MS[
「宇宙世紀0111、サナリィ社のFシリーズがアナハイム・エレクトロニクス社を破り正式採用される・・・」
MADの研究室、リツコは熱心に一冊の本に目を通していた。
「F90は小型でありながらそれまでの大型機以上の性能を出せる・・・な、なんて素晴らしいの!」
リツコは思わず立ち上がった。
「MSの大型化は終わったのね、これからは小型化の時代よ!エヴァを小型化・・・駄目ね、美しくないわ。小型化するのはやはりガンダムよ、そうとなればこうしちゃいられないわ」
カタカタカタカタカタカタ〜〜〜〜!
コンピュータに向かい一心不乱にキーを打ち始めるリツコ、その顔は何かに取り付かれたように笑っている。
「これが成功すれば私の名前は永遠に残るわ、お〜〜〜〜ほほほほほ〜〜〜!」
真夜中のネルフにリツコの笑い声が木霊した。
「最近実験が無いけどどうしたのかな?」
「さあね、無くて良いじゃない。面倒だもん」
「ネルフに行ってもリツコさんの姿は無いし、綾波知らない?」
「知らない」
下校風景、シンジは最近実験が無いことを気にしていた。
「また研究室にこもって怪しいものでも作ってんじゃないの?」
「・・・そういえば研究室のドアが開かないってミサトさんが言っていたね」
「ほらリツコ何か作ってんのよ、どうせ作ったって失敗するに決まってんのにね」
リツコの作品に失敗は多い、九割は失敗である。
♪〜〜♪〜〜
「電話・・・」
レイの携帯のメロディーが鳴った、猫踏んじゃったである。
「はい・・・わかりました」
「綾波、誰からなの?」
「おかあさん、今から来なさいって」
「何か完成したのね。行っても失敗作に付き合わせられるだけよ、やめなさい」
「行かないと、改造されるから・・・さよなら」
レイは少し瞳を潤ませるとシンジ達と別れネルフに向かった。
「あ,綾波・・・無事で」
シンジはレイの哀愁漂う後姿に手を振りながら呟いたのであった。
「入ります・・・」
「よく来たわねレイ、また素晴らしい発明をしてしまったわ」
「・・・」
リツコのハイテンションと違い暗いレイ、自分が実験体にされる不安で言葉が出ない。
「どうしたの?体の調子でも悪いの」
「・・・はい、少し・・・」
「それはいけないわ、この薬を飲んだら完璧に治るわよ」
「げ、元気になりました。もう大丈夫です」
紫色の薬、リツコが作ったものだとわかる。飲みたくないのは当然である。
「あらそうなの、じゃあこれを着てちょうだい」
「これは?」
机の上にかけておいた布を取るとパーツらしき物が数点置かれていた。
「これはMSスーツよ、今まではMSを作っていたけど小型化に成功して身体に装着できるようにしたのよ」
「・・・」
「これを見なさい、素晴らしい出来栄えでしょう?ここまで小型化できたのはこの天才的な頭脳のおかげね」
「・・・」
「そして記念すべき第一号はガンダムよ、アムロじゃないけどレイの為に作ったのよ、さあ装着して」
「・・・はい」
この場でレイに断るすべは無い、もし断れば実験体が待っている。
「そのまま装着して良いんですか?」
「あ、そうそうレオタードを用意したわよ、それを着てちょうだい」
「・・・はい」
渡された白いレオタード、制服を脱ぐと着替え始める。
「あ〜〜〜あ、暇ねえ〜〜何か面白いことな〜〜〜い?」
場面は変わって葛城家のリビング、アスカはゴロゴロ転がって暇を持て余していた。
「何も無いよ、暇なら洗濯物畳んでよ」
「や〜〜〜〜」
「まったく・・・」
アスカの隣ではシンジが取り込んだ洗濯物を畳んでいた。
「ふあああ〜〜い〜〜〜天気ね〜〜〜あら?何かしら」
ベランダの窓から見る空は雲ひとつ無い快晴であった、アスカはその空に何か光ったのに気が付いた。
ビュ〜〜〜〜〜〜〜!!
「ああっ!ファーストが飛んでこっちに来る〜〜〜!」
「なに寝ぼけているの、綾波が飛んでくるわけ・・・飛んでる!!」
二人は驚いた、レイが空を飛んでこちらに向かってくる。
ビュ〜〜ガシュ〜〜〜
ベランダに降りるレイ、身体の所々は露出しているがその姿はRX-78-2ガンダムである。
「こんにちは、遊びに来たわ」
「あ、遊びに来たって何よその姿は」
「おかあさんが作ったの」
「リ、リツコさんが作ったのってそれなの?」
驚きに腰を抜かすアスカとシンジ。
「うん、MSの小型化に成功したMSスーツ、まれに見る成功作なの」
MSスーツの完成度は高かった。リツコの発明にしては久し振りの傑作品である。
「碇クン、どう似合う?」
「う、うん可愛いよ」
「・・・ぽっ恥ずかしいわ」
バシュ〜〜〜〜〜!ドカ〜〜〜〜ン!
レイは頬を赤らめると持っていたビームライフルをビルめがけて発射した。
「ああっ!アンタそれ本物じゃない」
「ビルが粉々になっちゃったよ」
「粉々なんて恥ずかしいわ、碇クン」
「粉々で恥ずかしがるな、アンタビル一つ破壊したのよ」
「破壊・・・ぽっアスカ恥ずかしい事言うのね」
「破壊のどこが恥ずかしいんじゃ〜〜〜!」
「ビームサーベルも本物なの、ほら」
背中のビームサーベルを取り出すとグリップのスイッチを押した。
ブウンッ!
「おわっ!」
「あ、危ないじゃないの!」
ビームが出て天井に穴を開けた。
「このMSスーツがあれば無敵だっておかあさん言っていたわ、世界征服もできるって」
「リ、リツコさん恐ろしいことを考えるね」
「まったくあのMAD SCIENTISTは何考えてだかわからないわね」
「お〜〜〜〜ほっほっほほ〜〜〜〜〜!!!MSの歴史に新たな一歩を刻み始めるわよ〜!」
研究室、毎日リツコの笑い声が木霊する。
MSを美少女が着る、MS少女ですね。今回はレイちゃんが犠牲者(笑)になりRX-78-2を装着しました。
機動力、武器は本物、リツコさんのMADのこだわりですね。
シンジ君に可愛いと言われ恥ずかしさのあまりビルを破壊するレイちゃん、ちょっと危ない(^^;)
どなたかCGを描いてくれると嬉しいですね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION MS[