ランタンへ行こう4

 中央公園に着いた。人がいっぱい居て楽しいなあ、こんなに楽しいのは久しぶりだよ。

「シンジ、ぶた饅食べよう」

「えっまた食べるの?さっき食べたじゃないか」

「さっきはさっき、今は今よ。それにさっきのぶた饅と今のぶた饅は違うのよ」

 同じに見えるけどなあ。

「角煮饅あるわ、食べましょう。一個ずつ買おうっと」

 食べる事に命をかけているなあ。

「はい角煮饅」

「ん、ありがとう」

 モグモグ

 うん、美味しいなあ。美味しいのは何度食べても美味しいよ。

「あれ見て、チャイナ服で写真を撮っているわ」

「本当だ」

 チャイナ服を貸し出して記念撮影しているよ。

「シンジ、アタシを撮って」

「いいよ」

 アスカ素早いなあ、すでにチャイナ服を借りているよ。

「シンジ〜どうかしら、似合う〜?」

 紅色のチャイナ服を着たアスカ、うん可愛いな、〜ちょっと色っぽく見えるよ。

「可愛いよ」

「や、やだシンジったら本当の事言っちゃって」

 ふふ顔を真っ赤にしているよ。

「じゃあ撮るよ、はいチ〜ズ!」

 パチ!

「「あっ」」

 撮った瞬間何かが前を遮ったぞ、なんだなんだ?

「碇クン」

「あ、綾波」

「ファースト」

 びっくりした〜綾波が僕の目の前に立っているよ。

「碇クン会いたかった」

「いつ来たんだい?」

「さっき、赤木博士と来たの」

「リツコさんと」

「シンジ君、アスカ、こんにちわ」

「リツコさん」

「リツコ」

 後ろから声をかけられて振り向いてみたらリツコさんが居たよ。

「楽しんでいるようね」

「フン、今の瞬間で楽しさが吹き飛んだわ。ファースト!写真を撮ってたんだから前に立たないでよ」

「イヤ、前に立ちたいの」

「ならアタシはアンタの前に立つわよ」

「じゃあ私は貴女の前に立つわ」

 交互に前に立っていったら自然に僕に近づいてきて・・・

「わっシンジ邪魔よ」

「碇クンどいて」

「おわっと」

 間一髪で避けたぞ。

「二人とも意地を張らないで仲良く撮ってもらいなさい」

 流石リツコさんだ、蒼のチャイナ服を借りて綾波に着せてあげたぞ。

「ふふふ似合うわよ」

「似合うの?碇クン私似合っている?」

「うん、似合っている可愛いよ」

「ありがとう、ぽっ」

 綾波の顔が真っ赤になったぞ、あっ頭から湯気が出てきた。

「フン!シンジ早く撮ってよ」

「あっうん」

 頬を膨らませて怒っているぞ、なんで怒っているんだろう?

「シンジ君もこれを着て並びなさい、撮ってあげるわよ」

「あ、はい」

 リツコさんが紫のチャイナ服を借りてくれたぞ、みんなエヴァの色とお揃いだ。

「シンジ君が真ん中で二人は両隣に並びなさい」

「はい、わかりました」

「わかったわよ」

 僕が真ん中かあ両手に華だなあ。

「碇クン・・・」

「こらファースト!アンタちょっとシンジに近寄りすぎよ」

 うん、綾波が僕の肩に触れるくらいに近寄っているよ、ちょっとドキドキ。

「近寄らないとカメラに写らないわ」

「近寄らなくてもフレームに入るわよ」

「じゃあアスカが離れたら、貴女も近づきすぎ」

 確かにアスカも僕の肩に触れているよ、ちょっとドキドキだ。

「アタシが離れたら写んないのよ」

「写らなくていいわ」

「アタシが写らないと撮る意味がないのよ」

「意味がなくていいわ」

「ウキ〜〜〜」

 口げんかは綾波に軍配が上がるな。

「はいはい、二人ともそこまでよ。撮るわよ〜」

「はい、わかりました」

「あわわ、ちょっと待ってよ」

 冷静な綾波に対してアスカは慌てているぞ。

「はいチ〜〜ズ!」

 パチ!

 僕とアスカと綾波で撮ってもらった写真、これはいい思い出になるぞ。






「よ〜〜〜し写真も撮った事だし、シンジ行きましょう」

「どこに行くの?」

「浜の町アーケードよ」

「さっき通ったじゃないか」

 ここに来る時通ったんだよね、人が多かったなあ。

「また行くのよ、さっさと来る!」

「うわっ」

 アスカが僕の手を引っ張った、強引だなあ」

「アスカ、碇クンが嫌がっているわ、その手を離して」

「イヤよ、シンジはアタシと来たのよ。アタシに従うのは当然でしょう」

 確かにアスカと来たけど従うってのは・・・僕って下僕?

「それは貴女が勝手に碇クンを拉致したんでしょう、抜け駆けは許さないわ。本当は私と来る予定だったのに、そうでしょう碇クン」

「え?綾波と」

 そんな約束したのかなあ、してないけどなあ。

「嘘おっしゃい、シンジの頭に?マークが浮かんでいるじゃないのよ。シンジッ!アンタ、ファーストと約束なんかしてないでしょう」

「あ、う・・・」

「碇クン」

 アスカに返事をしようとしたら綾波が潤んだ瞳で僕を見つめている。ここで『うん』と言ったら泣きそうだ。

「シンジッ」

「あ、う・・・う〜〜〜んと、しているようなしてないような」

「こらっハッキリしなさい、約束してないんでしょう」

「約束したわ」

 二人に迫られて男だったら嬉しい状況だけど、僕の場合は違うぞ。どっちを選べないよ。

「ふふふ、シンジ君困ったわね。さあさあアスカもレイもそこで終わりよ、シンジ君が困っているでしょう」

 リツコさんが助け舟を出してくれたぞ。

「約束をしたのしないの、どうだっていいでしょう。折角のお祭りなんだから仲良くしなさい」

「でも〜〜」

 アスカ頬を膨らましてむくれているぞ。

「でも〜じゃないわよ」

「は、はいっ!」

 リツコさんの妙に笑った顔が無気味だ、アスカも何かを察してか素直になったぞ。多分ずっとむくれていれば改造されていたな。

「仲直りしてたわね、みんなでお昼でも食べましょうか」

 お昼かあ、色々食べたからあまり入らないんだけどね。

「お昼なの、食べる食べる〜〜」

 ええっ?さっきぶた饅食べたのにもう食べるの?流石別腹だ。

「私もお腹空いたわ、何を食べるの?」

「そうねえ、茶碗蒸なんかどうかしら?」

「茶碗蒸〜美味しそうね。行きましょう」

 茶碗蒸かあ、いいけど入るかなあ。

「吉宗に行きましょうか、あそこの茶碗蒸セットが美味しいわよ」

「ドンブリいっぱいの茶碗蒸と蒸し寿司・・・美味しそう」

 綾波も茶碗蒸を思い浮かべてお腹を押さえているぞ、お腹空いているんだ。

「シンジ君も吉宗でいいわね?」

「あ、はい」

 入らないって事はないから大丈夫かな、僕も茶碗蒸食べてみたいからね。

「よ〜〜し決まりね。みんな行くわよ!」

 アスカが先陣をきって歩き出したぞ、付いて行こう。

「・・・吉宗ってどこにあるの?」

 歩き出して三歩で振り返った、わかるわけないよね。

「アーケードにあるわよ」

「そうなの、よし改まって行くわよ〜〜」

 アーケードって言っても広いからね、リツコさんに付いて行けばいいや。






「着いたわ〜〜」

 アーケードを暫く歩いて曲がると吉宗があった。ずいぶんと年代を感じる建物だよ。創業は1866年なのかあ、凄く昔から続いているんだ。中に入って茶碗蒸しを注文だ。

「うわ〜〜大きい」

 四人とも茶碗蒸セットを頼んだ。どんぶりが二つ、ふたを開けると茶碗蒸と蒸し寿司がたっぷりと入っている、美味しそうだ〜〜

「いっただきま〜〜す」

 アスカ早いなあ。もう茶碗蒸を口に運んでいるよ。

「美味しい〜〜〜〜」

「本当、美味しいわ」

 アスカも綾波も満足しているよ、どれどれ僕も食べよう。

「本当だ、美味しい」

 卵とだし汁がたっぷりつかわれているから美味しいぞ。

「いつ食べに来ても美味しいわね」

「リツコって食べに来てるの?」

「ええ、ちょくちょくね」

「ずっる〜〜い、今まで内緒にしていたのね」

「博士ずるい」

「内緒ってわけじゃないわよ、ただ行く時間帯が授業中なのよ」

「僕達が勉強している時にリツコさんは美味しい茶碗蒸を食べているんですね」

「シ、シンジ君まで」

 ちょっといぢめてやらないとね。

「この蒸し寿司も美味しいわね。あ〜〜あリツコはこれも一人で食べたんだ〜〜」

 錦糸玉子にそぼろ、さくらでんぶが三等分に表面に敷き詰められてる蒸し寿司、これも絶品だね。

「わかったわよ、今度連れて来てあげるから」

「本当?ラッキー流石リツコね」

 またこれが食べれると思うと僕も嬉しくなるよ。

「碇クン、これ食べて」

 茶碗蒸に入っていた鶏肉、そうか綾波は肉がダメだったんだね。

「これも食べて」

 蒸し寿司に三分の一敷き詰められていた鳥そぼろもダメなんだね、美味しいのに残念だよ。

「シンジばっかりずるい、アタシにもちょうだい」

 アスカが横から鳥そぼろを横取りしたぞ、僕も欲しいのに。

「アタシは桜でんぶをあげるわ、アンタ好きでしょう」

「うん」

 アスカが綾波に桜でんぶをあげたぞ。さっきまで仲が悪かったけど、もう平気だよね。

「甘い、お寿司によく合うわ」

 温かい酢飯にほんのり甘い桜でんぶの味が合うんだよね。僕も帰ったら作ってみようかな、でも同じ味にするのは無理かな。

「シンジ、これあげるわ」

「銀杏も食べなきゃダメだよ」

 銀杏が入ってこその茶碗蒸だね。

「だって味が無いんだもん」

「私もいらない」

「綾波まで」

 綾波も銀杏苦手なんだね。

「ふふふシンジ君、二人に人気ね」

 リツコさんが笑っているよ、銀杏が僕のも入れて三つか、ちょっときついなあ。

「ふ〜〜お茶が美味しいわ。ごちそうさま〜〜」

 アスカが一番に食べちゃったよ、流石早いね。

「アスカ、私入らないから食べて」

「もうお腹いっぱいなの?」

「うん」

「じゃあ遠慮無しで貰うわね」

 綾波は少食なんだよね。まあどんぶりいっぱいの茶碗蒸と蒸し寿司だから食べきれないかな。ん?食べきれたアスカは大食い、食べ歩いたのによく入るよなあ。

「ん〜〜美味しい」

「アスカは気に入ったようね」

「うん最高よ、今度絶対に連れて来てよね」

「はいはい、わかったわよ」

「博士、私も連れて行って」

「わかっているわよ。みんな連れて行くわよ」

 次はいつになるのかな、楽しみだよ。






 お腹もいっぱいになった事だし次はどこへ行くのかな?

「あ〜〜アタシ疲れちゃった〜〜」

「私も疲れたわ」

 疲れるの早っ!

「まだ見てまわるんじゃないの?」

「もういいわ、ご飯を食べれたから満足よ」

 アスカはランタンよりご飯が良いんだね・・・食い気かあ。

「碇クン、私疲れたの」

「疲れたんだ」

 綾波の顔がちょっと青白いかな。

「おんぶして」

「ええっ?」

「歩きたくないの、おんぶ」

「そ、それはちょっと」

「こら、ファースト!何がおんぶよ、ちゃんと自分で歩きなさい」

「イヤ、私が歩いたら貴女が碇クンにおんぶしてもらうと思ったでしょう」

「お、思ってないわよ」

「嘘、顔に書いてあるわよ、おんぶしてもらうって」

「か、書いてないわよ」

 アスカ、思いっきり顔を擦っているよ。アスカも僕におんぶしてもらうと思っていたんだね。

「だから碇クンには私がおんぶしてもらうの」

「ダメよダメ、シンジにはアタシがおんぶしてもらうの〜〜」

「私よ」

「アタシ〜〜」

「二人とも!僕はおんぶしないよ、ちゃんと歩きなさい」

 一人をおんぶしたら喧嘩になるし、多分交代ずつおぶらなきゃならないから僕が疲れるよ。

「「はあ〜い」」

「ふふふ、シンジ君大変ねえ」

「はい」

 パイロットの中で僕が一番苦労しているなじゃないかな。

「三人ともこれからどうするのかしら?疲れたならどこかで休憩しましょうか?」

「休憩しても良いけど、アタシは帰ってもいいわよ」

「もう帰るの?まだ見てまわらないの」

 夜のランタンも綺麗なのになあ。

「シンジがおんぶしてくれたらいいわよ」

「私も」

 ・・・帰ろう。

「シンジ君はどうするのかしら?」

「僕も帰ります、明日がきつくなりますから」

 二人をおんぶしていたら筋肉痛になっちゃうよ。夜のランタンが見れないのは残念だけどしょうがないや。

「それじゃあ帰りましょうか」

「あっちょっと待ってヘリのパイロットに連絡を入れないといけないわ」

 そうだったね、夜帰るって言っていたからね。電話しないといけないね。

「私から連絡を入れるわ、みんなでヘリで帰りましょう」

 流石リツコさん、もう電話しているよ。

「アスカ、ミサトさんにお土産を買っていかないと」

「そうね、ちゃんぽんと皿うどんセットだったわよね、それとカステラも買っていきましょう」

「うん」

 松ヶ枝埠頭にヘリを待たせているからそこへ行く途中でミサトさんのお土産をゲットだ。






「シンジ、ランタンフェスティバルって楽しかったわよね」

「うん、こんなに楽しいのは久しぶりだよ」

 ヘリが上昇していき長崎の街が小さくなっていく、空から見る長崎は山に囲まれており、港には造船所があり向かい側には西洋の建物が見えた。あれがグラバー園かあ。

「また来ましょうね」

「うん」

 僕はアスカとまた長崎に来る事を約束した。

「抜け駆けは許さないわ、私も行くの」

「おっと、そうだったね綾波も一緒に行こうね」

 綾波とアスカと僕とで、おっとリツコさんに連れて行ってもらうんだったけ。

 日帰りだったけど楽しい一日だったよ。


 ランタンフェスティバル、レイちゃん、やっとシンジ君を発見しました。良かったです(^^;)そして3人でチャイナ服を着て記念撮影、当然シンジ君はチャイナドレスではなく男物のチャイナ服です(笑)

 お昼は茶碗蒸を食べに行く四人、アスカちゃんはよく入りますね。太らなければいいのですが・・・

 ご飯を食べたら疲れたアスカちゃんとレイちゃん、シンジ君におんぶしてもらいたいでしょうけどシンジ君が大変ですね。少し残念ですけど早めに帰ることにしました。

 アスカちゃん達のランタンは楽しかったようですね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION ランタンへ行こう4