フンフンフンフンフーーーン♪
輝く太陽を背にカヲルはお得意の歌を口ずさみながら歩いていた。
「太陽が美しい、まるで僕のようだ。そして雲ひとつ無い青空、まるでシンジ君のようだ」
空を見つめるカヲルは大空にシンジの顔を思い浮かべ瞳を輝かせた。
「シンジ君、今行くよ。待っていておくれ」
大空に思い浮かべたシンジの顔が笑っている、今から遊びに行くのである。
HEAVEN'S DRIVE 5
「な・・・ミ、ミサトさん今何て言ったのですか?」
「だから〜〜シンちゃんはアスカとデートよ」
「そ、そんな・・・」
葛城家の玄関、ドアから出てきたのはミサトであった。そして口から出る言葉は信じがたいものであった。
「ホントよん♪、もうラヴラヴな感じってみたいな〜〜」
「う、うそだ」
ミサトの言葉には偽りがあった、アスカがシンジを無理やり誘ったのである。
「って冗談よ冗談、買い物に行ったのよ」
「ほ、本当ですか?」
カヲルのあまりにもショックな姿にからかうのをやめた。
「本当よ、それより今暇かしら?」
「ええ、暇ですけど」
「それじゃあドライブ行かない?」
「ドライブ?ミサトさんとですか」
「ええ退屈しちゃってね、スカっと飛ばしたい気分なのよ」
「でも・・・」
ドライブに行っても良いのだがシンジがいないと楽しさが半減してしまう。
「デモもストライキもない〜さあ行くわよ」
「うわっミサトさん」
有無を言わさずカヲルの手を取るとキーを取り駐車場に向かった。
「ふう〜〜相変わらず強引ですね」
「まあね、これがセクシー作戦部長のやり方よん」
「・・・」
ウインクするミサトにカヲルは呆れた。
「さあてベルトを締めてね、飛ばすわよ」
「ええどうぞ」
ミサトはベルトをしめてサングラスをかけグローブをはめた。そしてキーをゆっくりと回す。
グオオオオオオオオッン!
「OKー機嫌は良いみたいね」
アクセルを踏むとメータの針が回り甲高いエンジン音が駐車場に響いた。
「それでどこに行くんですか?」
同乗者として行き先が気になる。
「決めてないわ、本能のままに走るわよ」
「ふっミサトさんらしいですね」
髪をかきあげ余裕のカヲル、だが次の瞬間・・・
ギュルルルルルルル!!
「うっ」
急発進に身体がシートに押し付けられた。
「OKーOKーこの押し付けられる感覚がたまらないでしょう?」
「は、はい」
エヴァの搭乗で衝撃には慣れているとはいえ、いきなりの事で背中を打ってしまった。
グオオオオオオオ!!
「ミ、ミサトさんすこし飛ばしすぎじゃないんですか」
「こんなの飛ばしたうちに入らないわよ」
「でも80キロ超えていますよ」
「そう?あら本当、じゃあ100キロださないとね」
「こ、ここの制限速度は60ですよ」
「60〜?ノンノンそれは間違いよん、60かけるの2だから120が制限速度よ」
「・・・」
出鱈目である、カヲルは呆れた。
「さああと20、飛ばすわよ」
「と、飛ばさなくていいですよ」
ミサトの目つきが変わっているに気づき背筋に冷たい汗が流れた。
「おおうっとあと40飛ばしちゃおう」
「せ、制限速度はどうなったんですか〜〜〜?」
「私の辞書に制限速度は無いわよ」
グオオオオオオオオオ!!!
「いっけえ〜〜!私の愛車!」
「シ、シンジく〜〜〜〜んっ!!!」
車のエンジン音とミサトの叫びとカヲルの絶叫が響くのであった。
「うーーん、最高!最高だわ」
飛ばせた事に満足したミサトはゆっくりスピードを落としていった。
「喉乾いちゃったわね、あそこでジュースを買いましょう」
先には自販機、ハザードを出すと車を止めた。
「何が良い?コーラ?あら」
「・・・」
カヲルは気絶していた。
「寝るなんて疲れているのかしら?」
気絶しているがミサトには寝ているように見える。
「起こしちゃ悪いわね、帰りはスピードは抑えときましょう」
ジュースを買い休憩してステアリングを握りアクセルを踏んだ。
「スピードは・・・100ぐらいで良いかしら」
抑えたスピードは100、カヲルはずっと気絶したままであった。
犠牲者はカヲル君です(笑)折角シンジ君と遊ぼうと訪問したのに残念ながら留守でした、そしてミサトさんの餌食に。
二人が出かけたのはアスカちゃんが予知したのかもしれないですね。
流石のカヲル君もミサトさんの運転には敵いませんでした。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION HEAVEN'S DRIVE 5