雨に唄えば

「雨嫌になっちゃうわね」

「天気予報当たったね」

 授業が終わり校舎の入り口でアスカとシンジは空を見上げた。ホームルームの途中から降り出した雨はまだ降り続いている。

「天気予報を見ていたシンジ君は当然傘を持ってきているわよね」

 普段つけない『君』をつけたアスカはシンジに期待をしていた。

「うん、はい傘」

「サンキュー」

 バックから赤いと青の折りたたみ傘を取り出し、赤い傘をアスカに渡した。

「じゃあ帰りましょう、お腹空いちゃったわ」

「そうだね、早く帰ろう」

 二人は傘を差すと並んで学校を出た。





「雨、明日まで降るって」

「え〜〜明日まで?嫌になっちゃうわね」

「最近降ってなかったから水源地が少なくなってきていたから丁度良いんじゃないかな」

「それでもヤダ〜〜」

 アスカは頬を膨らませると空を見上げた。

「さっさと止んでよね、遊びに行けないじゃない」





「おや、あれは?」

 帰路の途中シンジは前方を歩いている人物が知っている人であった。

「ナルシスホモじゃない」

 カヲルの事である。

「濡れているじゃないか、大変だ」

 カヲルは傘を差していなくて濡れながら歩いていた。シンジは急いで走り出した。

「あ、待ちなさいよ」

 シンジのあとを追うアスカは折角の下校を邪魔されて不愉快であった。





「カヲル君!」

「やあシンジ君、今帰りかい」

「そんな事より傘はどうしたの?」

 シンジは自分の傘にカヲルを入れてあげた。

「傘は持っていないよ」

「持ってこなかったんだ、最近天気予報は当たるから持ってきておいた方がいいよ」

「御忠告ありがとう、好意に値するよ。でもワザと濡れていたんだよ」

「ワザと濡れていた〜?アンタバッカじゃないの」

 追いついたアスカは悪態をついた。

「ふふ、君にはわからないと思うけど、この雨が僕の荒んだ心を洗い流して清らかにしてくれるんだよ」

 カヲルを天を仰いで両目を閉じた。

「確かにアタシにはそんな変態な事はわからないわ」

「カヲル君、素敵・・・」

「シ、シンジ」

 カヲルを見つめるシンジの瞳は輝きに満ちていた。

「流石シンジ君、僕の心をわかっているんだね、好意に値するよ」

「カヲル君・・・キュン!」

 シンジの胸がトキメキ、二人は見詰め合った。

「うげ〜気持ち悪い」

 アスカは二人の行動に気分が悪くなった。

「さあシンジ君!一緒に濡れようじゃないか、濡れて唄おうよ」

「うんカヲル君!唄おう」

「そして濡れた制服で透けるシンジ君を素肌を見せておくれ!」

「カヲルく〜〜〜ん!」

 二人は両手を広げ抱き合おうと・・・

こんのへんた〜〜〜〜〜〜〜い!

 ド〜〜〜ン!

あ〜〜れ〜〜〜シンジく〜〜〜ん!

 抱き合う瞬間、アスカの稲妻のような蹴りはカヲルの腹部を捕らえ、遥か彼方に蹴り飛ばした。

「カヲルく〜〜ん、どこに行くんだ〜い?」

「バカシンジ!さっさと帰るわよ」

 アスカはシンジの手を引いて帰路を急がせた。

「でもカヲル君が」

「明日になれば帰ってくるわよ、早く帰ってご飯作ってよ。それてもアンタも蹴り飛ばされたい?」

 アスカの瞳に炎が映し出されていた。

「う、うん。ご飯を作る」

 恐怖のあまり何回も首を縦に振った。

「よろしい、さあ帰りましょう」

 繋いだ手はそのままに雨の中を帰る二人であった。


 雨の日もカヲル君は芸術的です(笑)そんなカヲル君にトキメクシンジ君、二人は妖しい世界に・・・

 でもその妖しい世界も常識人?であるアスカちゃんによって一蹴されました。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 雨に唄えば