選挙

「ミサトさん、起きてください。朝ですよ」

「う、う〜〜ん・・・まだ寝かせてよ。日曜じゃない」

 昨日夜更かししたミサトは布団に包まって寝ていたいのだが、シンジはそれを許さない。

「もう十時をまわっていますよ、投票にも行かないといけないでしょう」

「投票?何それ〜〜」

 まだ寝ぼけてて頭が回らない。

「投票って選挙ですよ。今日は選挙の投票日ですよ」

「ふ〜〜ん、そうなんだ、お休みなさい」

 自分には関係ないと思い布団を頭から被った。

「そうなんだじゃないですよ、投票は義務ですよ」

「じゃあシンちゃんが私の代わりに行ってきて〜」

「僕には選挙権ありませんよ」

「私が今与えたわ、お休み〜〜」

「だから寝ないでくださいって!ご飯も片付かないでしょう」

 シンジは早く台所を片付けたかった。

「ん〜〜わかったわよ、食べるわよ」

 ミサトは渋々起きはじめた。

「ふあああ、いい天気ね」

「雨降ってますよ」

「・・・そうね」

 ボケたつもりだが冷静に返されてしまった。






「いただきま〜〜す」

 温め直した味噌汁を飲みご飯を口に頬張った。

「ミサトさん、これ選挙のハガキですよ」

「へえ〜〜こんなのが来てたんだ」

「もうずっと前からきてましたよ、ずっとテーブルに置きっぱなしじゃないですか」

「そうだったわね」

 ミサトは以前見たのを思い出した。

「食べ終わったら選挙に行ってくださいね」

「シンちゃんってマジメね、別に行かなくてもいいじゃん」

「自分たちの一票が大事なんでしょ、僕は大人になったら絶対に選挙に行きますよ」

「しっかりしているわね、けど面倒くさいわ。雨降っているし、私はまだ十九歳だから・・・あら〜〜選挙権ないじゃない。このハガキは間違いで来たんだわ」

「ミサトさん二十九歳じゃないですか」

 歳の部分だけ強調している。

「歳をはっきり言わないでよ〜〜まだ二十歳なのに〜〜」

「はいはいわかりました、食べ終わりましたね」

「シンちゃんつめた〜〜い」

 さっさと食器を片付け始めるシンジ、ミサトはガックリ肩を落とした。

「しょうがない、行ってきますか」

 ミサトは席を立つと出かける準備を始めた。






「さあて行ってきますか」

「ミサト〜出かけるの?」

 部屋から出てきたアスカが玄関で靴を履いているミサトに気が付いた。

「ええ投票に行ってくるわ」

「投票?雨降っているわよ」

 外は豪雨であった。

「しょうがないわよ、投票に行かないとシンちゃんが怒るんだもん」

 濡れる覚悟である。

「別に行かなくてもいいんじゃないの?」

「おっ若者の発言ね」

「十分若者よ」

「若者は若者でも私の方が若者よん」

「・・・」

 ウインクするミサトにアスカは呆れた。

「どうしてそこで黙るのよ」

「発言したくなくなったから」

「にゃにお〜〜〜」

「はいはい、にゃって言っても可愛くないわよ」

「くうう〜〜」

 握りこぶしを作った。

「あ〜〜もう行きたくなくなっちゃったわ」

 アスカのお陰で行く気分がそがれた。

「最初から行きたくないんでしょ、それに行かなくても投票できるじゃん」

「へ、何それ?」

「知らないの?ネットでも投票できるのよ。テレビや新聞にでているわよ。ネットでも投票できるって」

「あ〜〜〜?」

 ミサトは靴を脱ぐとリビングに行き新聞を広げた。

「ほらネットでもできるって書いてあるでしょう」

「ほ、本当だわ」

「新聞くらい読みなさいよ。まったく呆れるわね」

 アスカはソファに座るとテレビを見始めた。

「あれ?まだ行ってなかったんですか」

「シ〜〜ンちゃ〜〜ん」

「なんですか?」

「投票ってネットでもできるじゃないのよ」

「ネットでもできるんですか、それは知りませんでした」

 シンジは毎日新聞を読んでいたがうっかりその部分を読み飛ばしていた。

「この豪雨の中投票に行ったら私は風邪引いていたわよ」

「ミサトさんは引かないですよ」

「引くわよ〜〜へっくちゅ〜〜〜ん!ってもうダメだわ。へっくちゅ〜〜〜ん!」

 外には出てないのに何故かその場に倒れた。

「もうダメだわ、シンちゃんに騙され雨の中歩かされ・・・ごほごほっ美女ミサトさん十九歳の短い人生だったわ」

「・・・」

 ミサトの言葉にシンジは呆れた。

「ごほごほ、この咳は肺炎ね・・・もうダメだわ。でもたった一つだけ治す方法があるの」

「わかりましたよ、ビールですね」

 シンジは台所に向かいビールを持ってきた。

「さっすがわかるわね」

「それ飲んだら早く投票すませてくださいね」

「わかったわ、う〜〜ん美味美味〜〜」

 朝からビール一本儲けたミサトは上機嫌でパソコンを立ち上げ投票するのであった。


 大人のミサトさんは選挙に行かないといけないですね。行かないとシンジ君に怒られてしまいます。

 外は豪雨でも行かないと投票ができないと思いきや、ネットでもできるとはシンジ君もミサトさんも気が付いていませんでしたね。アスカちゃんが一番詳しかった(^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 選挙