LEVEL
「クエエエエエエエッ!!」
「げえ〜〜〜〜っ!」
葛城家リビングに響く一人と一匹の叫び声、アスカとペンペンである。格闘技ゲームで遊んでおりTV画面には『WIN』の文字、そしてコントローラを握りガッツポーズをするペンペンの姿があった。
「ちょっとペンペン、アンタ強すぎよ〜」
「クエクエ」
対戦成績は三十勝零敗、ペンペン無敵の強さである。
「ちょっと手加減しなさいよ」
「クエクエ」
首を横に振るペンペン、勝負事に手加減をしない。
「どうしてそんなに上手いのよ」
「クエクエ」
アスカも格闘技ゲームは上手なのだがペンペンはそれより遥かに上手であった。
「まったく暇人は良いわよね、毎日ゲームができるんだから」
「クエクエ」
首を横に振るペンペン、毎日ゲームをしているわけではない。シンジの家事を手伝っているので葛城家の女性陣より忙しい。
「ふんっ!アタシだって毎日すれば絶対に負けないわよ」
「クエ〜」
呆れてため息、アスカは毎日ゲームをしておりその事を棚に上げている。
「もうヤメヤメ、アンタとしても面白くないわ。シンジとやろっと」
勝てないので面白くない、葛城家で勝てる相手はミサトとシンジ、ミサトは仕事なので白羽の矢がシンジに立った。
「シンジ〜〜〜ゲームするわよ〜〜」
「ごめんアスカ、これから買い物に行くんだよ」
勝って良い気分になりたいのだが、台所から聞こえる声にその野望は脆くも崩れ去った。
「ぬあんですって〜〜〜!!買い物〜?そんなの後にしてゲームをするわよ」
「そうはいかないよ」
「駄目っ!ゲームをするの〜〜〜」
手足をばたつかせて駄々をこねるアスカ、ペンペンで負けたストレスをはらしたい。
「はあ〜〜〜負けるとわかっているのにどうしてやるの?」
ペンペンの強さはシンジも知っているアスカが勝てる確率はほぼゼロである。
「いいじゃない、コイツを負かしたいのよ!ペンペン絶対に勝ってみせるわよ」
「クエ〜」
ペンペンを指差し宣戦布告をするが戦う前から敗戦が決まっている。
「勝てないよ、レベルが違うんだから」
「何いってんのよ、アタシとコイツのレベルが違うわけないじゃない」
「違うよ、以前リツコさんに聞いたんだけどペンペンはレベルが99あるらしいんだ」
「はあ〜99?何言ってんのよ」
「リツコさんが人のレベルを測る機械を作ったんだって、それでペンペンを測ったら99が出たんだ」
「MADの言葉を鵜呑みにして、そんなの信じらんないわよ」
アスカは信じることができない、MADが作る機械で上手くいった例が無いからである。
「そうかな?ペンペンは強いから信じられるんだけどなあ〜、アスカのレベルも聞いたんだっけ確か・・・」
「アタシのレベル?当然99でしょ、いいえ100よね」
「確か・・・1だったよ」
「い、いちい〜〜〜〜?」
驚くアスカ、十四年間生きているのに1である。
「うん、スライム並だって」
「ス、スライム〜〜〜?」
RPGで一番弱い魔物、アスカはそのレベルである。
「じゃあ、買い物にいって来るね」
「ちょ、ちょっと待ちなさい、どうしてアタシが1でペンペンが99なのよ」
「知らないよ、リツコさんに聞いてみれば?」
「くうう〜〜リツコの奴〜〜〜〜、変な機械を作って許せないわ」
「クエクエ」
拳を作り燃えるアスカにペンペンは首を横に振った。
「え?リツコさんの機械は正確、そうなの?」
「クエクエ」
頷くペンペン、ペンギン語がわかるシンジ、二人の友情の賜物であろう。
「バカ言ってんなじゃないわよ!誰が99で誰が1かわからせてあげるわ」
ファイティングポーズをとるアスカ、そして・・・
「ASUKA STRIKES!」
高速のパンチがペンペンを襲う。
「クエッ」
「なにっ!?」
しかしペンペンも高速の動きでパンチをかわしアスカの目の前から消えた。
「クエエエエエッ!!」
ごんっ!
「うぎゃっ!」
アスカの背後に回り全身を高速回転させくちばしで後頭部を攻撃した。
「アスカこりないねえ」
意識を失い倒れ行くアスカを心配しないシンジ、この光景はもはやお馴染みである。
「クエッ」
手を合わせ礼をするペンペン、戦いの後の礼儀は忘れない。
「これじゃあアスカは何時まで経ってもレベル1だね」
「クエクエ」
シンジの言葉に頷くペンペンであった。
ペンペンがなぜ強いのかおわかりでしょうか、レベルが99あるからなんです(笑)
そしてアスカちゃんのレベルは1、へっぽこですね。ゲームで負けて現実でも負けて・・・でもシンジ君の取り合いでは勝つかもしれないですね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION LEVEL