スケート

「シンジ!スケートに行くわよ」

「え、スケート?」

 テレビを見ていたシンジは背後からアスカに唐突に言われて聞き返した。

「そうよ、スケートよ」

「突然だね」

「今スケートが流行っているそうじゃない、これは行かないと罰が当たるわよ」

「別に当たらないんじゃない」

 アスカの言葉を聞き流した。

「当たるわよ、行くから準備をしなさい」

 アスカはすでに行く準備が完了していた。

「いいよ〜滑れないし」

 滑れない者にとっては行きたくない。

「拒否は認められないわよ、行くのよ!」

「滑れないのに行っても面白くないよ」

 もっともな意見である。

「アタシも滑れないわよ」

「じゃあどうして行きたいの?」

「そ、それは・・・と、兎に角行くの!アタシは行きたいの!」

 顔を真っ赤にすると両腕を振り回しダダをこねた。

「わかったよ、準備するよ」

 アスカのダダっ子ぶりに苦笑するとスケートに行く為に準備をし始めた。

「早くするのよ、待たせるんじゃないわよ」

「うん」












「うわ〜多いわね」

「流石に人気があるね」

 スケート場に着いた二人、スケートリンクは人が大勢滑っておりベンチにも人が沢山居た。

「さあて滑りましょう」

「うん」

 二人はスケート靴を借りて滑る準備を始めた。

「よし!シンジ行くわよ」

「う、うん」

 立ち上がりスケートリンクに向かうが足が安定しないのでふら付いた。

「きゃっ」

「あ、アスカ!」

 ズテ〜〜ン!

 アスカはバランスを崩してシンジに倒れ掛かった。

「いった〜〜〜い」

「アスカ大丈夫?」

「あ、うん」

 シンジがクッションになりアスカに怪我は無かった。

「よかった、行こうか」

「シンジは大丈夫だったの?」

「僕は大丈夫だよ」

 シンジは微笑むとアスカの手を取ってスケートリンク内に入った。手を握られたアスカはほんのり頬が赤かった。

「さあ滑ろう」

「う、うん・・・でも」

 スケートリンクに入った二人、滑る気満々であるが足が震えている。

「な、なかなか難しいね」

「そ、そうね」

 いつまでたっても手すりに掴まり滑り出そうとはしない。

「よし!」

 シンジは気合を入れると手すりから離れた。

「よっよ、よっ」

 シンジはスムーズに滑るではなく歩くように滑った。

「あ、待ってよ」

 アスカもシンジを追いかける為に意を決して手すりから離れた。

「うわ、きゃっきゃっ」

 元々運動神経が良いのね、バランスをなんとか保ちながらシンジを追いかけた。

「はは、アスカ上手だね」

「は、話し掛けないで」

 バランスを取るのに夢中で言葉が耳に入らない。

「あ、シ、シンジ!」

「アスカ」

 バランスを崩して倒れそうになるアスカをシンジが支えた。

「あ、ありがとう」

「転ばなくてよかったね」

「うん」

「尻餅付いたらお尻が濡れていたよ」

「尻餅なんて付かないわよ!」

 頬を膨らまして怒るアスカにシンジは笑った。

「ん?何だろう」

 シンジはスケートリンク内で聞こえる大きな歓声に気が付いた。

「何かしら?」

 滑っている人々は滑るのを止め一方向に向いていた。

「上手な人が滑っているみたいだよ」

「へ〜〜、あれ?あれってペンペンじゃない、ほらペンペンよ」

「えっペンペン?あっペンペンだ」

 二人が見たのは華麗に滑っているペンペンの姿であった。小さなスケート靴を履き、目には氷で反射する光を受けないようにサングラスをかけて滑っていた。

「居ないと思ったら滑りにきていたんだ」

「流石ペンギンね上手だわ」

「あっ五回転半ジャンプをした」

「凄すぎね」

 二人はペンペンの華麗な滑りに驚いた。

「シンジっうかうかしていられないわよ。ペンペンより上手に滑りたいから練習よ」

「え〜〜別にいいよ」

「ダメ〜ペンペンより滑りが下手だなんてアタシのプライドが許さないわ、さあ行くわよ」

 アスカは先ほどがずっと握っていたシンジの手を離し一人で滑り始めた。

「アスカ、危ないよ」

「大丈夫。ってきゃっ!」

 ドッス〜〜ン!

「いった〜〜い」

 アスカは尻餅を付いた、そしてお尻が濡れて冷たい。

「アスカ大丈夫?」

「うへ〜〜パンチ〜が濡れちゃった〜」

 立ち上がりお尻を見るとGパンの蒼色が濡れて濃い蒼色になっていた。

「帰る・・・」

「え?帰るの」

「お尻が濡れて気持ち悪いの!もう帰るの〜〜」

 アスカは両腕を振り回した。

 ドッス〜〜ン!

「いった〜〜い」

 両腕を振り回したのでまたバランスを崩し尻餅を付いた。

「うええ、もう帰る〜」

 お尻の痛さと冷たさでアスカは涙目になった。

「それじゃあ帰ろうか」

「うん」

 シンジは苦笑するとアスカの手を握りスケート場から帰るのであった。


 アスカちゃん、シンジ君と二人だけでスケートに行ったのは良いんですが、滑れなくて尻餅ついてしまいました(^^;)折角のデートが台無しかな。

 そして華麗なる滑りを披露したペンペン、流石ペンギンです(笑)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION スケート