涙のKISS
「ふああああ〜〜暇ねえ〜〜」
葛城家のリビング、アスカは大の字に寝そべり大あくびをした。
「こう毎日雨じゃあ遊びにも行けないじゃない」
リビングの窓のから見える空は薄暗く雲が覆っており、雨が激しく降っている。
「運動しないのと体がなまっちゃうわねえ〜」
ごろごろごろごろ
床を転がり暇をもてあそぶ。
「ねえシンジ〜暇ねえ」
「えっ?僕は暇じゃないよ、忙しいよ」
主夫シンジにとっては雨の日でも忙しい、現在は部屋の掃除で汗を流している。
「ふ〜〜ん、別に雨の日にしなくても良いんじゃないの?」
「そうかな?雨の日は洗濯ができないから掃除をするのにうってつけなんだよ」
「へ〜〜マメねえ」
アスカは床に頬杖をついてTVの掃除するシンジを見て感心した。
「する事ないなら部屋の掃除をしなよ、僕が色々動かしたら怒るだろ」
そうアスカは自室の掃除をやらなくてシンジにやらせるのである。そのくせ品の位置が変わっていると怒るのである。
「いや〜よ、雨の日の掃除は気分が乗らないわ」
「晴れでもしないくせに」
アスカに聞こえないようにボソッと呟くシンジ、だが・・・・
「あん?何か言った?」
「い、いいえ」
聞こえたようだ。自分の悪口にはどんな小さな声でもキャッチするアスカ。
「暇、暇、暇〜〜〜」
ごろごろごろごろ〜
クッションを抱きしめると所狭しと転がりまわる。そんなアスカをシンジは呆れてため息をついた。
「はあ〜〜〜埃が立つよ」
また掃除をしなければならない心配をする。
「!そうだ」
転がっていたら何か思いついたようだ。立ちあがってシンジの前に立った。
「シンジ〜」
「何?掃除を手伝ってくれるの」
そう言うと掃除道具を渡そうとしたが、受け取ってくれなかった。
「違うわよ、キスしない?」
「キ、キスゥ〜〜〜〜〜?!」
シンジの鼓動が高まった。
「そう、キ・ス」
アスカは少し頬を赤らめ上目遣いでシンジを見て照れた。
「キ、キスっていうと、あのそのあのその、あのそのあのその・・・」
シンジは耳まで真っ赤になり興奮して言葉が出ない。
「キスはイヤ?」
また頬を赤らめ上目遣いでシンジを見る。
「い、いいいいいいやじゃないよ、いやじゃ。うん!いやじゃない」
光速で首を横に振り否定する。
「じゃあする?」
「う、うううううううううううううん!」
今度は光速で首を縦に振った。
「じゃあ目を閉じて恥ずかしいから・・・ぽっ!」
頬に手をあて恥らうアスカ、その姿はいつもの高飛車なアスカではなく美少女のアスカに見えた。
「う、うん。わかった」
「目開けたらイヤよ」
「う、うん。絶対に開けないよ」
「いくわよ」
アスカの言葉にシンジは目を閉じ、直立不動でこぶしは青筋がでるまで握り締め手の中は汗がにじみ出た。
(あっ!)
シンジの唇に感触があった。
(こ、これがアスカの・・・でも何だかかたい・・・)
見えないので想像力が働く。
(アスカも緊張しているのかな?全然柔らかく無いや、女の子の唇って柔らかいと思ったのに)
アスカの唇を思い浮かべると頬が赤くなった。
(当たっている個所が少ないような・・・・僕が口を尖らせているからかな?)
シンジは緊張していた。
(でもかたいなあ)
「プ、プププ」
(ん?何だ)
シンジの耳に何かが聞こえた。
「プ、プププ」
(何か聞こえるなあ?)
「プ、プププ」
(この声はアスカ?)
シンジはユックリと目を開けた。
「ん!あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
シンジは驚いた、目の前にいたのはアスカではなく・・・・
「クエ〜〜ポッ」
「ペンペンッ!」
ペンペンであった、なぜか頬が赤い。
「プ、プハハハハハ〜〜〜今のアンタの顔最高よ」
アスカはお腹を抱えて笑い転げた、ペンペンは両羽を頬に当て赤らめており、シンジは放心状態。
「酷いやアスカ、アスカがキスするんじゃないの?」
「キスはすると言ったけどアタシとするっては言ってないわよ」
そうアスカは誰とするとまでは言っていない。
「うう、酷い!酷いや〜〜」
シンジは泣きながら部屋に走って行った。
おしまひ
シンジ君はアスカちゃんに裏切ったな、裏切ったな〜〜です(笑)
暇なアスカちゃんにとってはシンジ君は絶好のおもちゃですね可哀想ですが。
でもペンペンなぜ顔を赤らめる?(^^;)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 涙のKISS