WSM
「をほほおおほ〜〜い!」
踊るマナ、ステージやダンス場なら、美少女の華麗な踊りに目が行くだろうが、ここは公園。
「なっ、なななな〜〜!♪」
飛び散る汗が太陽に反射して輝く。
「ふうう〜疲れた」
ドサッとベンチに腰を下ろす美少女、マナである。
「シンジ、遅いなあ」
腕時計に目をやると足をばたつかせ暇をつぶす。
すると
「マナ〜〜〜」
遠くから呼ぶ声が聞こえる。
「シンジ!」
シンジが走ってきた。マナは立ち上がるとシンジに向かって走り出す。
「早かったね。待った?」
「ううん、今きたところなの」
シンジは待ち合わせ時間、十分前に到着。マナは一時間前から来ていたのだが、うそをつく。
「そう、ちょうど良かったね」
「うん♪」
にっこり微笑むマナ、シンジは『タイミングが良かったなあ』と思っていたが、地面はダンスの跡でメチャクチャに耕されていた。
「今日は何のようなの?」
マナは尋ねた。だがシンジが呼び出した理由は知っている。
「うん、これをマナに」
シンジはリボンがついた小さい箱を渡した。
「これは?」
知っているのだがわざと聞いてみる。
「ヴァ、ヴァレンタインのお返し」
「本当〜?嬉しい!ありがとう」
「マ、マナッ」
満面の笑みを浮かべて抱きついた。シンジは突然で耳まで真っ赤である。
「は、離れて」
「ダ〜メ」
悪戯心でギュッと力をこめる。
「マ、マナ〜」
シンジの胸に柔らかい感触が二つ、鼻にはほんのり香る髪の匂い。
「ふううう〜〜〜」
「ああああ〜〜〜〜・・・・・・・」
マナは耳に息を吹きかけた。するとシンジは足の力が抜けて倒れた。
「きゃ!シンジったら大胆」
この発言は間違いである。シンジが下になり、マナが押し倒したように見える。
「ど、どいてよ〜」
「ダ〜〜メ、シンジ〜!」
そのままシンジに覆い被さる、誰が見ても襲い掛かっているように見える。
「う、うわっ〜〜」
危うしシンジ、散るのか?
「うっそ!はい、立って」
寸前で動きを止めるとシンジに手をかした。
「あ、ありがとう」
「座ろう」
「うん」
輝く太陽に雲が隠れて涼しくなりベンチに座った。
「ビックリしたよ」
「ごめんね。でも続きをしても良かったんだけどね。今からでも良いよ」
「なっ」
ウインクして微笑むマナ、シンジは言葉を鵜呑みにして顔だけとはいわず全身トマト以上に真っ赤になった。
「冗談よ、冗談。ふふ、信じちゃって可愛い〜〜」
「もう!」
「開けていい?」
「いいよ」
マナはリボンを外すと綺麗にラッピングされた紙をはがす。
「わあ〜綺麗」
箱の中は淡く輝くペンダント。
「うん、マナに似合うと思って」
「嬉しい、ありがとう。つけて」
「えっ?」
「つけてちょうだい」
「う、うん」
シンジはペンダントを渡され首にまわす。腕が肌に触れないように緊張して鎖を繋ごうとするがなかなか上手くいかない。
「まだあ?」
「も、もう少し」
フワッと風が吹くとマナの髪の良い香りがシンジの鼻に入り、余計に緊張が増して失敗を繰り返す。
「よし、できたよ」
なんとか繋ぐことができた。汗だらけになりながら。
「ありがと」
ガバッ!
「うわっ!」
抱きつく。
「マ、マナちょっと・・・・」
当然、真っ赤になるシンジ、今日何回目だろうか?
「しばらくこのまま・・・・私ね、人から貰うのって初めてなの」
「マナ・・・」
「だから、少しこのままにさせて」
「うん」
こうして太陽の下、二人だけの時間が過ぎていった。
元気に始まったはずなのに最後はなぜかシリアスに…どこでどう間違えたんだろう(^^;)
シンジ君は真っ赤かな一日でした。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION WSM