよ。一日寝かせてコクを出したの、よく聞くでしょ作ったその日より次の日のカレーが美味しいって」

「じゃ、じゃあこれって昨日の・・・・」

「そっ、さあ召し上がれ」

 2人の前に大盛りにつがれたカレーがニ皿。アスカは思った。

(ちっまさか、そのままとは)

 何か新しいものを作ったのかと期待したが、昨日のカレーそれもただ一日置いただけである、味は予想した味だろう。

(た、食べなきゃいけないのかしら)

 昨日の言葉を後悔したが後には引けず、背中に汗をビッショリかきながら一口食べた・・・・・シンジも食べた・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の2人の記憶はそこで途絶えたのであった。


 アスカちゃん、余計な事をいったばかりに気絶しちゃいました(^^;)

 ミサトさん、本当に勉強したのでしょうか?これじゃあ永遠に料理上手にならないですね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS:EVANGELION Mの食卓