秘密の買い物

「は〜〜疲れた疲れた〜〜」

「そうね」

 実験が終わり着替える為にロッカーに戻ったアスカとレイはプラグスーツを脱ぎ始めた。

「シャワーシャワー」

 アスカはプラグスーツを脱ぎ捨てると裸のままシャワー室に向かった。

「下品・・・」

 レイは脱ぎ捨てられたプラグスーツを見て呟いた。そして自分のプラグスーツはきちんとたたみ、バスタオルで前を隠してシャワー室に向かった。

「ん〜〜気持ちいい〜〜」

 レイがシャワー室につくとアスカはすでに頭を洗っているところであった。

「洗うの早いわね」

「アンタが遅いのよ、パッパ〜って洗わないとね」

「そう、シャンプーかりるわよ」

「高いんだから大事に使いなさいよ」

 高いシャンプーだが自分のお金で買ってはいない、無理やりシンジに買わせた品である。

「髪短いから少しですむわ」

「そうね、短いと洗うのも乾かすのも楽ね。アタシも短くしようかな」

「短くするの?」

「冗談よ、このサラサラの艶々の髪、切るなんて勿体無いわ。このアタシのトレードマークなんだからね」

「そう、それじゃあ私が伸ばそうかしら」

 アスカの長い髪を見ていたら自分も伸ばしたくなってきた。

「止めた方がいいんじゃないの?お手入れが大変なのよ、めんどくさがりなアンタじゃすぐに痛むわよ」

「そうなの・・・」

 少しガッカリした。

「よしっ!おっしまい!」

 アスカは身体も洗い終えた、バスタオルで全身を拭くとロッカーに戻った。

「私も終わり」

 アスカがシャワー室を出たところでレイも洗い終え、全身を拭くとロッカーに戻った。

「ふんふんふ〜〜ん」

「楽しそうね」

「わかる〜〜?ほら見てよ」

 アスカは嬉しそうな顔でショーツをレイに見せた。

「それが何?」

「何っておニューよ、おニュウ。いいでしょ〜」

「よかったわね」

 レイには興味が無かった。

「良かったって心の底から思ってないでしょ?」

「うん」

 レイはロッカーからショーツを取り出しはき始めた。

「うんじゃない!この色見てよ、オレンジでリボンが付いているのよ。可愛いでしょう」

「可愛いわね」

「可愛いって思ってないでしょう?」

「うん」

 レイは頷きブラを着け始めた。アスカはまだ何も着けていない。

「うんって、もう少しは驚きなさいよ」

「どうして驚かないといけないの?」

「う・・・言い方が違ったわ。可愛いって思いなさいよ」

「どうして可愛いって思わないといけないの?私が着けるわけじゃないのに」

「そりゃあそうだけど、これを見て自分も欲しいな〜って思わない?」

「思わないわ」

「・・・」

 アスカは肩を落とした。

「いつまで握っているの?早くはいたほうがいいわよ。見ているこっちが恥ずかしいわ」

「げっ!このエッチ!」

 アスカは真っ赤に顔を染めるとレイに背を向けショーツをはいた。

「そしてこのブラ!ショーツとお揃いよ」

「よかったわね」

「だ〜〜か〜〜ら、本当に良かったって思ってないでしょう?」

「うん」

 頷くレイ、立っているのがきつくなったのでベンチに腰掛けた。

「花柄のオレンジよ。乙女チックで可憐な少女って感じでしょう」

「可憐?誰が?」

「アタシよアタシ!」

「・・・」

 レイは言葉が出ない。

「どうしてそこで黙るのよ。ムカツクワね」

「私には関係ないもの」

 レイは制服を着始めた。

「関係ないって欲しくなるでしょ?」

「着けられればいいから」

「それが十四の乙女が言う台詞?アンタ白しかもってないでしょう、今から買いに行くわよ!」

「別に要らないわ」

「ダメ!たまには色のついた下着を着て来て着替える時にアタシをオ〜〜〜って驚かしてごらんなさい」

「驚かしてもつまらないもの」

「ずっと白を見ているアタシがつまらないわよ」

 レイは溜め息をついた、アスカの愚痴がウンザリである。

「驚かしても一円の得にもならないわ」

「アタシは驚きたいの!今から行くわよ」

 アスカは着替えを済ませると強引にレイの手を引きロッカーを出て行った。

「帰りたいのに・・・」












「よ〜〜し着いたわよ。デパァ〜〜ト!」

「・・・」

 気合が入るアスカだがレイは無理やり連れてこられたので疲れていた。

「さあ入るわよ」

「うん」

 観念したレイは素直にアスカに付いて行った。

「お〜〜たくさんあるわね。目移りしちゃうわ」

 下着売り場に着くとアスカは目を輝かして回りを見渡した。

「あ・・・」

 レイは目の前に展示してある下着に気を取られた。

「ふふ興味を持ったみたいね」

「可愛い・・・」

 展示してあったのは水色のブラとショーツであった。

「どう?気に入った」

「うん、でも・・・」

「でも、どうしたのよ?」

「値段が高いわ」

 値札を見ると三千円であった。

「だ〜〜いじょうぶ、アタシが買ってあげるわよ」

 アスカは自分の胸を叩いた。

「お金持っているの?」

「アタシには強〜〜い味方があるのよ」

 財布から一枚のカードを取り出した。クレジットカードである。

「カード・・・それって」

 レイはカードの名前に気が付いた。

「そうよ碇司令のよ」

「盗んだの?」

「盗んでないわよ。アンタの下着数が少ないって言ったら貸してくれたのよ。だからジャンジャン買いなさい」

「そうなの。そして自分のも買おうって魂胆なのね」

「う・・・そ、それは」

 自分の考えたシナリオを見透かされてしまった。

「私はカモにされたわけね」

「そ、そんな事考えなくていいの!好きなの買いなさい。アタシも好きなのを選んでくるから」

 その場に居辛くなったので下着売り場の奥のほうに逃げていった。

「ふふ」

 がに股になりながら逃げるアスカにレイは微笑んだ。

「下着ってこんなに種類があったのね」

 色々な種類の下着がある、レイは一つを手に取った。

「ピンク色・・・私に似合うのかしら?」

 自分の胸に当てると近くにあった鏡に映した。

「・・・なんだか変、でも嫌いじゃないわ」

 下着を元に戻さずに同じ色のショーツも手にとった。

「お揃いがいいのね」

 頬を少し赤らめると買う決心をした。

「・・・これは苺、ショーツも苺、でも紐?」

 苺の柄がプリントされたブラとショーツであった。ショーツはサイドにリボンがついてあり結ぶものであった。

「結んで着けるのかしら、はくのが難しそうね」

 売り場に戻したが・・・

「アスカ驚くかしら?」

 ロッカーでのアスカの台詞を思い出し再びブラとショーツを手に取った。

「・・・買ってみよう」









「お〜〜い、選んだかしら?」

 数十分くらいしてアスカがやってきた、両手には買い物篭にたくさんの下着が入れてあった。

「選んだわ」

 レイは一つのカゴに半分くらいの下着を入れていた。

「お〜〜たくさん選んだわね。うわ、大胆」

 レイの下着を盗み見たアスカは驚いた。

「大胆なの?」

「ん〜〜大胆って言えば大胆だけど、そんな下着を選んだアンタに驚いたのよ」

「そうなの、アスカだって凄いの選んでいるわね」

「アタシは大人だからセクシーなのが似合うのよ」

「子供なのに」

 レイは笑った。

「子供じゃないわよ、大人よ大人!子供はアンタ」

「私は子供なの?」

「そうよ、アタシから見たらその下着はまだまだ子供ね。まあ今回は初めてだからそのくらいで良いんじゃないかしら。二回目はすんごいの買いなさいよ」

「二回目もあるの?」

 レイは眼を丸めて驚いた、今日買う下着だけで足りると思った。

「あるわよ、下着は女の子のオシャレよ、買いまくらないと意味がないわ」

「そうなの」

「そうよ、さあレジに行きましょう」

「うん」

 レイは頷くと二人でレジに向かった。








「ふ〜〜買いすぎちゃったかしら。ちと反省」

 金額は10万を超えていた。

「反省のわりに顔がにやけているわよ」

 アスカの顔は下着を買って笑顔が絶えない。

「心では反省してるけどどうしても笑っちゃうのよね。アンタだって笑っているじゃない」

「私が笑っているの?」

「ええ、笑っているわよ。そんな顔見るの初めてだわ」

「笑ってる・・・」

 レイは近くにあった鏡に自分の顔を映した。自分でもわかるくらいに微笑んでいる。

「買い物したら楽しいでしょう?特に人のお金ではね」

 アスカは笑いが止まらない。

「人のお金だと湯水の如く使うわね」

「い〜〜のよ。碇司令だって使われて喜んでいるわよ」

「喜ぶかしら?」

「部下が使っているのよ、喜ばない上司がどこにいるのよ?」

「無理やりな理論ね」

「気にしない気にしない、ケーキを食べて帰るわよ」

「うん」

 腕を突上げお店に向かうアスカ、レイは頷くと微笑みながら付いて行くのであった。


 アスカちゃんとレイちゃんのお買い物、下着を買うのでシンジ君が一緒に行くわけにはいかないですね。

 色々と選んだ二人、着替えるたびに楽しくなりそうですね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 秘密の買い物