こんなミサトさんでも
「だだいま〜〜〜」
「お帰りなさいミサトさん、残業ご苦労様です」
「ええ、もう疲れたわ〜〜〜」
夜は八時をまわりミサトの帰宅、背中を丸め口をポカンと開け疲れを身体で表していた。
「ご飯取ってありますけど食べます?」
「ええ、頂くわ」
「じゃあ温めておきますから着替えてきてくださいね」
「ありがと」
ミサトは重い足を引きずり着替える為にひとまず自室に戻る。その間にシンジは夕食を温めなおす。
「シンジ〜〜コーヒー入れて〜〜〜」
「う〜〜ん」
リビングから聞こえるアスカの声、自分では入れないシンジに入れてもらうのが何よりの楽しみなのである。
「どっこいしょっと」
リビングでクッションの上に腰を下ろすミサト、声を出しておりほぼオヤジ化している。
「声出してみっともないわね〜〜〜」
「しょうがないじゃない疲れているんですもの」
アスカはテーブルに頬杖をつき、だらしなく胡座をかいているミサトを見て呆れた。
「ミサトさんお疲れ様です、はい」
「おっサンキュ〜〜」
温めなおされた夕食と共に出てきた缶ビール、ミサトの顔が明るくなった。
「ゴキュゴキュゴキュゴキュ・・・ぷは〜〜〜やっぱ人生、この時の為に生きているようなもんよね」
一気に飲み干すと疲れが取れたのか表情が生き生きしてきた。
「大げさね〜ビールの為に生きてるの?」
「そうよん、なんたって私の活力源ですからね」
「ミサトさん、毎日残業が続いていますね忙しいんですか?」
ここ一週間ミサトの帰宅は午後八時をまわってからであった。
「ええ、何だかわかんないけど忙しいのよね〜〜毎日毎日書類と格闘してんのよ、もう嫌になっちゃうわ」
「大変ですね」
「もう大変よ、どうして私がしなくちゃいけないのかしらと思っちゃうわ、日向君にでもやらせれば良いのに」
「そしたら日向さんが大変ですよ」
日向も毎日残業をしておりこれにミサトの仕事を加えるとなると一日中働かないといけない。
「い〜〜〜の、い〜〜〜の男性は働く為に存在するものなんだから、そうよねアスカ」
「か弱き女性を助ける為に働くのよ、ねえシンジ〜〜〜」
「な、何だよそれ?」
都合のいい解釈に呆れるシンジであった。
「はあ〜〜〜もうこう毎日残業じゃあ嫌になっちゃうわ〜〜〜」
「頑張ってくださいミサトさん」
「どうして残業があるのかしら?」
「急がないといけないんじゃないんですか?」
「書類を見続けるから目が疲れるのよね〜〜」
「目薬ありますよ」
「肩も凝って困るわ〜〜」
「湿布がありますよ」
「疲れた〜〜〜」
「頑張ってください」
ミサトの愚痴を嫌な顔一つせずに聞くシンジ、立派な主夫である。
「シンちゃん優しいのね、チュッチュしたいわ。チュッチュ!」
「わっミサトさん」
シンジに抱きつくと頬にキスをするミサト、酔っているのであろう顔がほんのり赤い。
「シンちゃんだ〜〜い好きよ〜〜チュッチュ」
「や、やめてくださいよ〜〜〜」
「こら〜〜ミサトッ!なにやってんのよ。離れなさいよ!」
強引に二人を離しにかかるアスカ、ミサトの行動が腹立たしい。
「大好きなシンちゃんを取られても焼かない焼かない」
「だ、誰も焼いてなんかないわよ。誰が大好きなもんですか」
否定をするが少し頬が赤い。
「嘘言わなくてもい〜〜の、い〜〜〜の。アスカもだ〜〜い好きよ〜〜チュッチュ!」
次はアスカに抱きつくと頬にキスし始める。
「ちょ、ちょっと何するのよ」
「大好きよ、アスカもシンちゃんも・・・」
「ミ、ミサト?寝ちゃった」
そのままアスカの肩に寄りかかるミサト、もう寝ていた。
「疲れているんだね、部屋に運ぼうか」
「まったく世話が焼かすわね、保護者としての自覚があるのかしら?」
「僕達の為に頑張ってくれているだ、保護者の自覚が無くても大事な家族だよ」
「だらしない姉ね、まったく困ったわ」
「はは、そう言わずに」
二人はミサトを抱えると部屋に寝かせに行くのであった。
ミサトさん、二人の為に頑張って働いています。疲れて帰宅しても二人の顔を見れば元気回復でしょう。
シンジ君の美味しいご飯にアスカちゃんの笑顔?明日も仕事頑張れますね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION こんなミサトさんでも