たまにはこんな休日も
「ねえシンジ〜〜〜どっか遊びに行こうよ〜〜」
ゴールデンウィークに入って三日目、今日はネルフでの実験も無く一日暇である。アスカは暇で暇で暇である。
「良いけどどこに行くの?」
シンジはTVから窓へと目を移した、外は昼前だというのに薄暗く雨が降っている。
「雨が降っているから出かけてもつまらないと思うよ」
「ううっ〜〜出かけたいよ〜〜〜」
休日なのに雨、アスカは恨めしそうにいつ止む事の無い空を見つめた。
「明日も休みなんだから明日にしよう」
「明日が晴れるって保障は無いでしょ」
ゴールデンウィークの天気予報では明日は晴れである、しかし今の状況から見て明日も雨が降るに間違いないだろう。
「そうだね、明日も降り続くかな?」
「うう〜〜〜雨の、雨の・・・雨のぉ・・・」
アスカは窓を開け空に向かって・・・
「シンジのブァカ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「はあ?なんで僕が?」
シンジは呆気に取られた、アスカの台詞から自分の名前が出てきたのである。
「あ〜〜〜すっきりした」
満足顔で窓を閉めクッションに腰をかけ飲みかけのコーラを口に運ぶ。
「どうして僕の名前が出るんだよ〜」
「だってシンジのバカ〜って言い易いんだもん、これで明日は天気になるわよ」
「なんだよそれ〜〜」
悪気がまったくないアスカの笑顔にシンジは思わずムッとしてTVに視線を移した。
「ごめんごめん♪でも雨が降ってたら出かけられないわね、何か面白い事無い?」
「面白い事っていってもね〜ゲームはやり尽くしちゃったし」
TV前に転がるTVゲームソフトすでに何十回もプレーしあきている。
「そうね、いまさらやるのもね。暇ね、暇〜〜〜〜〜!!」
クッションを抱いたまま床を転がり続ける、シンジにとっては邪魔である。
ごろごろごろごろごろ〜〜〜
どんっ!
「ふぎゃっ!」
勢いあまって壁に激突、鼻の頭が真っ赤になってしまった。
「うぐ〜〜〜痛いよ〜〜」
「何やってんだよ、大丈夫?」
「あう〜〜〜鼻血がでちゃう」
「大丈夫、鼻血はでていないから」
涙目で押さえ時折鼻血が出ていないか手の平を確認するアスカ、へっぽこである。
「暇だからって転がっていたら怪我するからやめておきなよ」
「うん・・・でも暇なのよ、暇〜〜〜〜!!!」
ばたばたばたばた〜〜〜!!
「はあ〜〜〜」
手足をばたつかせダダッ子に変身するアスカにシンジは頭を抱えて呆れるしかなかった。
「そんなに暇ならこれでもやってみる?」
「なにそれ?」
シンジは自室から紙袋を持ってきた、中身を出すと・・・
「手編みだよ、今凝っているんだ楽しいよ」
編み掛けの青い毛糸がでてきた、普通なら男児中学生はしないのだがシンジは主夫、趣味の範囲に十分に入る。
「へえ〜〜どうやるの?」
「まずはね・・・」
「あっ・・・」
シンジはアスカに毛糸を渡すと手を握りやり方を教え始めた。不意に手を握られたアスカは驚き声が出ない。
「これをこうして、ここを通すんだよ」
「あ、うん・・・」
シンジは手を握っているのだが意識しておらず教え方が上手である。これが意識していれば真っ赤になってろくに教える事もできないであろう。一方アスカは握られた事を意識しており返事は上の空、返事も生返事である。
「アスカ聞いてる?」
「う、うん聞いているわよ。こうするんでしょ・・・あ、あれ?」
声をかけられ我に帰ると慌ててやってみせるが別のところに毛糸を通し解れてしまった。
「違うよ、ここを通すんだよ」
「うん・・・」
失敗した事に落ち込み俯いて声が小さくなった。
「アスカ、はいやってみて」
「・・・難しくてできない・・・」
「そんな事ないよ、僕にだってできるんだからアスカにだってできるよ」
「できないわよ」
「大丈夫、手伝ってあげるよ」
「あっ・・・」
シンジはニッコリ微笑むとアスカの手を握り毛糸を編んでいく。
「ね、できたでしょ」
「うん・・・」
数十分後、青色の小さな袋が完成した。ずっと手を握られていたアスカの頬は少し桜色に染まっていた。
「雨上がったみたいだよ、これなら明日は晴れるよ。どこに行こうか?」
「そうね、でもたまには手編みも良いわね」
手の中にある小さな袋を嬉しそうに見つめるアスカであった。
シンジ君の趣味は手編み、流石に主夫の趣味ですね(笑)
アスカちゃん、手を握られ意識してしまいました。って意識しない方がおかしいですね(シンジ君は意識していないけど^^;)超鈍感ですね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION たまにはこんな休日も