怒り

「さあて今日も一日頑張りましょう」

 出勤してきたリツコは白衣に着替えるとパソコンの電源を入れた。

「ふんふんふ〜〜ん」

 清々しい朝、メールチェックをしながら入れたてのコーヒーを飲んだ。

あ〜〜ムカツクワ!

 清々しい朝を壊す訪問者がやってきた、ミサトである。

「朝から五月蝿いわね、何を怒っているのよ」

「ちょっと聞いてよ〜本当に腹立つわ」

「ええ聞いてあげるわよ」

 聞くまで帰らないと思いコーヒーを入れてあげた。

「警察に捕まったのよ」

「警察?とうとうシンジ君に手を出したの?」

「なんでシンちゃんに手を出して捕まんなきゃいけないのよ」

「貴女ならやりかねないわ。シンジ君おとなしいから手込めにされたのね、ああシンジ君可哀想に」

 リツコは目元をハンカチで拭った。

「してないって!捕まったのは車でよ」

「そうなの、スピード違反ね」

「スピード違反なんかしてないわよ」

「うそ?」

 リツコは驚いた、スピード狂なのにスピード違反で捕まっていない。

「スピード違反で捕まった時は緊急の用って言えば見逃してくれるのよ」

「ずるいわね」

「生活の知恵よ」

「悪知恵ね」

「変な事言わないでよ。今日はスピードだしていないわよ、ちゃんと速度を守って来たわよ」

「珍しいわね。雪でも降るんじゃないかしら?」

 ネットに繋ぎ天気予報をチェックし始めた。

「明日も快晴ね、じゃあ地震がくるのかしら?」

「私だってスピード守る時はあるわよ。今日は家を早く出たから速度を守れて来たの、でもねでもね・・・」

「じゃあどうして捕まったのよ」

「ブレーキランプが切れていたのよ。整備不良で捕まったのよ〜〜」

 ミサトはガックリ肩を落とした。

「あらそれは言い訳できないわね」

「点数引かれて罰金よ、悔しくて腹が立つのよ」

「それは自業自得でしょ、ちゃんと整備をしておかないからよ」

 最もな言い分である。

「してるわよ、走っている時に急に切れたらどうしようもないじゃない。あ〜〜考えただけで腹が立つわ」

「そう、それで話は終わりね。仕事の邪魔になるから出て行ってちょうだい」

 リツコは眼鏡をかけるとパソコンに向かいキーを打ち始めた。

「ちょ、ちょっと待ってよ、まだ話があるのよ」

「何?」

 耳だけ傾けてキーを打ち続ける。

「MAGIをチョコチョコ〜って操作して警察にハッキングして私の違反を消してほしいのよ」

「何を言っているの、ハッキングは違法よ」

「お願いよ〜〜」

 両手を合わせ懇願するがリツコは無視をしている。

「忙しいから出て行って」

「これでも?」

 ミサトはポケットから一枚のカードをリツコに見せた。

「そ、それは!

 カードを見たリツコはキーを打つ手が止まった。

「ふふ〜〜ん、そうよ子猫ちゃんのトレーディングカードよ」

 愛くるしい子猫の写真が載っているカードである。

「ど、どうしたのこれ?発売直後に売り切れた幻のカードなのに」

 リツコは残念ながら買えなかったのである。

「ふふふ入手ルートなんて腐るほどあるわよ、どう欲しい?」

「く、くれるの?」

「違反を消してくれたらね」

「わかったわ、任せなさい!」

 リツコは眼の色を変えるとキーを打ち始めた。

「終ったわ」

 数分もかかってない、リツコの頭にはもはやカードの事しかなかった。

「サンキューお礼よん」

「あ、ありがとう」

 カードを震える手で受け取るとジッと子猫に見入った。

「それじゃあ仕事頑張ってね〜〜」

 ミサトは上機嫌で部屋を出て行った。残ったリツコは・・・

「こ、子猫ちゃん〜可愛いわ〜〜〜」

 カードに頬擦りして手に入れた事を心から喜んだ、今日の仕事はもはや手につかないであろう。


 捕まったミサトさん腹が立ちますね、でも自分が悪いのかな。

 リツコさんにハッキングしてもらうには賄賂が必要ですね(笑)賄賂の品はもちろん猫に関係あるものです。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 怒り