誰に拭いてもらう?

「ねえシンジ」

「ん?どうしたの」

 葛城家のリビング、アスカは顔をしかめて腕を組んで立っていた。

「どうしてコイツがここに居るのよ?」

「コイツとはひどいなあ、僕にはちゃんと渚カヲルという名前があるんだよ」

「どうしてって遊びに来たから居るんだよ」

「だから遊びにくる必要なんて無いでしょうが!」

 カヲルが座ってお茶を飲んでいた、アスカにとってはここに居ることが腹立たしい。

「ふっ僕だってたまには遊びたい日があるんだよ、もちろんシンジ君と遊びにね、ふふふふ」

 意味が有りげな笑いをすると再びお茶を飲んだ。

「な〜〜にがシンジと遊びよ、変な事考えてるんじゃないでしょうね」

「変な事とは何かな?」

「な、何ってその・・・あ、あれよ・・・ア、アタシの口から言わせるんじゃないわよ!」

 何を想像したのか耳まで真っ赤になるアスカであった。

「アスカ、何言っているの?カヲル君はゲームをしに来たんだよ、ほらちゃんとソフトも持ってきたしアスカにもケーキをおみやげに持ってきたんだよ」

「えっ?ケーキ」

 ケーキに瞳が輝く。

「そうアスカ君がお腹を空かしたらいけないからね、ケーキを買ってきたんだよ」

「カヲル〜〜アンタ良いとこあるわね〜〜、見直したわよ」

 ポンポンとカヲルの肩を叩き喜んだ。

(ふっアスカ君は単純だね)

 髪をかきあげると呟くカヲルであった。

「シンジッ、早くケ〜〜キ」

「はいはい」

 テーブルを叩き催促するアスカ、シンジは急いで台所に向かい準備をした。




「わお〜〜〜美味しそう〜〜いっただきま〜〜〜す」

 テーブルに並べられたイチゴのショートケーキ、アスカは大喜びすると早速ケーキにフォークを通した。

「おいしっ!」

「ふふ、アスカ君に喜んでもらえて良かったよ」

「これはアタシの口に合うわよ、アンタ良いお店知っているわね」

「ふふ、アスカ君の口に合うお店を探すのに苦労したよ

 口の周りをクリームだらけにして喜ぶアスカにカヲルは微笑んだ。

「アスカ、口の周りクリームだらけだよ」

「ありゃりゃ、食べるのに夢中で気がつかなかったわ」

 ふきふき

「あ、ありがと」

 シンジはアスカの口の周りを拭いてあげた。

「シンジ君に拭いてもらえるなんてアスカ君は羨ましいね〜〜〜僕も拭いてもらいたいよ」

「な、何言っているだよカヲル君、て・・・照れるじゃないか」

「バカシンジッ、何赤くなってんのよ!」

 真っ赤になるシンジであった。

「あっカヲル君、ホッペにクリームが」

「えっ?本当かい?」

 意図的に付けたクリーム、シンジは拭くためにティッシュを取った。

(いけない!シンジをホモの道に行かせては!ペンペンッ!)

 ふきふき

「ふふ、ありがとうシンジく・・・ペンペン?」

「クエ〜〜」

 カヲルのホッペを拭いたのは今まで部屋の隅で寝ていたペンペンであった。

(ふ〜〜何とか間に合ったわ)

 額の汗を拭きホッとするアスカ、シンジがティッシュを取りカヲルのホッペを拭く間にペンペンを起こしティッシュでホッペを拭かせる早業を繰り出したのである。

「カヲル君綺麗になったね、それにしてもペンペン寝ていたのに起きるなんてカヲル君が好きなんだね」

「クエクエ」

「ふ・・・ふふありがとうペンペン・・・」

 野望が敗れて肩を落とすカヲルであった。

(ふ〜〜〜んだ、シンジに拭いてもらえるのはアタシだけなのよ!)


 カヲル君の野望はアスカちゃんによって崩れ去りました(笑)二人っきりなら野望は達成したのでしょうがアスカちゃんが居たのがいけなかったですね。

 アスカちゃんはこっそり「シンジはアタシのものよ」とカヲル君にアピールしてシンジ君をホモの道へ行かせないようにしているんでしょうね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 誰に拭いてもらう?