WS29

う、うわっ!

 夜中シンジは大量の汗をかいて目覚めた。

「はあはあはあ・・・・・夢」

 額の汗を手で拭くと時計を見る、午前3時。

「どうしてあんな恐ろしい夢を」

 ブルブルブル

 思いだし身震い、その夢とは・・・・・

 

 

ミサト特製手作りチョコよん♪

ミサトの手作り

「さあ食べて♪」

食べないといけない

「美味しいから〜」

本当?

「さ、めしあがれ」

地獄への超特急

(逃げちゃダメだ・・・・イヤ逃げよう)

でも・・・・

「さあどうぞ」

食べなくてはいけない

ぱくっ

「どう?美味しい〜〜」

卒倒

 

 ヴァレンタインにミサトからチョコを貰った時の夢である。

 奇跡的に生き延びたがあれから後遺症が酷かった。チョコを見ると気分が悪くなり、チョコの匂いを嗅ぐと体が震え、普通のチョコを食べても気絶。そして三日に一回は夢に見るのである。

「・・・・・あのまま逝ったほうがよかったのかな」

 物騒な事を考える。

「お返ししなくちゃいけないかな」

 ふう〜とため息ついて布団に潜った。

「でも、普通にお返しはイヤだから・・・・・・・・」

 眠りについた。

 

 

 次の日、ネルフに来たシンジ、何か紙袋を持っている。そして向かうはミサトの部屋。

 コンコン

「ミサトさん、いますか〜?」

「は〜〜い」

 シンジは部屋に入った。そこはミサトの部屋らしく乱雑。

「あらシンちゃん何かよう〜〜ヒック」

「・・・・ミサトさん」

 呆れた。ビールを飲んでいるからである。すでに5本目のようだ。

「いいんですか?今は勤務中でしょ、それに使徒が来たらどうするんですか」

「いいのよ。今は使徒も休みだから、ヒック」

「まったく」

「それで用は何〜?」

「はいこれ」

 紙袋を渡す。

「ん?これなに」

「今日はホワイトデーですから」

「そうね。今日だったわね。ありがと、何かな〜?」 

 B5サイズの紙袋、厚みはあまりない、ミサトは『薄っぺらい』と思ったがくれるのが嬉しかった。何が入っているのか中身を見た。

「?何これ」

 取り出したのは文字が書いてある紙だ。

「ビール券」

「はい、ビール券です。僕の手作りです」

 ミサトは手にあるビール券を見てみる。確かに市販されているビール券ではない、シンジの文字で『ミサトさん専用ビール券』と書かれていた。

「わおっビールがホワイトデーとはありがとん」

 喜ぶミサト、だが・・・

「はい、それが1ヶ月分ですから、使ったらおしまいですよ」

「え・・え〜〜?

 驚いた。券を数えてみると15枚、とても足りない。

「今月はピンチですから、我慢してくださいね」

 ほほ笑みながら出て行くシンジ、ミサトはガックリと膝をつき涙を流した。

「そ、そんな〜〜〜〜」

 廊下をスキップしながら帰るシンジ、別にピンチではないのだが、これがささやかな?仕返しだったのだろう。


 一ヶ月も悪夢を見たシンジ君、ミサトさんの特製チョコは凄い(^^;)

 でもそれでは悔しいのでささやかな復讐ですね。

 復讐が節約になりました。でもミサトさんは我慢できるのでしょうか(できない)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION WS29