『来い

 父さんからの手紙、書いていたのはその二文字だけだった。

 十年以上もほったらかしだったのに手紙が来たと思えば『来い』だけの文字、今更何の用があるんだ。

 伯父さんの家に居づらいので仕方なく新第三新東京に来た。

 女の人の写真、駅に着いて連絡すれば、この人が迎えに来るらしい。でも電話が繋がらない、連絡する方法が無い、どうしよう。

「しょうがない2駅歩くか」

 シュパアアアア!!

「巡航ミサイル?」

 僕の頭の上をミサイルが飛んでいった、飛んでいった先には何があるんだ?

 ゴゴゴゴゴ〜〜〜〜ン

 何かに当たったぞ、何に当たったんだ?

「なんだよ。あれ・・・」

 爆発の煙がはれて何か見えてきたぞ。

「人?」

 巨人かな、テレビの特撮のような奴だ。

 ゴゴゴン!

「うわっ」

 ミサイルがまた爆発したぞ、本物だ。ここに居たら巻き込まれちゃう、逃げろ〜〜

 キキキキ〜〜〜

「!」

 目の前に車が止まった、何だ?

「お待たせシンジ君!!こっちよ早く乗って」

 写真の女の人だ。

「葛城さん?」

「いいから急いで」

「あ、はいっ」

 僕は車に飛び乗った。

「しっかりつかまってんのよ」

 車は急発進してその場を離れた。ふ〜〜命拾いしたよ。

「ごめんね遅れちゃって」

「いいえ僕の方こそ」

 ド〜〜ン

 ズド〜〜ン

 爆発が後方から聞こえる、戦争映画のようだ。

「あのう、あれは何なんですか?」

「状況のわりに落ちついてんのねえ」

「そ、そうですか」

 心臓はドキドキなんだけどね。

「あれはね、使徒よ」

「使徒?」

「簡単に言えば敵よ」

「敵?」

 敵・・・その言葉に僕の熱き鼓動が震え始めた。

「敵、敵なんですね」

「え、ええ。どしたの?」

「葛城さん僕を降ろして下さい」

「え?何言っているの、危険よ」

「僕は敵が許せないんです」

「ええ?」

「降ろして下さい!」

 魂まで熱くなってきた、正義の拳が光ってくる。

「時間がないのよ、早くここから遠くへ離れないといけないの」

 ブオオオオオ!!

「うわっ」

 身体がシートに押しつぶされる、葛城さんスピード出しすぎだ。

「ええ〜〜い、我慢できない」

 ド〜〜〜ン!!

「ええ、シンジ君?」

 ドアを開けて飛び降りた、そして使徒と言われる敵を見た。

「あれが敵か、いくぞ!!」

 僕は使徒めがけて飛んだ。

うおおおおおお!!!

 僕の拳は黄金に光った、そして・・・・

 ドシャアアア!

 僕は使徒の身体を突き破った。

 ゴオオオオオ!

 崩れ落ちる使徒、僕は勝った、勝利したんだ。
















「何書いてんのよ、どれどれ?」

「あ、見るなよ」

「ぷ・・・ぷぷぷぷぷ、何これ?笑っちゃうわね」

 アスカが無理やり僕が書いていた小説を奪って読んだら笑われた。

「無敵のシンジ様ね」

「いいじゃないか別に・・・」

「使徒を素手で倒すなんて凄いわね〜シンジ様」

 明らかにバカにしている、むかつくなあ。

「拳が光るんだ、ねえ光らしてよ」

「光るわけないじゃないか、それは小説の中なんだよ」

「小説のシンジ様は強いわね〜〜現実はアタシに腕相撲でも勝てないのにね」

 ・・・確かにアスカに腕相撲で勝てない、アスカ強いからなあ、野生には敵わないよ。

「でも僕だって腕立てしているから腕力は強くなったよ」

「へ〜〜じゃあ勝負してみる?」

「いいよ」

 腕立ての他にダンベルもしている、自分でもわかるくらい筋肉がついたんだ。

「じゃあ負けたらアンタのオヤツ貰うわよ」

「ええ?」

 今日はチーズケーキ、僕も好きなのに。

「あら無敵のシンジ様は強いんじゃないのかしら?」

「わ、わかったよ。そのかわり僕が勝ったらアスカのオヤツを貰うよ」

「いいわよ〜〜」

 なんか凄く余裕を感じるなあ。負けて泣いてもチーズケーキは返さないからな。

「ようし、いくわよ」

「うん」

「「レディーGO!」」

 ドン!

「はいアタシの勝ち〜チーズケーキいただき」

 瞬殺、その言葉がよく似合う。僕は負けた・・・





「ん〜〜美味しい〜〜」

 僕の隣でアスカが美味しそうにチーズケーキを食べている、僕の分も・・・

「ふっふ〜〜ん、無敵のシンジ様は強いわね〜〜ふっふふ〜〜ん」

 く、悔しくなんかないぞ。僕は強い強いんだあ〜〜


 シンジ君が強い?使徒も一撃で倒すシンジ君は・・・書かれたシンジ君でした。

 現実はアスカちゃんに腕相撲でも負けてしまう、ひ弱なシンジ君(^^;)この次は勝てるかな?

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 超