ランタンへ行こう3

 シクシク、シクシク

 私泣いているの?なぜ泣いているの?

 シクシク、シクシク

 これが、涙。泣いているのは私?

「レイどうしたのよ?」

「あ、赤木博士」

「泣いているけど悲しい事でもあったのかしら?」

 悲しい事・・・

「碇クンがどこにも居ないんです。お家へ行ったけど居ませんでした」

 碇クンはどこ?遊びたいのに。

「シンジ君ならアスカと一緒に長崎へ行ったわよ」

「長崎?」

「ええランタンフェスティバルを見に行ったのよ」

 ランタンフェスティバル?何かしら。アスカも一緒とは碇クンを拉致して無理やり連れて行ったに違いないわ。

「長崎・・・」

 シクシク、シクシク

 碇クンの事を思うと、また涙が出てきたわ。

「シンジ君に会いたいのね」

 会いたい・・・碇クンに会いたいわ。

「はい、私も長崎に行きたい」

「ふふ今から行きましょうか」

「えっ行けるんですか?」

「私を誰だと思っているの?天才科学者赤木リツコ様よ、一時間で長崎へ行けるわよ」

 赤木博士の目が恐いわ、まっどになっている。

「だから泣くのはもうやめなさい、可愛い顔がみっともないわよ」

「はい」

 博士、ハンカチで私の涙を拭いてくれたわ。優しい、まるで・・・

「おかあさんみたい」

 ゴンッ!

「いたい・・・」

「誰がおかあさんよ、誰が見たってお姉さんでしょう」

 誰が見たって『おかあさん』だと思うわ、でも口には出して言わない・・・だって改造されるから。

「シンジ君達は今、長崎の湊公園に居るようね。出し物でも見ているのかしら」

 レーダで碇クンの位置を確認したわ、いつのまに発信機をつけたのかしら?

「さあ行きましょう、今から出発すればお昼には着くわよ」

「はい」

 私は赤木博士の後を付いて行ったわ、碇クン待っていてね。
















「さあ着いたわよ」

「ここが長崎」

 一時間で着くなんて流石赤木博士、伊達にマッドって名乗ってないわ。

「さあてシンジ君達はどこかしら」

 港公園のどこに居るのかしら?私と碇クンは赤い糸で繋がっているからすぐわかるはず。

「あら、ここには居ないわ」

「え?」

「中央公園に居るわね」

「中央公園ですか、すぐに行きましょう」

 碇クン、私を待っていてくれなかったのね、ちょっと悲しいわ。

「ちょっと待ちなさい、お腹が空いたから何か食べていきましょう」

「ダメです、早く碇クンに会いたい」

「あっ、ちょ、ちょっとスカートを引っ張らないで」

「中央公園に行きましょう」

「そっちは違うわよ」

 こっちじゃないの?じゃあこっち。

「そっちも違うわよ」

 じゃあこっちかも。

「それも違うわ、こっちよ」

 こっちなの、碇クンと私の赤い糸、赤毛猿に邪魔されて正確じゃないわ。

「シンジ君の事となると周りが全然見えなくなるわね」

「はい」

「ふふふ青春ね。人が多いから迷子にならないように気をつけるのよ」

「はい」

 赤木博士の手を握って・・・これで迷子にならないわ。暖かい手、まるでおかあさんみたい。

「博士」

「なに」

「おかあさん」

 ぎゅううう〜〜

「い、いひゃい」

 ホッペをつねらないで。

「お姉さんって言っているでしょう。罰として買い食いをするわよ」

 ええっ?タイムロス、碇クンに会うのが遅くなる。シクシク、シクシク

「カステラよ、食べなさい」

「カステラ?」

「お菓子よ、甘くて美味しいわよ」

 甘い香りが漂ってくるわ、いただきます。

「どう、美味しいでしょう」

「はい」

 甘い、フンワリとしているわ。

「気に入ったよね、さあて次は何を食べようかしら」

 まだ食べる気なの?でもダメ、早く行かないと。

「碇クンに会うまで我慢してください」

「え〜〜?いいじゃない、あとひとつ」

「ダメです、早く行きたいんです」

「あっちょっと、引っ張らないで」

 早く行かないと赤毛猿の魔の手が碇クンに迫るわ。

「行くから引っ張らない、強く引っ張ったらスカートが破けちゃうでしょう」

 破けても問題無いわ。

「中央公園はまだなんですか」

 歩いても歩いても着かないわ。

「まだまだよ、アーケードを抜けて信号を渡ったら着くわよ」

 アーケードを抜けて・・・ずっと先が続いているわ。

「ほら上を見てみなさい、ランタンが綺麗でしょう」

「ランタン?」

 沢山つるしてあるけど、あれがランタンなのかしら?

「ランタンは中国提灯の事よ」

「そうなんですか」

 いっぱい飾ってあるからランタンフェスティバルなのね。

「ほらオブジェが飾ってあるわよ」

 龍が吊らされて飾ってあったわ、凄い迫力ね。

「そこを曲がるわよ」

「はい」

「先に信号があるでしょう、その先の橋を渡って信号を渡ればすぐに公園よ」

 すぐに公園、碇クンにもうすぐ会えるんだわ。自然に足が早くなっていくのがわかる。

「あ、レイ走ったらころぶわよ」

「大丈夫、あっ・・・」







 シクシク、シクシク

 私泣いているの?なぜ泣いているの?

 シクシク、シクシク

 これが、涙。泣いているのは私?

「ほら、ころんだでしょう」

 そう、ころんだから泣いているの、膝が痛い。シクシク、シクシク

「血が出ているじゃないの、消毒しないと」

 博士がバックから消毒スプレーを取り出したわ。

「少し染みるけど我慢しなさい」

「はい」

 プシュ〜〜

「はうっ」

 膝がズキズキするの、染みるの、痛いの、涙がでるの。

「まったく世話が焼けるわね」

「ごめんなさい、でもスプレーを持っているとは用意が良いですね」

「科学者はこんな時のために用意しているものなのよ」

 ちょっとマッドの顔になったわ。

「もうころぶんじゃないわよ」

「はい」

 信号を一つ渡って、橋を渡って、もう一つの信号・・・

「赤」

 残念、早く青に変わらないかしら。



「青」

 変わったわ、もうすぐ公園なのね。

「レイ、また走るところぶわよ」

 ころぶのはイヤ、だから早歩き。

「右に行って、その角を左に曲がったら見えるわよ」

 右へ行って角を左に曲がったら・・・

「公園」

 人が沢山居るわ、公園に着いたのね。碇クンがあそこに居る、私の碇クンがあそこに居るんだわ、今行くわ碇クン。


 ランタンフェスティバル、レイちゃんリツコさん編です。シンジ君ちへ遊びに行ったレイちゃんですが居ませんでした。

 ネルフへ行って悲しくて泣いていたらリツコさんに会ってシンジ君の居場所がわかりましたね。

 中央公園へ着いたレイちゃんはシンジ君に会えるのでしょうか。

 次回へ続きます。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION ランタンへ行こう3