悩み

「はあ〜〜」

 実験が終ったシンジは自販機の隣にあるベンチに腰をかけため息をついていた。

「あらシンジ君、ため息なんかついてどうしたの?」

 そこへ通りかかったリツコは当然気になる。

「最近雨が続いているでしょう、洗濯物が乾かなくて困っているんですよ」

「あら、それは大変ね」

 連日雨続きで洗濯をしても室内に干すのでなかなか乾かない。

「洗濯物はたまる一方ですよ」

 同居人二人が原因である、シンジの倍以上洗濯物を出すから乾くのが追いつかない。

「乾燥機はないの?」

「持ってないんですよ、家計が苦しくて買えないんですよね」

 シンジは頭をかきながら苦笑した。

「・・・ミサトね」

「ええ、ビール代が」

「まったくミサトは」

 同僚に呆れるリツコ、そして怒りが込み上げる。

「それじゃあ私が乾燥機を持ってきてあげるわよ」

「本当ですか?」

「ええ、使ってないからあげるわ」

「ありがとうございます!」

 タダで手に入り大喜びである。

「それじゃあ今から持っていくから帰っておくといいわ」

「はい、早速洗濯をします」

 シンジは一礼するとその場を立ち去った。








 ピ〜〜ンポ〜〜ン!

「は〜〜い」

 呼び鈴の返事にシンジの声が響いた。

「お待ちどうさま」

「あれ?乾燥機は」

 リツコが代車に乗せ持ってきたのは五十センチくらいのダンボール箱であった。

「これよ、これ」

「ずいぶん小さいですね」

「小さくてもパワーは凄いわよ。なんたって私が作ったんですから」

「えっ??リツコさんが」

 一瞬止まった。

「ええ、この乾燥機はどんな洗濯物も十秒で乾かすのよ」

「は、はあ」

 リツコが作ったと聞いて喜びが薄くなった。

「さあセットしましょう」

「は、はい」

 気乗りでないシンジ、それに対してリツコはノリノリである。




「はいセッティング完了、さあ使ってちょうだい」

「はい」

 シンジは試しに洗い中の自分のTシャツを乾燥機に入れてスイッチを押した。

「十秒で乾くわよ」

 シュ〜〜〜〜〜〜

「ああっ燃えた!」

 光速で乾燥機のドラムが回転してTシャツが燃えた。

「・・・ま、間違えて焼却機を持ってきたわ。ご、ごめんなさいね。これTシャツ代よ」

 リツコは額に大きな汗を流すと財布から千円を取り出しシンジの手に握らせた。

「私はまだ仕事が残っているから帰るわね」

 リツコは光速でその場から消えた。

 そして千円を握り締めたまま呆然と立ち尽くすシンジ、残ったのは燃えて灰になったTシャツだった。

「・・・いらないや」


 雨が続くと主夫は悩みますね、洗濯物が乾きません。

 そんな悩みをリツコさんが解消・・・余計に悩ませましたね(^^;)

 MADリツコさんは発明が成功しませんね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 悩み