大発明3

「またまた凄い発明をしてしまったわ」

「よかったわね」

 リツコの怪しい研究室でミサトがまたまた怪しげな物を作った。

「聞き流さないでよ〜〜聞きたいでしょ?」

「結構よ」

「んなこと言わないで聞いてよ〜〜」

「聞き飽きたわよ」

「飽きないわよ〜〜ねえ聞いてよ」

「わかったわよ」

 リツコは仕事の手を止めると一息ついた。

「それで今日の発明品は?」

 リツコはコーヒーを口に含んだ。

「ジャンジャジャ〜〜〜〜ン!今日の発明はこれよ!」

「何これ?」

 リツコが見たものは瓶に入った茶色の粉末だった。

「んふふふふ〜〜これはね〜〜」

「これは?」

「入浴剤よ」

「入浴剤?市販されているじゃない」

 ミサトが作った入浴剤は普通見る市販の入浴剤より色が悪くリツコは使おうと思わない。

「ノンノンノンノン!そこらへんに売ってある入浴剤とは一味違うわよ」

 指を左右に振りながら自分の発明に酔いしれる。

「どこが違うの?まさかお風呂に入れた瞬間爆発するとか?暗殺用入浴剤ね」

「違うわよ、物騒な事言うわね」

「じゃあ入れた瞬間に毒ガスが発生して暗殺・・・ミサト貴女誰を暗殺するの?まさか碇司令を?」

「違うってどうして暗殺に結びつけるのよ。それに碇司令を暗殺しちゃったらって・・・暗殺しても死なないんじゃないの?」

「それもそうね」

 納得するリツコであった。

「納得するんかい!」

「ええ、暗殺用入浴剤じゃなくて安心したわ。私のアイデアが先に使われたかと思ったわよ」

「作る気だったの?」

 背中に悪寒が走った、リツコなら本当に作りかねない。

「ええ暗殺用道具は結構需要があるのよ。これは秘密よ」

「わ、わかったわ」

 ミサトは激しく頭を縦に振った、もし喋れば自分の命が無いからである。

「それで暗殺用じゃなかったら何なの?」

「話がそれちゃったわね。これはね、ビール入浴剤よ」

「はあ?」

「これをお風呂に入れるとビールの香りがしてほろ酔い気分で楽しく入浴できるのよ」

「楽しく入浴できるのは貴女だけよ」

 飽きれるリツコはタバコを吸い始めた。

「そんな事ないわよ、お風呂で酔ってパッピーじゃない。さあて早速実験しましょう」

 ミサトは粉末を持って部屋を出ようとしたが・・・

「ちょ、ちょっと待ちなさい。どこで実験するの?」

「決まっているじゃない大浴場よ」

「だ、ダメに決まっているでしょう。みんなが利用するのよ」

「ダメなの?ケチねえ〜じゃあ家で実験するから早引きするわ」

 仕事やる気100%無しである。

「シンジ君が反対するわよ」

「シンちゃんは今学校だもん、帰ってくるまでに終らせれば問題無いわよ。じゃあね〜」

「あ、待ちなさい」

 リツコの声もむなしくミサトは仕事をサボって帰るのであった。









「さあ〜〜て実験しちゃうわよん」

 家に帰ってきたミサトは早速浴槽に湯船を張り入浴剤を入れた。

「う〜〜ん良い香りね」

 粉末の香りを嗅ぐと湯船に入れた。

 ジュワ〜〜

「わ、わおわおわお〜凄いわ」

 粉末を入れるとビール特有の泡が発生し始めた。

「こ、これは完全なビ〜ル!もしかして飲めるかも?」

 興奮しながら湯を手ですくうと一口飲んだ。

「ん、んま〜〜〜〜い!!ビールそのものだわ。それにホットでもいけじゃない」

 恍惚の表情になると手ですくって飲み続けた。

「これって入浴剤じゃなくて粉末ビールで良いんじゃないかしら。部屋に水を持っていけばいつでも飲めるわ」

 発明が入浴剤ではなくなった。

「シンちゃんには水を飲むって言って部屋に水を持ってけば小言を言われなくてすむわ。私ってもしかして天才?んふふふふ」

「天才には祝福が必要ね。一人だけどカンパ〜〜イ!」

 両手を挙げて自分を祝福すると湯船に顔を浸けて飲み始めた。

「こんだけの量を飲めるなんてしあわ・・・せ・・・」

 飲みながら酔いつぶれた。そしてそのまま時間が経っていく・・・









「・・・ミ・・・ミサトさん、ミサトさん」

「ん・・・うみゅ〜〜シンちゃん?」

 ミサトの耳に聞こえる声と揺れる身体に気がつきた。そして自分がリビングに寝かされている事がわかった。

「ミサトさん、怒りますよ」

「起こしてくれてありがとん」

 酔っていて正確に聞いていない。

「リツコさんから聞きましたよ。お風呂がダメになっちゃうじゃないですか」

「え〜?何の事?」

「浴槽がビール臭くなりましたよ」

「そうなの〜〜?良かったわね」

「良くないですよ!粉末は捨てましたよ、暫くビールも禁止です」

「え、ええ!?捨てたの?」

 一気に眼が覚めた。

「はい、それに仕事をサボって帰ってきたんでしょう。また給料が減るじゃないですか」

「そ、それは・・・」

「仕事もしないで帰ってくるなんて呆れますよ」

「・・・」

 言い返せず小さく縮こまった。

「暫くは残業してもらいますよ、リツコさんに頼んでおきましたからね」

「は、は〜〜い。とほほほ・・・」

 ガックリ肩を落とし涙を流すミサトであった。


 ミサトさんの発明は凄いようで凄くない?ミサトさん自身には良いでしょうがシンジ君には迷惑ですね。

 シンジ君に怒られましたけど懲りずにまた発明するんでしょうね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 大発明3