ギックリ
「はうっ!」
ネルフの作戦部室、ミサトは高く積まれた書類を持ち上げようとした瞬間大きな声をあげた。
「いたた・・・葛城ミサト、齢十八にしてはぢめてのぎっくり腰とは・・・」
書類から手を離すとスローモーションで動き椅子に腰をかけた。
「いたたたた、まさかこの若さでなるとは運動不足かしら」
十分歳である。
「あ〜〜動けないわ、仕事になんないじゃない」
机にうつ伏せになり高く積まれた書類に目をやった。
「とりあえず医務室に、いたっ!」
席を立とうとしたが腰に激痛が走る。
PIPIPIPIPI!
激痛が走ったと同時に電話のベルが鳴った。
「う〜はいはい、出ますよ。もしもし〜〜」
「もしもしミサト、書類はまとまったかしら?」
電話の相手はリツコであった。
「まとまんないわ、ちと重大な事が起こったのよ」
「重大な事って何かしら?逃げ出したいってことなら却下するわよ」
「違うわよ、ぎっくり腰になっちゃたのよ。動けないわ」
「・・・・」
リツコは呆れて言葉が出ない。
「マジで動けないのよ、仕事ができないわ」
「声は嬉しそうに聞こえるわよ」
「そりゃあ仕事できなくて嬉しい・・・じゃなくて残念よ」
「そう仕事ができなくて嬉しいのね。今度のボーナスに響くんじゃないかしら?」
「ざ、残念残念残念だって〜〜!」
ボーナスが少なくなっては困る。
「心の中では嬉しいのよね」
「違うって〜〜許してよ〜〜」
「わかったわ、早く書類をまとめなさいね」
「わかってないじゃない〜ぎっくり腰で動けないの」
電話している間も腰がズキズキと痛む。
「そうだったわね、見にいくから待っていなさい」
「わ、わかったわ」
電話を切ってから五分後・・・
「うい〜待っていたわよ」
「あなたの姿を見たら本当に無様と思うわ」
「そんな事言わないでよ、痛いんだから」
「見せてみなさい」
「動けないって」
ミサトは席に座り机にうつ伏せになったままずっと動けなかった。
「そうなの、腰を見るからそのままでいいわ」
リツコはミサトの洋服を胸まであげて腰を触った。
「いたたた、もうちと優しく触りなさいよ」
「優しく触っているわよ、これは本当にぎっくり腰ね」
「嘘言ってどうするのよ?」
「仕事したくないんでしょう」
「やりたいって」
したくないと言ったらボーナスは無くなるだろう。
「やりたいの、じゃあこれを打てば良いわね」
「え?」
リツコは白衣のポケットから注射器を取り出した。
「すぐ治るわよ」
「ちょ、ちょっち待ってよ、それって大丈夫なんでしょうね」
注射器内の液体の色が見るからに危ない色である。
「大丈夫よ、まだ人に試した事無いけどね」
「な、何よそれ?」
「動物なら五割の確率で治ったわ」
「残りの五割は?」
聞きたくないが聞かなければ自分の身が危ない。
「・・・」
「どうしてそこで黙るのよ」
「・・・」
「どうしてそこで泣くのよ」
「・・・」
「どうしてそこで天を見上げるのよ」
「・・・」
「どうしてそこで合掌するのよ」
「・・・」
「どうしてそこでクロスをきるのよ」
「天のみが知るわよ」
「いや〜〜死にたくな〜〜い!」
ブスッ!!
ミサトの声が部屋中に木霊した。
「ふう〜〜治療は完了したわ」
部屋から出てきたリツコ、額の汗をハンカチで拭うとポケットからシールを取り出しドアに貼った。
『危険立ち入り禁止!バイオハザード』
「三日後くらいには復活していると思うわね」
メモに先ほどの出来事を記入すると何食わぬ顔でその場を立ち去るのであった。
ミサトさん歳ですね(笑)ぎっくり腰になったミサトさん、仕事ができなくて嬉しいでしょうね?
リツコさんの怪しいクスリを注射されたミサトさんはどうなったのでしょうか(^^;)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION ギックリ