せつぶん
「あら、今日は節分だったのね」
休憩時間リツコはネットで新聞を読んでいて『節分』の文字が目に入った。
「二月三日、早いわね〜もう一月が過ぎたのね」
時間の流れの早さにしみじみ思うリツコ、年を取ると時間が早く感じるというのだが、果たしてリツコもそうなのだろうか。
コクコク
隣でお茶を飲んでいたレイは無言で頷いた。
「?レイ、何か言ったかしら」
「いいえ、なにも」
「そう、ならいいわ」
もし言ったならレイは改造されていただろう。
「レイ、節分は知っているかしら?」
「はい、私と碇クンを祝ってくれる日・・・ぽっ」
「え?違うわよ節分でしょ」
リツコは首を傾げた、レイがシンジにお熱なのは知っているが、妄想がここまで凄いとは知らない。
「はい、私と碇クンのせっぷんの日・・・ぽぽっ」
「・・・」
赤くなった頬を手で隠し照れるレイだがリツコは呆れて何も言えない。
「あのねレイ、せっぷんじゃなくて節分なの、豆まきをして鬼を退治・・・」
「鬼・・・SALを退治するのね」
SALは勿論アスカの事である。
「レイ、違うわよ。アスカじゃなくて・・・」
「SALを退治すれば邪魔者はいなくなって私と碇クンは・・・結婚・・・ぽっ」
「レイ・・・」
リツコの言葉を聞いていないレイは自分の世界に入っていた。
「そうと決まれば早速殲滅に」
「あっレイ」
レイはすぐさま立ち上がり研究室を出た、目的は決まっている。
「今日は何を食べようかな〜〜」
食堂のメニュー展示の前でアスカはどれを食べるか悩んでいた、その姿を影から見つめる紅い瞳。
(SAL・・・SALは殲滅、殲滅して碇クンとせっぷんの日・・・殲滅開始!)
瞳が光った、アスカに気づかれないように気配を消して近づいた。
ばんばんばんばんばんっ!
「いたっいたたたたたた!」
「鬼は外、SALは殲滅」
後頭部におもいっきり豆をぶつけていく、アスカは不意打ちでたまらずしゃがみ込んだ。
「な、何なのよ?使徒〜?ってファースト!アンタなにしてんのよ?」
「今日は碇クンとのせっぷんの日、SALを殲滅する日、アスカおとなしく死んで」
「な、何言ってんのよ、いたたたたたた〜」
ばんばんばんばんばんっ!
「いたっいたたたたたた!」
容赦なくアスカに投げられる豆、レイの瞳が殺気に満ちている。
「殲滅、殲滅、殲滅」
「むっき〜〜〜アンタいい加減にしなさい!」
「きゃっ!」
アスカは豆を振り払うとレイに飛び掛り馬なりになった。
「ファ〜〜スト〜〜〜、覚悟は良いわね」
ぼきぼきぼきぼき
アスカは指を鳴らすと口元を歪めレイを見下ろした、今にでも殺人を犯しそうな雰囲気である。
「ぼ、暴力はダメなの・・・」
「ぬあにが暴力がダメよ、アンタだってしたでしょうが!」
「私はSAL退治をしただけなのに・・・」
「SALじゃないわよ、アスカよ!このバカファースト〜〜〜!!」
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
レイの悲鳴が食堂に響き渡った・・・
「ふんっ、今度変なマネしたら殺すわよ」
両手をはたいて蟹股でその場を後にするアスカ、残されたレイは・・・
「しくしく、しくしく・・・碇クンとのせっぷんの日が・・・しくしくしくしく」
豆を口に詰め込まれ倒れていたのであった。
レイちゃん節分なので鬼を退治、鬼と言えばアスカちゃん、早速鬼退治に出かけました。
退治してシンジ君とせっぷんの日(すでに勘違い)にはなりませんでしたね、アスカちゃんは強かった(笑)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION せつぶん