はあーーい、みんな元気?アタシは元気よ。アタシ?言わなくてもわかるでしょ、アタシよアタシ。え?アタシじゃわからないって、アンタふざけているわね。アタシを知らないなんて死刑よ!死刑!
しょうがないわね、特別にアタシの名前を教えてあげるわよ。アタシはアスカ、惣流・アスカ・ラングレーよ!永遠に覚えておきなさい。
世間では二月十四日はバレンタインデーって五月蝿くてしょうがないわ、まったくお菓子会社の戦略にみんな踊らされて本当に馬鹿ばっかり。
ふふん、その点アタシはしっかりしてるからお菓子会社の戦略には乗らないわよ。一緒にしたら踊らされていると思われちゃうからね。みんなより早くバレンタインデーを実行するんだから。
そういうわけで朝早くから台所で手作りチョコを・・・
ふらいんぐ らぶ
ふんふんふんふーーーんっと、既製品のチョコでも良いんだけど同じって言うのはねーーー、アタシだけのオリジナルを作ってこそアスカなのよ。
コンコンコンコン
?台所の扉をたたく音、まったく誰よ。
「アスカーなにしてるの?」
声の主は馬鹿シンジ、何をしているって秘密よ。
「秘密よ、開けたら殺すわよ」
そう、開けたら殺す。ちゃあんと扉に『何人たりとも開けたら殺す』って書いておいたから誰も開けないわよ。
「えーーー?朝ご飯作れないんだけど」
「別に食べないくらいで死なないでしょ」
「死なないって、まあ死なないけど、ミサトさんの御飯を」
「コンビニで済ませれば良いでしょ、どうせなに食べても満足するんだから」
そう別にミサトはなに食べても良いのよ、シンジの料理はもったいないすぎるわ。
「そうはいかないよ、開けるよ」
な、なんですってーー!?ちょっとまったーーー。
どげしっ!!
「あ、あうーーーーアスカ、ひどい・・・・・」
ふうーーー、危ない危ない秘密を見られるところだったわ。
「シンジ、シンジ」
「・・・」
返事が無いわ、気絶しているわね。これで気兼ねなく集中できるわ。ミサトは・・・無視してても良いわね。
「ふあああ、お腹空いたわーーあら?何かしらこれはアスカの字ね『何人たりとも開けたら殺す』って恐ろしいこと書くわね。ってシンちゃん、どうしてここで寝ているの?」
ん?外から聞きなれた三十路の声、ミサトが起きてきたわね。
「ミサトーーー」
「ん?何」
「開けたら殺すわよ」
扉の向こうではミサトが寝癖だらけで立っているんでしょうね。
「お腹空いたんだけど、駄目なの?」
「駄目に決まっているでしょ、コンビニで何か買ってくればいいでしょ」
「へいへい、わかりました。がんばんなさいよーー」
がんばんなさいよって、ばれてる?
「わかるわよ、甘ーーーい匂い、ごちそうさまん」
匂い、台所中に充満しているから、外にも漏れているのね。まあ馬鹿シンジは気絶しているから良いわ。さあ頑張るわよ。
・・・完成はしたけど・・・アタシらしい出来栄えだわ、天才の芸術って言うのかしら?これで受け取ってくれるかしら?
「ありがとう、アスカ」
「おわっ!シンジ、どうしてここに?」
びっくりしたわ、どうして台所に居るのよ?
「どうしてって、もうお昼だから御飯作ろうと思って・・・入っちゃ駄目だったかな?」
当然でしょ、殺すって書いてあったんだから、殺すわよ・・・
「ありがとうって、まだあげていないでしょうが、これは別にアンタにやるんじゃないんだから」
「え?・・・」
ふふ、悲しい顔をしているわね。ショックが大きかったかしら?
「ふふ、冗談よ、あげるわよ」
「本当?」
「本当よ、疑っているんならあげないわよ」
「疑ってないよ、ありがとう嬉しいよ」
ふふ、さっきと違って大喜びね、まったく男の子ってどうしてこう単純なのかしら?
「心して食べなさいよ、アタシが作ったんだからね」
「うん、大事に食べるよ」
「お返しもちゃんとするのよ」
そう贈るだけじゃ馬鹿馬鹿しいもんね、お返しはふふふ・・・
「十倍返しでお願いするわよ♪」
「じゅ、十倍って・・・」
「お願いねシーーーンジ君っ」
「とほほ、男は大変だァ」
大変なんかじゃないわよ、アタシの手作りチョコを食べられるんだからね。
バレンタインデーより早く贈るアスカちゃん、流石一番が好きなだけありますね。
シンジ君、殴られたのは不幸でしたが、貰えたから良いでしょう。でも十倍返し(^^;)アスカちゃんの手作りだから百倍でも良いでしょうね(笑)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION ふらいんぐ らぶ