悪夢
大草原を一人の少女が長い髪をなびかせて走っていた。
「うふふふ〜〜つかまえてごらんなさ〜〜い」
少女は時折後ろを振り向いた。その瞳の先には少年が追いかけている姿があった。
「あはは〜〜待ってよアスカ〜〜」
「待たないわよ〜〜アタシをつかまえて〜〜〜」
「ようし本気を出すぞ〜〜」
少年は走るスピードをあげた。
「ほらつかまえた」
「あ〜あ、つかまっちゃった。シンジは足が速いわね」
「うん、僕はとっても速いよ」
微笑みあう、二人
その二人の顔は自然と距離が縮まっていく。
「シンジ・・・」
「アスカ・・・」
アスカは瞳を閉じた。
「問題ない」
「え?」
アスカの耳に低い声が聞こえ、恐る恐る瞳を開いて見た。
「ぎゃあああああああああああああああああ!」
「どうした?キスをするなら早くしろ、しなければ帰れ」
目の前のシンジはいつの間にかゲンドウに変わっていた。
「いやああああああああああああああああ!」
ガバッ!
アスカはベッドから跳ね起きた。
「ふう〜〜夢だったのね、嫌な夢だったわ」
額からは汗が滝のように流れ、背中にはパジャマがピッタリとくっついてた。
「び、びっくりするなあ」
「し、シンジ」
部屋には起こしに来たシンジが立っており、アスカの跳ね起きに驚いていた。
「お、驚かさないでよ。それにその声どうしたの?」
シンジの声はいつもの声とは違っていた、低音で発音が濁っていたのである。
「うん、ちょっと風邪引いちゃって喉が痛いんだ」
「そうなの、熱はないの?」
アスカはシンジの額に手を当てた。
「熱は無いよ、喉が痛いだけ」
「ちゃんとうがいをするのよ。夏風は引いたらやっかいなのよ」
「うん、わかったよ。ご飯できたから食べよう」
「うん」
アスカはあくびをするとベッドから出た。
「汗びっしょりだね、どうしたの?それに叫び声も出していたけど」
「あ〜嫌な夢を見ちゃったのよ、死ぬかと思ったわ」
「へ〜どんな夢だったの?」
「ええと・・・」
アスカは思い出そうと腕を組んだ。
「ええと・・・あっ、今のアンタの声、碇司令に似ているわね」
「え〜〜父さんに?」
シンジは少しガッカリした。
「あ〜〜それで!」
アスカは悪夢の原因がわかった。
(アンタの濁声で碇司令が夢に出てきたんだわ)
「どうしたの?」
「何でも無いわよ、早く風邪治しなさいよ!」
ギュウウ〜〜
「いた、いたたた」
アスカは微笑みながら悪夢のお返しに頬をつねるのであった。
アスカちゃんの夢にゲンドウ、悪夢ですね(笑)その原因?は風邪を引いたシンジ君。
声変わりをしてゲンドウに似た声になったらアスカちゃんはショックですね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 悪夢