レイのお弁当
き〜んこ〜んか〜んこ〜〜〜ん!
「メ、メシの時間や〜〜〜!」
授業終了のチャイムと同時にトウジは立ち上がり叫んでパンを買うために教室を走って出た。
「まったく鈴原ったら学校に何しにきているのかしら」
トウジがいない机を見ながら呟くヒカリは呆れてため息をついた。
「お昼ごはんと寝に来ているのよ」
「そうね、勉強しているところなんて見たこと無いわ、食べましょ」
アスカの言葉に賛同し鞄からお弁当を取り出した。
「さあて今日のオカズは何かしら〜♪」
お弁当を開けるのが楽しいアスカ、いつもシンジが作っているので中身は知らない。
「わお〜〜〜、ハンバーグだわ」
現れたのは一口大のミニハンバーグ、冷凍物であるが大好物である。
「碇君相変わらず上手ね」
「んふふ〜〜おいし〜〜〜♪」
料理人ヒカリも絶賛するシンジのお弁当にアスカは大満足である。
「碇クン・・・」
「ん?どうしたの綾波」
パンを買いに行っているトウジを待っているシンジとケンスケの所へレイがやって来た。
「私、お弁当を作ってきたの碇クンのと取りかえっこしたいの」
レイの両手には白いハンカチで包まれたお弁当があった。
「へえ〜〜〜作ってきたの、うんいいよ〜取りかえっこしよう」
「うん・・・ぽっ」
シンジの笑顔に頷き赤くなるレイであった。
(く・・・くう〜〜〜シンジの奴羨ましいぞ〜〜〜〜)
心の中で叫ぶケンスケであった。
「一緒に食べてもいい?」
「うん、いいよ。ケンスケいいだろ?」
「ああいいよ、トウジが戻ってきたら食べようか」
「おう、今日もたこ焼きパンゲットしてきたで」
両腕に沢山のパンを買えてご満悦なトウジであった。
「毎日よく食べるな〜」
「ええやないか食べ盛りやさかい、何や綾波も一緒か?」
「うん、一緒に食べたいの」
一緒に食べたいのはシンジだけである、他の二人は別に居なくてもいいのである。
(さあて綾波はどんなのを作ったのかな?)
料理人として他の者がどんなものを作ったのか気になる。
(おっ卵焼きに焼き鮭、ヒジキにリンゴかシンプルだけど良いぞ)
お弁当を開け吟味する、その隣で食べているレイは・・・
「美味しい・・・ぽっ」
シンジのお弁当を頬を赤らめ味わっていた。
(見た目は良いぞ〜さてお味はどうかな?)
料理人の目が輝き焼き鮭に箸を伸ばした。
ぱくっ
(うっ!!)
シンジの身体が一瞬止まった。
(こ、これは絶妙な塩加減に焼き加減、鮭の味が口の中で広がり味覚に刺激を与えてる)
ぽろぽろぽろ
そして瞳からは涙が流れ始めた。
「何やシンジ、何泣いとるねん?」
「あ、あれ?どうして僕は泣いているんだろう?何だかこの焼き鮭の味が懐かしくて・・・」
「碇クンハンカチ」
「ありがとう綾波」
レイからハンカチを受け取ると瞳に当てて涙を拭き取る。
「美味しかった?」
「う、うん綾波この焼き鮭は最高だよ、何だか昔母さんが作ってくれた味がするんだよ」
「本当?」
「うん本当だよ」
「じゃあ私の事おかあさんって呼んでも良いわよ・・・ぽっ」
また頬が赤くなる。
「な、なんやって〜〜〜綾波がおかんやと〜?」
「い、いや〜〜〜んな感じ〜〜〜」
「お、おかあさんって同じ歳なのに呼べないよ」
「じゃあこれに名前を書いて」
レイはポケットから折りたたまれた紙を取り出し、広げるとシンジの前に出した。
「これは?」
「婚姻届、私碇クンの妻になるからレイって呼んで良いのよ」
「つ、妻やて〜〜〜」
「い、いや〜〜んな感じ〜」
「あ、綾波〜〜」
「こら〜〜〜ファースト〜〜〜〜!!!」
びりびりびりびり〜〜〜〜!!
突如アスカがやって来て婚姻届を破り捨てた。ヒカリと食べていたが、レイがシンジと居る事で何かあると思い集中していたようである。
「何するの?」
「アンタブァッカじゃないの?お弁当だけの為に婚姻届を出すなんて」
「バカじゃないわ、碇クンが感動したものこれは告白、プロポーズと受け取って良いわ」
「アンタねえ〜〜ちょっとずれているわよ」
「いいの、碇クンさえ居れば・・・ぽっ」
また頬が赤くなる。
「まったく天然って言うかなんと言うか」
呆れるアスカ、そして・・・
(お弁当で感動したら婚姻届を出す・・・あ、綾波さんなんて素晴らしいアイデアなの!そしたら私も・・・ぽっぽ、きゃ〜〜〜〜〜いやんいやん!!)
気になる人物を見つめ妄想するヒカリであった。
レイちゃんのまごころをこめて作ったお弁当はシンジ君を感動させました。それが元で二人は結婚(笑)とはいきませんでしたね、当然アスカちゃんの妨害が入りました。
レイちゃんの味はユイさんの味に似ているんですね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION レイのお弁当