二人の贈り物

「そうか、今日なんだ・・・」

 シンジはリビングの壁に貼ってあるカレンダーを見て呟いた、今日は五月十三日なにかあるのだろうか。

「ふう〜〜関係ないかな・・・」

「な〜〜〜に暗い顔してんのよ、いつも以上に暗いわね」

 そこへアスカがやってきた。

「そうかな?」

「カレンダー見て何があるの?」

「今日は十三日なんだ」

「十三日?十三日の金曜日?」

 十三日と聞いてまず浮かぶのは金曜日だろう。

「違うよ今日は日曜日じゃないか」

「じゃあ何よ、今日は何があるのよ?」

「今日は母の日なんだ・・・」

「母の日・・・」

 シンジの口から出た言葉にアスカは気持ちが沈んだ、二人とも母親はいない。

「そうか、母の日なんだ・・・あ、あれ?涙が出てきちゃった」

 アスカの頬に流れる一筋の涙、カレンダーを見ていると涙が込み上げてくる。

「そうだね、僕も涙が出てきちゃった・・・」

 シンジの瞳からも涙があふれ出てきた。

「どうして涙が出てくるのよ?」

「わからないよ、でも涙がでるんだ」

 小さい頃の思い出、記憶の隅から浮かんでくるのだろう。





「母の日・・・アタシ達には関係ないわよね・・・」

「うん、でもミサトさんに何かお礼をするのはどうかな?」

「はあ?どうしてミサトなのよ」

「いつも世話になっているし僕らには母さん的な存在だよ」

「世話?アタシ達が世話しているじゃない」

 アスカが正しいであろう、しかし一つ間違っている世話をしているのはシンジだけである。

「うん、でも・・・」

「わかったわよ、それじゃあ何か買いに行くわよ」

「うん」

「ふふ、何張り切ってんのよ」

 大きく頷くシンジにアスカは笑みを浮かべると早速買いに出かける。





「で、何買うの?」

「カーネーションかな、定番じゃないか」

「そうね、安上がりだし貰われたら嬉しいもんね」

「うん、商店街に行こうか」

 定番中の定番、カーネーションを買うために商店街の花屋に向かう。





「わ〜〜〜綺麗〜〜〜」

 花屋に着いた二人、店頭にはカーネーションの赤で一面である、赤が大好きなアスカはおもわず見とれた。

「そうだね、値段も安いし何本買おうか?」

 二人の小遣いで十分に足りる値段、客層を見ると同じような年頃の子が買っている。

「あれ?綾波」

 後姿でも見間違う事が蒼色の髪、レイであった。

「あ、碇クン」

「綾波はリツコさんにあげるんだ」

「うん、今日は母の日だからでも姉の日って否定するの」

「リツコらしいわね」

「そうだね、そのうち姉の日ってMAGIで操作するんじゃないかな」

 リツコの性格から近々するだろう。

「そうね、絶対するわね」

「うん絶対するよ」

 確信している二人であった。

「二人は何を買いにきたの?」

「僕達もカーネーションを買いにきたんだ、ミサトさんにあげるんだよ」

「・・・葛城三佐、お母さんなの?」

「違うよ、日頃お世話になっているからあげるんだよ」

「・・・お世話、違うような気がするわ」

 首を傾げるレイ、誰が見てもミサトが世話をしていない。

「ほらファーストも言っているじゃない、本当にだらしない保護者だわ」

「う、うんそうだね」

「だらしない保護者・・・無用なの」

 本当にだらしない保護者ミサト、花の独身である。

「じゃあさよなら、私行くから」

「うん、じゃあねまた明日」

 レイはカーネーションを両手で抱えると早歩きで帰っていった、早くリツコにあげたいのであろう。

「さあて何本買おうかな」

「そうね〜〜五本くらいで良いんじゃない?丁度値段も良いでしょ」

「そうだね、じゃあ五本買おうっと」

 お金を出し合う、丁度二人で割り切れる金額であった。シンジは受け取ると花屋を出た。

「さあて帰ろう」

「そうね」

 二人は家路に向かった。






「あ、ミサトさん帰ってきてる」

  玄関には鍵が掛かっておらずミサトの靴がだらしなく脱ぎっぱなしになっていた。シンジは靴を並べるとリビングに向かった。

「あらお帰り〜〜およ、花買ってきたの綺麗ね」

 ミサトも一応女性、花が綺麗だといいう感覚がある。

「はいこれ、僕達からなんです」

「私に?」

「はい、ミサトさんには関係ないんですけど今日は母の日で、ミサトさんは僕達にとって母さんみたいだから」

「そうよ感謝しなさい、わざわざアタシがお金を出したんですからね」

「僕もだよ・・・」

 大威張りするアスカに呟くシンジであった。

「あなた達・・・く〜〜〜〜感激すような事してくれるじゃない。でも私はお姉さんだからそこんとこヨロシクねん」

「わかってますよ、ミサトさんは僕達のお姉さんですよ」

「そうかしら、ミサトって33でしょ、十分母の日で通用するわよ」

 ぴくっ!

 アスカの発言に眉毛がピクリと動いた。

「そう?35じゃなかったかな」

 ぴくぴくっ!!

 シンジの発言にこめかみに怒りマークが一つ。

「違うわよ、40よ40、確か40だったわよ」

 ぴくぴくぴくっ!

「そうかな?ミサトさん何歳ですか」

 ぶっちん!!

 ミサトの何かが切れた。

こら〜〜あんた達〜〜〜私をどういう風に見ているのよ〜〜〜私はね〜〜〜私はね〜〜〜

「ひっ!」

「きゃっ!」

 突然のミサトの絶叫に驚く二人、アスカはちゃっかりシンジの腕に掴まっており、頬を赤らめている。


































14歳なのよ〜〜〜〜〜!!!

「・・・」

「・・・」

 肩で息をして呼吸を整えるミサト、二人は固まっている。

「・・・そうだ晩御飯の準備をしないと」

「手伝うわ」

「あっこら待ちなさい、私は14歳なのよ」

「今日はハンバーグにするよ」

「本当?ラッキ〜」

 ミサトを無視して台所に向かう二人であった。


 今日はミサトさんの年齢偽りの日でした(笑)

 むうそれにしてもミサトさん誰が見ても14歳には見えません。ウソをいったら逮捕されます。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 二人の贈り物