ひとくち

 お腹が空いた、朝から何も食べていないから・・・

 このあと実験、何か食べないと倒れるかもしれないわ。食堂に行きましょう。

 倒れる・・・

 倒れた私に碇クンが駆け寄ってくるの、そして・・・





「綾波!大丈夫!?」

 碇クンは私を抱きかかえてくれるの、私はこう言うわ・・・

「どんな顔をしたらいいのか、わからない」

 そしたら碇クンが・・・

「笑うんだよ」

 笑う・・・私は碇クンにむかって微笑むの・・・






 ご飯食べなくて良いかも・・・でも食べないとお腹が鳴っちゃうわ。

 碇クンにお腹が鳴っているのを聞かれたらどうしよう?

 恥ずかしいわ、だから少し食べましょう。





 食べる・・・何を食べようかしら?軽めにサンドイッチ、それともサラダ。

「お〜〜レイじゃない、アンタも食べにきたの?」

 葛城三佐、いつもお気楽な人。

「はい」

「そう、私も食べるから一緒に食べましょう」

 碇クンと一緒が良いけど妥協して葛城三佐と食べましょう。

「ええと私は何にしようかな〜〜カツ丼大盛りにうどんにビールね」

 食べすぎ、いつもたくさん食べているのにどうして太らないのかしら?謎だわ。栄養が胸に行っているの?

「レイは何にするの?」

「私は・・・サンドイッチ」

「はあ〜〜それだけ?」

「はい」

「それじゃあダメよ、もっともっと食べなきゃ成長しないわよ」

「でもこれから実験だから」

 食べ過ぎると動けなくなるわ。

「実験なんてテキト〜〜にやりゃ良いのよ。よし!レイはお寿司に天ぷらにうな重よ」

「そんなに食べれません」

 お寿司だけでお腹いっぱいになっちゃうわ。

「残ったら私が食べてあげるわよん」

 眼が輝いているわ、私の食べ残しを狙っているわね。

「んじゃ入りましょう」

「はい」





「それじゃあ、いただきま〜〜す」

「いただきます」

 テーブルに並べられたお寿司に天ぷらにうな重、どれから食べようかしら?

「ゴックゴクゴック!んま〜〜〜〜い」

 食事の前のビール、勤務中なのに。

「勤務中ですけど」

「良いのよ、食事中は仕事に入らないのよ。もう一杯」

 二本目をもう飲んでいるわ、早いのね。

「うまうま、どうレイも一杯?」

「未成年です」

 未成年、それも勤務中にお酒を勧める上司なんて聞いた事ないわ。

「未成年ってなあに?そんなのわかんな〜〜い」

「お酒が飲める歳じゃありません」

「そんな固い事言っちゃあ、シンちゃんにもてないわよ」

 もてない?碇クンに?

「ここで飲んだら凄〜〜い!ってシンちゃんに言われるわよん」

 碇クンに言われるの?

「ささっ一口どうぞ」

 ビールが私の目の前に・・・飲んで良いの?でも赤木博士にお酒は飲んだらダメって言われているし。

「飲んで飲んで〜〜」

「でも飲んだら赤木博士に・・・」

「リツコ〜?リツコに怒られるの?ん〜〜なもん上司の私が良いって言っているから飲んでいいのよ。三十路の言う事なんか聞かなくていいわよ」

 三十路・・・赤木博士が聞いていたら改造されそうね。

「はぎゅん!・・・」

 あっ葛城三佐が突然気を失ったわ。もしや・・・

「あ、赤木博士」

 食堂に赤木博士が入ってきたわ、手には拳銃を持っている。あっ葛城三佐の首に針が刺さっているわ。

「レイ実験が始まるわよ。早く行きなさい」

「あ、はい。でも葛城三佐が」

 寝ている・・・違うわね気絶しているわ。訂正気絶させられたわ。

「ミサトはいいのよ。このままにしておきましょう」

「そのままにしていたら風邪引きますよ」

「大丈夫よ、絶対風邪を引かない身体になるから・・・うふうふふふふふ」

 ・・・せ、背中に悪寒が走ったわ。葛城三佐を見れるのはこれで最後かも。

「そ、それじゃあ私は行きます」

「ちょっと待ちなさい」

「は、はい何ですか?」

 私は赤木博士の悪口は言ってないわ。

「ビール飲んでないでしょうね?」

「はい飲んでいません」

「それならいいわ、いきなさい」

「は、はい」

 もし飲んでいたら・・・考えただけでゾッとする。でもこの後の葛城三佐の事を考えたらもっとゾッするわ。


「さあてミサトはどんな風にしようかしら。うふふふふ」

 赤木博士の笑い声が通路まで聞こえるわ。葛城三佐ごめんなさい、私には救う事はできないわ。


 リツコさんの悪口はうっかり言えませんね(^^;)言ったら最後どうなるかわかりません。

 レイちゃんも飲まなくてよかったです。でもミサトさんがどうなるんでしょうね(笑)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION ひとくち