アイスに魅了された乙女
「はあ〜〜〜暇ねえ〜〜〜」
太陽が輝き蝉の声が五月蝿い午後、アスカはクーラーのきいたリビングで読んでいた雑誌を閉じため息をついた。
「暇なら掃除くらいしてよ」
「そんな暇はないの、めんどくさいもん」
同じくリビングで家計簿をつけているシンジは呟いたが即座に却下された。
「めんどくさいって・・・」
呆れるシンジ、返す言葉も無い。
「あ〜〜〜あ、暇〜〜〜〜」
「・・・」
クッションを抱きしめ転がるアスカ、シンジは発言するのをやめた。
ピ〜〜ンポ〜〜〜ン
「シンジ、誰か来たわよ」
「アスカが出てよ」
「嫌よ、アタシは忙しいの」
「・・・誰が見たって暇に見えるよ、僕は家計簿をつけているんだから出てよ」
シンジは家計簿をつけておりアスカはただ寝転がっているだけ、誰が見てもアスカの方が400%暇に見える。
「・・・わかったわよ、暇なシンジに代わって超忙しいアスカ様が出てあげるわよ」
「・・・」
呆れ果てるシンジであった。
ピ〜〜ンポ〜〜〜ン
「は〜〜い、どちらさま・・・ってファースト何のようなのよ?」
玄関を開けた先に立っていたのはレイであった。
「こんにちは、遊び来たの」
「遊びに〜?アンタも暇ねえ〜〜」
「毎日ゴロゴロしているあなたほどでもないわ」
「なっ、言ってくれるわね」
毎日の生活を見透かされているような発言に戸惑い額から汗が流れた。
「あなたが暇そうだから遊びに来てやったの」
「来てやった〜〜?はんっ馬鹿にしないでよ!アタシは忙しいの暇人は帰った帰った」
手をひらひらさせ追い返すアスカにレイは袋を見せた。
「これ」
「あ?何よそれ」
「アイス、買ってきたの」
袋を開けるとひんやりとした冷たい空気がアスカの顔に触れた。
「ア、アイス」
ごくりと生唾を飲むと瞳が輝いた、暑い時には誰もが魅了されるアイス、アスカもその一人である。
「忙しいなら駄目ね、帰って一人で食べましょう」
アスカに背中を見せると帰ろうとするが・・・
「ちょ、ちょい待ち!暇なのはつまんないでしょうから遊んであげるわよ」
「忙しいでしょ?」
「今、手が空いたわ。ほらあがんなさいよ」
レイの手を掴むと強引に室内に入れた。
「・・・おじゃまします」
「まずはアイスを食べるわよ」
「・・・」
アイスを見る瞳の輝きが一層増した。その姿にレイは言葉が出ない。
「碇クン、こんにちは」
「あれ、綾波だったの」
「うん、遊びに来たの・・・ぽっ」
家計簿をつける手を止め微笑むシンジに頬を赤らめるレイの本当の目的はシンジに会うためである。
「ほらシンジ、ファーストが折角遊びに来たんだからジュースでも出しなさいよ」
「あ、うん」
「碇クン、これおみやげアイスなの」
「嬉しいな〜ありがとう、綾波」
「碇クン・・・ぽっ」
シンジの満面の笑みと礼にさらに頬が赤らむレイ、持っているアイスが溶けそうである。
「ほらアイス!じゃなかったシンジ〜早く用意をしなさいよ」
「はいはいわかったよ」
せがむアスカに急かされ台所に向かうシンジ、母親の気分である。
「アイス〜〜アイス〜〜♪」
「アスカ・・・」
「何?」
「その性格羨ましいけど羨ましくないわ」
「はあ〜〜?何わけわからない事言ってんのよ」
アイスに浮かれその場で回るアスカの単純な性格にレイはポツリと感想を述べたのであった。
超暇なアスカちゃんですが頼まれた時には忙しくなります(笑)シンジ君は呆れてしまいますね。
暇なアスカちゃんに嬉しい来客レイちゃん。アスカちゃんは大喜び(アイスが目当て)レイちゃんはそんなアスカちゃんの性格が羨ましくありません(笑)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION アイスに魅了された乙女