暴君
「美味しいの」
レイはネルフの自販機休憩所でベンチに座り、お菓子を食べていた。
「お〜〜美味しそうなの食べているじゃない」
そこへジュースを買いにアスカがやって来た。
「・・・誰?」
「アンタは相変わらず忘れっぽいわね、アスカ様よ!」
「知っているわ」
「冗談言わないでよ、しばくわよ」
「それはよかったわね」
「よくないわよ」
アスカはレイの態度に気分を害し怒ろうとしたが冷静を装い、お金を出しジュースを買った。
「ゴクゴクゴク・・・ぷは〜〜美味しい。ところでファースト」
「何?」
「それちょ〜だい」
先ほどからレイが食べているものが気になる。
「イヤ」
「ケチね、一個ぐらいくれてもいいじゃないのよ」
「別にいいけど、食べたら死ぬわよ」
「死ぬぅ〜?何馬鹿なこと言ってんのよ、アンタ平気に食べているじゃない」
「平気じゃないわ、二人私が死んだの。だから今の私は五人目よ」
「はあ〜?」
レイの言葉に頭を傾げるアスカであった。
「死ぬかどうかわからないじゃないのよ、食べてみるからちょうだいよ」
「死んでもしらないわよ」
「死なないわよ」
「わかったわ」
レイは袋からお菓子を一個取り出すとアスカに渡した。
「どれどれ食べると死ぬほど美味しいのね、いっただきま〜〜す」
「意味が違うわ」
アスカはレイの言葉を無視してお菓子を口に入れた。
パクッ
・・・
「!!!!!!!」
食べた瞬間アスカの顔は七色に変化し床を転がりまわった。
「うげええ〜〜何よこれは?めっちゃくちゃ辛いじゃないのよ」
先ほど買ったジュースを喉に流し込んだが辛味は取れずにもう一本買った。
「だから言ったでしょう」
「あやうくハレルヤされるところだったわ」
「されればよかったのに」
レイは聞こえないように呟いたが・・・
「聞こえたわよ!」
「そう、良かったわね」
「よくない!それにしてもそれはとんでもないわね。恐ろしい殺人兵器だわ」
「食べ慣れると美味しいわよ」
「慣れるとでしょ、その前に死んじゃうわよ」
「だから私は五人目なの」
「それってどこで売っているのよ?」
五人目の理由はあえて聞かずに無視した。
「コンビニよ」
「コンビニで?こんな殺人兵器が簡単に買えるなんて」
「お菓子よ」
「これって暗殺にも使えるわね」
「だからお菓子」
「これを使って・・・」
「お菓子なの」
「うふふふ」
アスカにレイの言葉は聞こえていない。
「シンジ〜〜ミサトが居なくなっちゃった」
「居なくなったの?どうして」
「独立するって」
「流石ミサトさんだね」
「これからは二人で住めるわね」
「そうだね、これからずっと一緒だね」
「シンジ」
「アスカ」
「す、素晴らしいわ」
「アスカ鼻血が出ているわ」
「え、ええ?」
妄想の世界に行っていたアスカは鼻血が出ていることに気がつかなかった。
「おおっと、こうしちゃいられないわ。アタシ帰る」
「あ、実験は」
アスカの姿はすでに無かった。
「たっだいま〜〜」
「あらお帰り」
リビングには仕事をサボったミサトがビールを飲んでくつろいでいた。
「お菓子買ってきたけど食べる?」
「ちょうどオツマミが欲しかったのよね、貰うわ」
「はい、これ」
先ほどコンビニで買った殺人兵器を渡した。
「サンキュ〜〜」
ミサトは袋を開けて一個を口に入れた。その姿を見たアスカの口元が不気味に歪んだ。
「あら美味しいわね、ビールによくあうわ」
「え?」
ミサトに変わりは無かった。
(どうして何もならないの?ここで悶え苦しんでハレルヤなのに)
「もう一個食べ食べよ〜」
もう一個口に運んだが別に変わりは無い。
(これは失敗作なのかしら?もう一袋買っておくべきだったわ)
ガッカリしたアスカはミサトの横からお菓子を一個とり口に入れた。
パク
「!!!!!!!!!!!!」
アスカの顔が七色に変化して泡を吹いて倒れた。
「あら疲れているの?ちゃんとベッドで寝なさいよ」
「・・・」
しかしアスカにミサトの言葉が耳に届くことは無かった。
レイちゃんが食べていたお菓子は危険なお菓子、アスカちゃんは死ぬところでしたね(^^;)
でもそのお菓子でアスカちゃんはよからぬ悪巧みを。
ミサトさんを亡き者にしようとしましたが味覚最強なので効かなかったですね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 暴君