今はおやすみ

「あっちいわね〜〜クーラーが全然きかないわ」

 早朝、ミサトは夜勤が終わり帰宅途中の車内で呟いた。

「それにしてもこの暑さ何とかならないかしら」

 温度設定を最低にし風量を最大にしてもきいていない、額には汗をかき胸元をはだけて手でうちわを作って風をおくる。

「仕事あけの暑い日は、キュウ〜〜〜〜と一杯やりたいわね」

 飲むものを想像し、ゴクリと喉を鳴らした。

「あ〜〜想像したら飲みたくなったわ、早く帰りましょ〜♪」

 グオオオオオン!

 アクセルをふかし、制限速度をはるかにオーバーして家路を急いだ。

 

 

 

たっだいま〜〜〜

 夜勤あけの疲れでハイなのか一杯をやる為に元気が良いのかどちらかわからない。

「おかえりなさい、朝食作っていますけど食べます?」

 シンジが台所からやって来た、相変わらずエプロン姿がよく似合う、全国の男子中学生の中で一番似合うかもしれない。

「う〜〜〜ん、そうねえ食べてから寝ようかな」

「わかりました、急いで用意しますね」

「お願いね」

 ミサトは着替える為に部屋に戻った、足取りは軽くスキップをしている。シンジはその姿を見て・・・『ミサトさん、また仕事していないんだ』と思った。

 

 

 着替え終えたミサト、いつものラフな格好、タンクトップに短パンという男性が見たら喜ぶ姿である、だがシンジは違う・・・・「ミサトさん、いい歳してやめてください。今年で大台でしょう』と口に出さずに思った。

「ごはん〜♪ごはん〜〜っと」

「あと少しでできますから座っていてください」

 五分と待たずにできるだろう、目玉焼きを作っている。

「ん〜〜わかったわ、その前に〜〜♪」

「待ってください!」

 立ちあがろうとするミサトをシンジの声が制止した。

「何?」

「ビールでしょう、ダメですよ、今月は生活が厳しいですから少しでも切り詰めないと」

「や〜〜ねえ、シンちゃん勘違いしないで、私はコーヒーを飲もうとしていたのよ」

「コーヒー?」

「そっ」

 シンジは眼を丸くした、普段のミサトからは考えられない言葉が出たのである。

「う、嘘だ!ミサトさんがコーヒーを飲むなんて、わかったぞ僕を騙そうとしているんだな。本当はミサトさんじゃないんだ」

 わけがわからないシンジ。

「むっ失礼しちゃうわね、私だってコーヒーぐらい飲むわよ」

「す、すいません。悪い前触れかと思っちゃって」

「むう〜私の事をどう思っていたわけ?」

 平謝りするシンジ、ミサトは頬を膨らませながらインスタントコーヒーを作っていく。

「シンちゃんも飲む〜?」

「あっ、はい頂きます」

 コップをもう一つ取りだし作る。

 ニヤリ

 ミサトの口元がかすかによがんだ。

「はいどうぞ」

「はいいただきます」

 シンジはコーヒーを一口飲んだ。

 ゴクリ

 喉元を通って、数秒後・・・・・・・・

 ぐうぐう、ぐうぐう・・・・・・・

 シンジは寝た。

「あらあら、こんなところで寝ちゃって、疲れていたのね〜、とりあえず部屋に運びましょう。おやすみなさ〜い♪」

 おんぶするとシンジを部屋に運び、ベッドに寝かせて台所に戻る。

「ふうう〜〜疲れたわ〜〜肉体労働はきついわ」

 疲れたような口調で独り言を呟くと、首を回し疲れをとる。

「こんな時は・・・やっぱり・・・・」

 ごきゅごきゅごきゅごきゅ!

ぷは〜〜〜あ、やっぱり美味いわ〜〜

 やっぱりビールを飲んでいた。


 悪知恵が働くミサトさん、すっかり騙されたシンジ君。まあ起きた後はどうなるかわかりませんがね(^^;)

 本当に困った保護者だ。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 今はおやすみ