リツコ印2

「はあ〜〜」

 シンジはため息をつきながらネルフの通路を歩いていた。

「あらシンジ君、ため息なんかついてどうしたの?」

 そこへリツコが通りかかった。

「ため息ついていたんですか・・・はあ〜〜」

 本人は自覚が無いようだ。

「ほらまたついたわよ」

「そのようですね・・・はあ〜〜」

「何か悩みでもあるの?相談にのるわよ」

「実はミサトさんの事なんです・・・」

「ミサト?また何かやったの」

 保護者失格のミサトの事でため息をついているシンジに同情した。

「またじゃないんですけど、最近ビールの量が凄いんですよ」

「お酒なのね」

「ええ、同居した頃より三倍飲むようになったんですよ」

「三倍・・・シャア専用、Sタイプね」

 三倍と聞いてシャアを思い浮かべるガンダムマニアのリツコである。

「はい、出費は三倍に重なって、それに反比例するかのように給料が減っていくんですよ」

「遅刻で引かれているものね」

 遅刻常習犯のミサト、その分給料から引かれている。

「おかげで家計簿は火の車なんですよ」

「まったくミサトったら一体何を考えているのかしら」

 考えていないだろう。

「リツコさんからも言ってくれませんか?飲む量を減らすようにって」

 シンジが何度言っても効目がない、その場限りの返事だけであった。

「ええいいわよ、あっそうだわ!いいものがあるわよ」

「いいもの?なんですか」

「ふふふ付いて来て」

 リツコは不気味は笑いを浮かべると研究室にシンジと向かった。



「はいこれよ」

「これ何ですか?」

 渡されたのはガラス瓶に入った液体であった。

「これを飲むとお酒が不味く感じられるのよ。味覚を変えるの」

「へえ〜〜」

「効目は約一ヶ月よ。これで家計簿は赤字にならないわよ」

「凄いですね、ありがとうございます」

 シンジはお辞儀をすると研究室を出て行った。





「これで安心だ」

 シンジは通路を歩きながら瓶を見ていた。

「でもよく見ると凄い色だなあ」

 毒々しい紫色である、シンジは自分だったら飲みたくないと思った。

「飲んでも死なないかな?」

 頑丈な胃袋を持つミサトが飲んでも大丈夫だろうか?

「もし死んだら僕は殺人者・・・」

 背中に冷たい汗が流れた。

「どうしよう?捨てようかな?でも貰った物だし・・・」

「ごほごほっ」

「あっ父さん」

 考えているとそこへゲンドウが通った。

「むっシンジか、ごほごほっ」

「どうしたの?風邪?」

「ああ、ちょっとな」

 ウィルスとは無関係なゲンドウだが風邪を引いているようだ。

「あっこれ風邪薬なんだ」

「そうか、すまんな」

 シンジは胸を痛めながらゲンドウにガラス瓶を渡した。

(もし父さんが飲んで大丈夫ならミサトさんでも大丈夫だ)

「ごくごく・・・」

「どう?」

 シンジは生唾を飲んだ。

 ぱしゃっ!

「あっ融けた、うっ・・・」

 ゲンドウの身体は液体化して床に散らばった。そしてシンジはその場に倒れこんだ。

「配合間違えたようね」

 一部始終を見ていたリツコはメモ帳を取り出すと実験結果を書き、シンジの首に刺した注射器を抜き取った。

「目覚めた時は忘れているわよ、うふふ」

 シンジはリツコに会った時からの事を忘れているだろう。

「さあて司令を元に戻さないといけないわね」

 ざ〜〜ざ〜〜ざ〜〜

 リツコは掃除機で液体となったゲンドウを床から吸い上げた。

「実験てどうして楽しいのかしらうふふふふ」

 不気味な笑いを浮かべてその場から立ち去るリツコであった。


 リツコさんMADです(^^;)ため息をつくシンジ君、原因はミサトさん。酒徒には困りましたね。

 リツコさんから貰った薬、疑問に思ったシンジ君はゲンドウにあげました、すると・・・結果は(笑)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION リツコ印2