かき氷
「今日も暑そうだなあ〜〜」
窓から外を眺めると遠くの方が熱で蜃気楼が起きているよ、ビルがユラユラと揺れて飴のように曲がっている。
外は暑いけど室内はクーラーがきいていて気持ち良いんだよな、外に出たくはないけど買い物行かないといけないからなあ・・・・はあ〜〜〜ちょっと憂鬱。
「何ため息ついてんのよ、暗いわねえ」
アスカがクーラーの下で大の字になって寝転がっている・・・ったく人の気も知らないで買物に行く僕は暑さに耐えなきゃ行けないんだよ。たまにはアスカが行ってよ・・・・・
「ん?何か言った」
「いいや、何も言ってないよ」
言ったら『シンジのくせに生意気〜〜成敗!』とか言って首締めたり、腕十字されたり、カカト落しされるから言えないんだな・・・・命惜しいから・・・・・
「はあ〜〜風が気持ち良いいわ〜〜〜シンジ〜〜かき氷作って〜〜〜」
自分で作れば良いじゃないか!って言えない自分がちょっと悲しい・・・・しょうがない作るか。かき氷を作ろうと台所に向かったら・・・・
「たっだいま〜〜!」
ミサトさんのご帰宅だ、声が弾んでいる何か良い事あったのかな?
「お帰りなさい、楽しそうですね」
「わかるぅ〜?じゃじゃ〜〜〜んこれ見て」
そう言ってミサトさんは、大きな箱を僕に見せた・・・・けど中身は何かわからないや、見えないから。
「何ですかこれ?」
「これはね・・・・」
嬉しそうに中身を取り出した・・・ん?これは。
「かき氷機よ」
天高々とかき氷機を上げて喜んでいる・・・・・それもそのはず形状がなんと・・・・・・ビール缶なんだよなあ。はあ〜ミサトさんが喜ぶわけだ、でも。
「ミサトさん、かき氷機ならあるじゃないですか」
そう、ペンギン型のかき氷機、口からでるやつ、この前安いって買ってきたんだよな、ミサトさんが。
「ノンノンノン、あれはほんのお遊びよ、本格的で大人のかき氷はこれで作らないとね」
「・・・・・・・・」
僕は言葉を失った、本格的で大人のかき氷って何?
「さあて作るわよ〜〜〜〜」
ミサトさんはスキップして台所に向かった、玄関に取り残された僕・・・・・どうして無駄遣いするのかなあ?給料日前になるといつも『お金がなあい〜〜〜〜TT』って騒ぐのに、考え方がわからないや。仕方ないので僕も台所へ。
シャリシャリシャリシャリ〜〜〜〜〜!
ミサトさんはすでにかき氷を作っていた、氷の削れる音が涼しさを感じるね。
「完成〜〜〜、アスカ〜かき氷できたわよ」
カップに山のように詰まれたかき氷、あとはシロップをかけるだけだ。
「今行く〜〜〜」
リビングから声と同時にアスカがやって来た、こういう行動は速いんだよなあ。
「何にする?」
シロップはイチゴ、メロン、レモン、オレンジ、グレープと5種類もあるんだな、こんなに沢山要らないんだけど、ミサトさんとアスカが欲しいって駄々をこねるから仕方なく買ったんだ、はあ〜〜痛い出費だったよ。
「今日の気分はイチゴよ!」
ビシッ!とイチゴのシロップを指さした、イチゴの気分ってあるのかなあ?
「ミサトさんは何にします?レモンですか」
ミサトさんはかける順番からいってレモンかな。
「ん〜〜シンちゃん違うわよ、本格的で大人のかき氷って言ったでしょ」
ウインクして指を左右に振った・・・・イヤな予感がするよ。
「大人のかき氷、それは・・・・」
やっぱり、ミサトさんは冷蔵庫を開けた・・・・・・・もう後は分るよ。
「これよ!!!」
天高々と上げる手にはビール・・・・・考えが一発で分っちゃった、ミサトさん単純だから・・・・
「まずはふたを開ける!そしてかき氷にそそぐ!そして一気に食べる!」
しゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃり〜〜〜!!!!
あ、あ〜あ一気に食べちゃって、頭が痛くなっちゃうよ。
キ〜〜〜〜ン!!!
「おうおうおうおうおうおう〜」
ほら頭を押えてうずくまってる。
「美味しい〜〜〜〜」
おわっ!もう復活した、頬っぺたに手を当てて余韻を楽しんでいるよ。
「んじゃ、もう一杯」
シャリシャリシャリシャリ〜〜〜〜〜!
速っ!手が光速で回転して氷を削っている、このパワーを仕事に使って欲しいね。
「まずはふたを開ける!そしてかき氷にそそぐ!そして一気に食べる!」
しゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃりしゃり〜〜〜!!!!
さっきと台詞が同じだ・・・・・ってそれ二本目じゃないですか。呆気に取られて気づかなかった。
キ〜〜〜〜ン!!!
「をほほっほっほっほ〜〜」
また頭を押さえているよ。
「美味しい〜〜〜〜」
復活が早いなあ、ってまた氷を取り出した。まずい!またビールかき氷だ、止めないと。
「これはもう一杯食べないと罰が当たるわね」
「ミサトさん、ダメですよ。ビールかき氷は」
「え〜〜〜?良いじゃない。シンちゃんのケチィ〜〜〜〜」
プウ〜〜と頬を膨らまして駄々をこね始めた、ミサトさんぶりっ子はやめてください。
「食べて良いでしょ?」
「シロップでなら良いですよ」
「ビールもシロップなんだけどなあ〜」
「・・・・・・・」
ビールがシロップって聞いた事ないですよ。兎に角ダメ!
「しょうがないわね〜これを見て食べ様かな〜〜」
やけにあっさり引き下がったなあ〜。んこれを見て?ああっ!ミサトさんのポケットから取り出し僕にチラチラ見せるのは・・・・・・・
「これアスカに見せて良い?」
ミサトさんが取り出したものはケンスケから貰ったアスカの写真だ、それもスクール水着のやつ。どうしてミサトさんが持っているんだ?
「どどどどどど、どこでそれを?」
焦る僕、美味しくかき氷を食べているアスカに気づかれないように、小声でミサトさんに問いただす。
「これね〜〜知りたい?」
「し、知りたいですよ、どうして持っているんですか?」
「テーブルの下に落ちていたのよ」
僕とした事が何たる不覚を・・・・・ミサトさんの顔がにやけている・・・・・・僕の負けだ。
「分りました、好きなだけ食べてください」
「さっすがシンちゃん、話しがわかるわね、だからす・き」
・・・・・・・話しがわかるって脅迫じゃないかあ〜〜〜〜!
「んじゃ、至極のかき氷いっただきま〜〜す!」
それからはミサトさんの天下だった、食べる食べる・・・今の僕に止めれる権限は無い・・・とほほ、また出費が・・・・・
そして・・・・・・
「う〜〜ん、う〜〜〜〜ん」
ミサトさん、お腹が痛くて苦しんでいる、あれから何杯食べたっけ?覚えて無いや。
「シンちゃん、お腹が痛いの〜〜〜助けて〜〜〜〜」
自業自得ですよ、底無しのように食べるから、あれだけ食べたら誰だってお腹壊しますよ。
「お腹痛い〜〜〜〜〜〜〜」
はあ〜〜〜また出費が・・・・・ミサトさんが保護者というより僕が保護者みたいだ。はあ〜〜
調子にのったミサトさん、食べ過ぎはお腹を壊します。でもシンジ君いつのまにアスカちゃんの写真をそれもスクール水着!
確かに見られたらシンジ君殺されるでしょう(笑)
写真をネタに脅迫するミサトさん、流石三佐!
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION かき氷