WSR
シンジはネルフに来ていた。今日はテストはないのだがレイに用がある。
ホワイトデーである。ヴァレンタインにチョコを貰ったのでお返しをしに来たのである。学校で渡せばよいのだが、今日はレイだけがテストがあり学校を休んだ。
几帳面なシンジはレイに会いに来たのだ。
「綾波はどこかな?」
廊下を歩くシンジ、見られていることを知らない。
「やはり来たわね。MAGIの予想でも400%」
モニターに映し出されているシンジを見るのはリツコ、コーヒーを飲みながらレポートに目を通した。
「計画通りね。No.16用意はいい?」
電話をとるとNo.16と呼ばれる者と話をし始めた。
「はい、サードチルドレンBブロックを通過中、20秒後に目標場所を通過します」
「わかったわ行動は気づかれないように」
「了解」
ピッ!
No.16は懐に携帯を入れると同じ格好をした仲間に身振りで合図を送る。
コクリ
仲間は猫の様に足音を立てずに目標シンジに向かって走り始めた。ちなみに着ているものは全員『白衣』、背中には可愛い子猫がプリントされていた。
トコトコトコトコ
何も知らないシンジは実験室に歩いている。そしてリツコ達が計画している目標場所に入った。
(今だ!)
白衣軍団が猫のような素早さでシンジに襲いかかった。だが・・・・・
トコトコトコ
気づかないシンジ、わずか0.000001秒白衣軍団はその場を離れた。
ピッ
No.16は携帯で連絡をいれた。
「見せてもらったわ、完璧ね。後は私に任せなさい」
リツコは満足すると部屋を出ていった。
「あらシンジ君どうしたの?」
「リツコさん、こんにちは。綾波に会いにきたんです」
偶然?シンジに会ったリツコ。いいやこれは計画の一部であろう。
「レイに?何かようがあるの」
知っているのだがあえて聞いてみる。するとシンジは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「綾波にチョ、チョコを貰ったからお返しにと・・」
「そうだったわね。今日はホワイトデーだったのね」
「は、はい」
「シンジ君もなかなかやるわね、レイ喜ぶわよ」
フフフと笑うリツコ、シンジは耳まで真赤になった。
「そ、そんな事ないですよ、お礼です」
「ふふ、若いって良いわね。レイなら休憩所にいるはずよ」
すでにレイの配置を済ませている。レイには『座ってなさい、命令よ』ですでに2時間は座っている。
「リツコさんも十分若いですよ。それじゃあ綾波に会ってきます」
「ま、まあ綺麗で若くて優しくて天才だなんて、シンジ君が良ければリツコお姉さんて呼んで良いわよ・・・あら?シンジ君」
別の世界に行っていたリツコだがシンジの姿はどこにも無かった。
「もう、最後まで聞いてほしかったのに、まあいいわこれから楽しくなるから」
急いで部屋に戻るリツコであった。
ボ〜〜〜
レイはリツコに言われた通りずっと休憩所のベンチに座っていた。
ボ〜〜〜
何もする事がない。
(お尻がいたい・・・・・)
もぞもぞするレイ、2時間以上も座っていれば痛いだろう。
「綾波〜〜〜」
遠くから呼ぶ声、見てみるとシンジが走ってやってくる。
「碇クン」
今日はテストが無いので来るはずが無い来訪者に驚いて立ちあがった。
(はあ〜きもちいい)
ちょっと嬉しいレイであった。
「碇クンどうしたの?」
「これを綾波に渡したくて」
シンジはリボンがついた紙袋を渡した。レイの頭には?マークが浮かぶ。
「これはなに?」
「今日はホワイトデーだよ」
「ほわいとでー・・・・・ありがとう」
レイは思い出した『ホワイトデー』は知らなかったのだが、今朝リツコに説明されたのだ。
「開けていい?」
貰ったらその場で開ける。これもリツコの入れ知恵である。
「うん、いいよ。座ろう」
「うん」
中身はクッキー。
「手作りなんだ」
「ありがとう、食べていい?」
「いいよ」
ぽっ
ニッコリ笑うシンジにレイはおもわず頬を赤らめ、一口食べた。
「どうかな?」
「美味しい」
その言葉にシンジはほっ胸を撫で下ろした。
「よかった〜、自信はあったんだけど綾波の口にあうか心配していたんだ」
パクパク
「美味しい」
バター味でフンワリした触感が虜にした。
ビクンッ!
不意にレイの体が痙攣し始めた。
「綾波!?」
シンジは突然の事で驚いた。
「あ、ああああ・・・」
「綾波!」
頭を押さえるレイ、シンジは慌てふためいた。
「あ、あああ・・・・碇くふん〜〜〜〜」
ガシッ!
レイはシンジを抱きしめた。
「わっ綾波どうしたの?」
驚くシンジ、突然の事だから当然だろう。
「碇くはあん〜〜〜〜」
レイは悩ましげな声で叫んでシンジを抱きしめた。
「あ、綾波どうしたんだよ?」
レイの香りに耳まで赤らめながら、引き離そうとするが離れない。
「綾波、気を確かに・・・・こ、こんなところで・・・・・あっ」
胸があたり一瞬動きが止る。
(胸が胸が胸が〜〜!!)
混乱する、暴走まで秒読みだろうか?
(お、男としてどうすればいいんだろう!!)
鼻息も荒い。
「碇くふん〜〜あふうぅぅぅ・・・・・・・・・・・・」
ガクン!
不意にレイの頭がシンジの胸につき動かなくなった。
「綾波・・・・?どうしたの」
揺さぶるが返事が無い。
「綾波?」
「zzzzzzzzzzzz」
吐息を立てて寝ていた。
「副作用があるわね」
モニターを見ながらリツコは呟き、レポートに『副作用、睡眠』と記入した。
「副作用さえ解決すれば実用化できるわね」
モニター内では眠ってしまったレイにどうすれば良いのかわからなくて困っているシンジが映し出されている。
「シンジ君チャンスよ」
ぐっと拳を握り締め、叫ぶリツコ。だがシンジはレイをきちんと座らせると自分は隣りに座った。
「ふっ奥手ね」
呆れるリツコ、眠っているレイはゆらゆらと体がなりシンジの肩に顔が置く状態になった。カア〜〜と赤くなるシンジは何もする事ができず、レイが起きるまで固まっているのだった。
「まあ二人にはこの状態が良いかもしれないわね」
コーヒーをすすり、レポートを机に置いた。レポートの表紙にはこう書かれていた。
『惚れ薬、ホワイトデーはこれで気になる女性をアナタの虜に』
「ヴァレンタインとセットで売れるわね、ふふふふ」
実験をせずに金儲けを考えるリツコであった。
でたリツコさん、大事なチルドレンでも実験体にするMADさ、恐ろしい・・・・
でも二人はちょっと幸せでしょうね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION WSR