大発明
「す、凄い発明をしてしまったわ」
リツコの怪しい研究室でミサトは目を輝かせて呟いた。
「何が凄いのよ?」
同じく研究室に居るリツコはミサトの発明した機械を見て眉をひそめた。
「んふ、ふふふふ知りたい?」
「別にいいわ、たいした発明じゃないんでしょ」
「たいした発明よ、もうすんごい発明よ。聞きたいでしょう?」
「聞きたくないわ」
「ん〜〜そんな事言わずに聞いてよ〜〜」
「聞いてほしいわけね」
リツコは呆れてタバコに火をつけた。
「よし聞きたいわけね。これは水ろ過装置よ」
「水ろ過装置?そんなの売っているじゃない」
「これはそこら辺に売ってある普通のろ過装置じゃなくてなんと!」
「なんと?」
「水をフィルターに通すとビールにろ過されちゃうのよ。すんごい発明でしょう」
「・・・どういう原理か知りたいわね」
リツコの頭で考えても原理が思いつかない。
「んっふっふ〜〜私もわからないわん。てきと〜に作っていたらできちゃったのよ」
「てきと〜に作った?」
「そっ最後に唱えた黒魔術が良かったのよ、た・ぶ・ん」
「黒魔術・・・」
ウインクするミサトに対して背中に冷や汗が流れた。
「さあ飲んで飲んで〜〜乾杯しましょう」
「え、ええ」
リツコはろ過されてビールになった水をジッと見つめた。
「泡がちゃんと出ているわね、色もビールに似ているし、匂いもアルコールだわ」
「でしょう〜これはもうノーベル賞ものだわ」
「そ、そうね」
「ではかんぱ〜〜い」
グラスを高々と上げて乾杯をしミサトは一気に飲み干した。
「ぷは〜〜うんま〜〜〜いぃ!」
「本当に美味しそうね」
乾杯しても飲む気になれなかったリツコだったがミサトの美味しく飲む姿に一口飲んでみた。
「まずっ・・・」
小声だったのでミサトには聞こえなかった。
「あら、どうしたの飲まないの?」
「い、今まだ勤務中だから・・・」
「あら〜〜お堅いリツコさんだこと、私は二杯目を頂くわ」
「え、ええ」
またもや美味しそうに飲むミサトにリツコは首を傾げた。
(ビールになってないじゃない、何か凄い味だわ。しいて例えるなら納豆に青汁をブレンドして栄養ドリンクとニンニクを入れた水ね)
「うまうま」
ミサト三杯目、頬が少し赤くなってきた。
(どうしてこれで酔えるのかしら?これはろ過装置が発明じゃなくてミサト自身が発明じゃないのかしら?)
ジッとミサトを見つめ考え込むリツコは・・・
「あら〜〜どうしたの?私を見て」
「な、何でもないわよ」
(一度人体解剖してみないとね)
口元が歪み怪しい笑いを浮かべるのであった。
ミサトさんの発明はミサトさん自身に対して成功だったようですね。リツコさんに対しては失敗。正常な味覚を持った人には失敗なんでしょうね(笑)
酔って寝てしまったミサトさんはこの後どうなるんでしょうか(笑)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 大発明