MS18
「アスカ、ちょっと時間あるかしら?」
エヴァの起動実験が終わり帰ろうとしていたアスカにリツコは声をかけた。
「無いわよ、お腹すいたもん」
「そんな事言わないでちょっと時間作ってちょうだい」
「イヤよ、シンジがご飯作っているからもう帰るの」
「お願いよ、これあげるから」
リツコは白衣のポケットから一枚の写真を取り出した。
「あっ!こ、これは」
「うふふふ、どう時間はあるかしら?」
「しょうがないわね五分だけよ」
「ええ、研究室に来てちょうだい」
アスカはポケットに写真をしまいこむと研究室に付いて行った。
「五分だから早くしてよね」
研究室に入った二人、アスカは腕時計を見ると時間を確認した。
「わかっているわ、今日呼んだのはこれのモニターをしてほしいのよ」
リツコは何かを被せていた布を取った。
「これは!」
「ふふふ、そうよジオン公国軍最強にして最後のモビルスーツ、ジオングのMSスーツよ」
「これを着てモニターするのね」
「ええ、どのくらい力を発揮するか試してほしいのよ」
「別にいいけど」
乗り気ではないが承諾し、ジオングヘッドをかぶり胴体を装着し始めた。
「あれ?これってどうやって着るの?」
胸のパーツを装着して次に腰のパーツを装着しようとしたが足を通すところが無くバーニアが付いていた。
「足は無いわよ、ジオングだからね」
「それはわかっているけどこれじゃあ着れないじゃない」
「足は飾りよ、偉い人にはそれがわからないのね」
「わからないって・・・着る事を考えれば当然なんだけど」
台詞に酔うリツコにアスカは呆れた。
「どうやって着るのよ?足をつけてよ」
「これはスカート部分にしゃがんだ状態で、つまり体育座りで装着するのよ」
「え〜〜〜そんなのイヤよ、疲れるじゃない」
「悲しいわね、偉い人にはわからないのね」
「偉くないって、まさかそれを言いたいから造ったんじゃないでしょうね?」
「え!な、何の事かしら?」
アスカの質問に目をそらした。
「やっぱりね」
「ま、まあその事は置いといてモニターちょうだい」
「足つけてくれたらしていいわよ」
「足は偉い人にはわからないのよ」
「・・・五分経ったから帰るわ」
「ああ〜〜待って〜〜」
腕時計を見るとすでに五分経っており、アスカはリツコの呼び止めを無視すると部屋を出て行った。
「偉い人にはわからないのね〜〜」
一人になった研究室でリツコはハンカチを噛み締め涙を流した。
数分後、自分の涙に酔いしれるとポケットから携帯を取り出した。
「この実験が行われないとジオン公国が滅亡するわ」
携帯のリダイアルを押し相手が出るのを待った。
「はい」
「もしもしレイ、今から私の研究室に来てちょうだい」
「イヤ」
「なっなんですって?」
レイの返事に米神に青筋が入った。
「お腹空いたから帰ります」
「き、緊急の用なの早く来なさい」
怒りたかったが堪えて冷静に話す。
「緊急?使徒ですか」
「え、ええ使徒よ。早く来なさい」
「・・・」
「どうしたの?」
黙りこむレイ。
「嘘ですね」
「う、嘘じゃないわよ本当に使徒よ」
「声が嘘と言っています、本当はMSのテストがしたいんですね」
「ど、どうしてそれを?」
レイの直感にリツコの背中に冷や汗が流れる。
「私は偉くはないですがわかりません」
ツ〜〜ツ〜〜ツ〜〜〜
「あ、レイ、レイ〜〜〜」
通話は途切れた。
「ど、どうして・・・どうしてわかってくれないのよ〜〜〜〜!!!」
ガックリと肩を落とすMAD SCIENTISTであった。
やはり足は必要でしょうか?それとも台詞だけが言いたかったのでしょうか(笑)
装着するには足が必要でしょうね。足があればアスカちゃんもレイちゃんも着ると思いますが、どうでしょうか。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION MS18