「お〜星さ〜ま〜キ〜ラキラ〜〜、願いを短冊に〜〜っと」
今日は七夕、マナは部屋で小さな竹に短冊や飾り物を飾っていた。
「願いはかなうかな〜〜〜〜って、むなしいわ・・・・・」
小さな竹は綺麗に飾られたがマナの心はそうではなかった。
「こんなの一人でしてもつまらないわ、やっぱり愛する人と飾りたいわ。そうなると早速移動ね」
素早く着替え短冊や折り紙を袋につめると家を出た。
「シンジ〜〜〜今行くわよ〜〜〜!!」
目的地に猛ダッシュで走って行った。後に残るは砂煙。
織姫達
ピ〜〜ンポ〜〜ン
マナは呼び鈴を押した、当然シンジの家である。
「は〜〜〜い」
玄関の向こうから返事が聞こえる。
「ちっアスカか」
返事の主はアスカであった。マナはシンジが出なかった事を残念に思い、アスカと会わなければならないのでイヤであった。
ガチャッ!
「どちら・・・」
ダッダッダッダッダッダ!!!
「シンジ〜〜!」
マナは玄関が開いてアスカの言葉が終わらないうちに、すでに廊下を走っていた。
「な、何?」
アスカはわけがわからず驚き振り返った。だがマナの姿はもう無い。
「シンジ〜〜!・・・・・あっレイさん、シンジは?」
リビングについたマナはシンジを探したがいなかったがレイの姿を見つけた。
「碇クンいないわ」
「えっ〜〜〜?いないの?せっかく私が来てあげたのに〜〜まったく〜」
プウ〜〜と頬を膨らまし怒るが半分は残念である。
「何が来てあげたよ。何の用よ?」
アスカはマナの急な行動に怒っていた。
「今日は七夕だからシンジと一緒に竹を飾ろうと来たけど、シンジはどこに行ったの?隠すとためにならないわよ」
「誰が隠すのよ?シンジは2馬鹿と遊びに行ったわよ」
「え〜〜〜〜!そ、そんな〜〜せっかく来たのに〜〜」
ガックリ肩を落としその場に座り込んだ。
「そういう訳だからもう用は無いでしょ、帰った帰った」
「シンジ〜〜〜」
「聞いてんの?」
アスカの問いが聞こえないマナ、そうとうガッカリしたようである。
チョンチョン
「?」
ガッカリしたマナの背中を突つく感触振り向いてみた。
「レイさん」
「七夕をするの、一緒に飾りましょう」
レイは床に置いてある竹を見せた。
「どうしたのこれ?」
「私が持ってきたの、でも碇クンはいなかった・・・残念」
レイもシンジと一緒に七夕をしようと思いやって来たがシンジはいなかったのでシンジが帰ってくるまで待っていたのだ、当然アスカはイヤがったが。
「レイさんも・・・・そうね一緒に飾りましょう、シンジが見たら驚くように綺麗にしましょう!」
「ええ」
二人頷くがもう一人が黙っちゃいない。
「ちょっと用が無いなら帰りなさいよ、邪魔よ邪魔!ファーストもお茶なんか飲んでいないでさっさと帰りなさい」
「レイさんは何をお願いするの?」
「教えるの恥ずかしい・・・・マナさんは?」
「私?私はねえ〜〜」
「マナさん大胆」
アスカを無視して作業に取り組む二人、アスカは無視された事にコブシを握り震わせていた。
「くぉら!人の話を聞け〜〜!」
「何アスカ?アスカも願い事したいの、しょうがないわね〜一枚あげるわ好きなことを書きなさい」
マナは自分が持ってきた袋から短冊を一枚アスカに渡そうとしたが。
「んなものいるかぁ〜〜!アタシはね人の話を聞けって言ってんのよ」
「でねレイさん、ここをこう折ると鶴ができるのよ」
「マナさん物知り」
「・・・・アンタら、ワザやってんの?」
又もや無視されるアスカ、怒りは頂点に達している。
「あらばれたあ〜?怒らない怒らない、今日は七夕なんだから」
「はん!何が七夕よ、大体願い事を書いてもかなうわけ無いじゃない、非現実的よ」
「そお〜?飾らないの?」
「飾らないわよ」
「あっそ、じゃあレイさん二人で飾りましょう」
「ええ」
「勝手にしなさい」
アスカは二人を背にするとクッションに体を埋め雑誌を読み始めた。
「レイさんの願い事は・・・っと」
マナはこっそりとレイが書いた短冊を覗き込む。
「ダメ、恥ずかしいの」
レイは頬を赤らめると素早く体で隠した。
「良いじゃない〜減るもんじゃないから〜それっ!」
「あっ」
マナはレイの体とテーブルの隙間から素早く短冊を抜き取り見た。
「どれどれ」
「ダメ返して」
「ニンニクラーメンチャーシュー抜き・・・・・・・・」
「恥ずかしい・・・・・」
短冊に書かれた意味がわからないマナは照れているレイを見た。
「これってどういう意味なの?」
「お腹いっぱい食べたいの」
「そ、そう確かに願い事ね」
マナは半笑いで答えるしかなかった。
「マナさんのは?」
「えっ私〜〜」
「ええ私が見せてから見せ合いっこ」
「しょうがないわね〜〜私の願いはこれよ」
マナは自信満々に短冊を見せた。
「宝石が沢山欲しい・・・・これが願い」
「そう、美少女マナに似合うのは宝石しかないわ。沢山沢山欲しいの」
「願い、かなうといいわね」
「ええ!」
ガッツポーズで答える、その後も二人の見せ合いは続いた。
「・・・・・・・・」
二人の楽しいお喋りで楽しくないのはアスカである。
(ハン!バッカみたい、何が大金持ちになりたいわよ、何が胸が大きくなりたいわよ。自分の欲望じゃない)
目は雑誌を見ているが耳は二人の会話に集中していたのである。
(短冊に書いて飾ったら願いがかなうなんてバッカみたい。どうして日本人はお祭り事が好きなのかしら)
「レイさん沢山願い事があるわね」
「マナさんには負けるわ」
「そう〜〜?同じ位と思うけど」
二人はまだまだ短冊に書いているようだ。
(アンタらいつまで書いてんのよ、さっさと帰りなさいよ・・・・・)
「うっひゃあ〜〜この願い、かなったら凄いわ」
「かなえたいわ」
(フン七夕がなによ!)
雑誌に集中しようとするが二人の会話が耳に入ってくる、そして聞いているうちに体がウズウズしてきた。
「よし!次で100枚目〜〜」
「私もあと5枚で100枚目」
ガバッ!
アスカはたまらず起きあがり二人の横に座った。
「アンタ達、そんなに書いたらかなう願いもかなわないわよ。短冊っていうのはね、せいぜい1枚か2〜3枚書くものなのよ」
「へえ〜アスカって物知りなのね」
「当然よ」
胸を張るアスカだが、それはヒカリから教えてもらったのである。
「だからこれは絶対にかなえたいって願いを書くのよ。たとえばアタシなら世界を征服したいとか」
真剣な顔で短冊に書いていく。しかし二人は呆れてものも言えなかった。
(世界征服ってアスカ・・・・・本気で言っているの?)
(世界制服?世界の制服を集めるの?アスカって変わったコレクターなのね)
「さあ書いたわよ!そして竹に飾る!これでOKよ!書いたら次を書く!」
アスカは短冊にスラスラと書いていく、まるで考えていたかのように。
「はい!次〜〜」
書いて短冊に飾る、だがマナは疑問に思った。
「アスカ、それで10枚目なんだけど。短冊はせいぜい1枚か2〜3枚じゃなかったの?」
「良いのよ!もう関係ないわ。書きたいことを書く!それが七夕」
「「・・・・・・・」」
二人は言葉を失った。
「アスカって結構アバウトなのね。あっ!もう20枚目、こっちも負けられないわ、レイさん沢山願い事を書くわよ」
「ええ、わかったわ」
静かなリビングに書く音が響く、三人は折り紙を使った飾り物はせずに短冊だけを飾っていった。
バキッ!
「ああっ!折れちゃった!」
三人合計1000枚、マナが1001枚目を飾ろうとしたら折れた。
「ちょっとマナ、アンタ付けすぎよ」
「アスカこそ付けすぎじゃないの」
「しくしく、竹が・・・・」
七夕、三人の織姫の願いはかなうだろうか?
七夕SSです、主要キャラ三人だけのお話、仲良し三人組です(^^)
七夕はロマンチックなのに三人とも欲望だけがある〜〜〜(笑)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 織姫達