宿題Ver.アスカ

しまったあ〜〜〜!

 部屋でアスカは窓ガラスが割れるくらい叫んだ。

宿題やってなかったわ〜〜!!

 今日は8月31日、学生にとっては夏休み最後の日である。絶叫のとおりアスカは宿題をしていなかった。

「くう〜〜天才美少女アスカ様とあろうものが不覚だったわ・・・・・・どうしよう・・・・」

 部屋中を歩き回り焦るが自分の事を『天才美少女』と言う辺りに若干の余裕が見られる。

「困ったわ、困ったわ。こんなに沢山の宿題、今日一日でできるわけないじゃない、まったくふざけた宿題の量ね」

 夏休みは1ヶ月以上ある、宿題の量は毎日少しずつやっていけば十日で終わる量だが今のアスカには関係無い。

「大体夏休みは休む為にあるのよ!なんで宿題なんかやらなくちゃいけないのよ」

 机に積まれた宿題を指差し怒る、人ではなく物にあたっているので少し虚しい。

「ええい、こんなもの!」

 宿題のノートを手に取ると壁に投げつけた、こんな事をしてるなら宿題をすればいいのだが頭に血がのぼっているので気がつかない。

「フン、良い気味だわ」

 腰に手を当て鼻で笑うとベッドに倒れこんだ。

「・・・・・・でもどうしようかな?」

 冷たい枕に頭をつけて冷静さを取り戻したのであろうか、宿題をどうするか大学出の頭脳をフル回転させる。

「・・・・考えるのよアスカ、絶対に良い方法があるわ」

 コンコン

 その時、襖を叩く音が聞こえた。しかし考える事に必死なので返事をする余裕がない。

「アスカ、どうしたの?ずいぶん騒いでいたようだけど」

 声の主はシンジであった、室内の音に心配したのか声をかけたようである。

 

 アスカの頭に閃きが走った、ベッドから飛び起きると速攻で襖を開けた。

「わっ!びっくりした〜〜」

「シンジ!アンタ宿題やった?」

「宿題?うんやったけど」

 流石シンジである、主夫と学生それとエヴァンゲリオンのパイロット、三束のわらじを履いていても生活に支障は無い。

「悪いけど、アタシまだちょっとわからなくて残っているのよ手伝ってくれない?」

 ちょっとの部分を強調した、ちょっとどころではない沢山残っている。大学を卒業しているので学生は無いに等しいがエヴァンゲリオンのパイロットだけでも生活に支障をきたしているアスカ。

「何がわからないの?」

「国語がね〜〜まだ上手に読めないでしょ、苦戦しているのよ」

「うん良いよ、リビングで教えてあげるよ」

「サンキュ〜〜〜」

 シンジにわからないようにコブシを握り締めガッツポーズ、これで宿題は終わったも当然である。

 そして・・・

 ドサドサドサッ!

 大量の宿題がテーブルに積まれた、その量を見たシンジは口をポカンと開けて声が出なかった。

「アスカ・・・」

「ん?なあに」

「ちょっと残っているって、全部じゃないかあ〜〜」

「そうとも言うわね」

 シンジから顔をそむけると頭をかきとぼける。

「全然やってなかったの?今まで何をしていたんだよ〜」

「色々予定があったのよ、さあサッサと始めるわよ」

 アスカはノートを開くとシンジの前に置いた。

「とほほ・・・・・」

 ガックリと肩を落す、今日の予定は掃除に洗濯と決まっていたのだがそれはできないだろう。

「頑張りなさいよ〜〜」

「アスカも自分でするんだよ」

 二人肩を並べ宿題をやっていく、正確にはシンジがやった宿題を写す作業である。休憩する時間など無い、無言で必死に写していく。

 

 

 

 

 

 

 

「お、終わった〜〜〜〜〜」

 シンジはシャープペンを置くと天井を仰ぎつつ仰向けに倒れ肩で息をした。外はすでに夕焼けになっておりノンストップで写していたのだ。

「アスカ〜終わったよ、あれ?アスカ?」

 隣を見るとアスカの姿は無かった、そのかわり写し終えた宿題が置いてあった、その量はシンジの三分の一程度の量である。

「なっ・・・・・どうして僕が・・・・・」

 シンジの胸に怒りがこみ上げた、自分のならまだしも人の宿題を手伝う、それもアスカより自分の方がやった量が多いから当然だろう。

「シンジ〜お疲れ〜〜」

アスカ!あっ・・・・」

 怒ろうと体を起こし声を張り上げたが、一瞬言葉がでなかった。

「お腹空いたでしょ、沢山作ったからからいっぱい食べてね」

 テーブルに置かれた皿の上には沢山のハンバーグだが形がちょっと変であったり焦げ目が多い。

「アスカ、これは・・・・」

「アタシの手作りよ、形は変でも味は保証付きよ味わって食べなさい」

 シンジの目の前に置かれる皿とソース、まだ驚きで声があまりでない。チラッとアスカを見るが普段しないエプロンを身に着けていたので頬が赤く染まり顔をそむけた。

「何してんのよ?早く食べなさい」

「う、うん」

 せかされるままハンバーグを取りソースにつけ口に運んだ。

 もぐもぐ

「どう?美味しいでしょ」

 アスカは緊張していた、自分で味を確認しても鉄人であるシンジが不味いと思う可能性がある。

「美味しいよ、アスカいつの間に上手になったの?」

「アタシは天才美少女なのよ、この位当然よ」

 腰に手をあて鼻で笑うがシンジはある一点を見逃さなかった。

(苦労したんだね)

 アスカの指にはバンソウコウがいくつも貼られていた、シンジはワザと気が付かないようにハンバーグを食したのであった。


 学生にとっては来ては欲しくない8月31日です。

 遊びすぎたのかアスカちゃん、宿題をまったくやっていませんでした。そこで頼りになるのが下僕?であるシンジ君、しっかりと手伝ってもらっています。

 宿題を写し終えたシンジ君、疲れましたがアスカちゃんの手作りハンバーグで元気になることでしょうね(^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 宿題Ver.アスカ