ボーナスは

「ミサトさん、ちょっといいですか?」

「ん?どしたの」

 ミサトがリビングでテレビを見ていると神妙な面持ちでシンジがやって来た。

「聞きたいことがあるんですけど」

「な〜〜んでも聞いてちょうだい、何かしら恋の悩み?わかった〜〜アスカの事ね、あの子は意地っ張りだからビンタの一発や二発かませばいいのよ、そしたらシンちゃんにキュンってなって、ハアハアよ」

「・・・違います」

「違うの?じゃあレイね。レイは大人しいから強引にハアハアしちゃいなさいよ」

「違います!」

「じゃあ〜洞木さんかしら?」

「違いますってそっち方面じゃないです」

 シンジは聞いてて恥ずかしくなり顔が赤くなった。

「な〜〜んだつまんないの、じゃあ何?」

 ミサトはおつまみを口いっぱいに頬張った。

「ボーナスなんですけど」

「ボーナス?この前出たじゃない」

 ミサトに加え、シンジとアスカも貰っている。

「ミサトさんのボーナスが少ないんですけど」

 ミサトのボーナスはシンジが管理している生活用通帳に記入されるが前回より額が少なかったのである。

「あらそうなの」

「はい、前回よりかなり少ないなんておかしくありませんか?」

「おかしくないんじゃない、不況だから少なかったのよ。私もショックだったわ」

 ミサトは淡々と語った。

「でも僕とアスカのボーナスは以前より上がっていたんですよ」

「あら出世したじゃない、お姉さんは嬉しいわ〜〜」

 ミサトは感激して涙を拭く仕草をした。

「出世って何も変わってないですよ」

「かわらなくても出世したのよ。おめでと〜〜〜」

「おかしいんですよ、ネルフの人達に聞いたら全て額が上がっているんですよ」

「そ、そうなの。私だけ下がったのね、さびしいわ〜〜」

「ミサトさん、何か隠していませんか?」

 シンジはミサトの瞳をジッと見つめた。

「な、何も隠してないわよ」







 数秒して瞳をそらすミサト。

「不正をしましたね」

「し、してないわよ」

「黙って何か買いましたね」

「か、買ってないわよ」

 シンジの目線から避け続けるミサト、次第に部屋の隅に追いやられていく。

「本当ですか?」

「ほ、本当よ〜〜」

「部屋見てもいいですか?」

 こっそり何か買っているなら部屋に品があると思ったシンジは許可を取る。

「いいわよ〜〜隅々まで見てちょうだい!」

「部屋にはないですね」

「な、なんでよ?」

「その言い放つ自信が根拠です」





「シンジ〜」

 そこへアスカが外から戻ってきた。

「どうだった?」

「ええ車のパーツが替わっていたわ、これがその証拠」

 アスカは車のトランクから見つけたパーツの説明書をテーブルの上に置いた。

「ミサトさん、ボーナスを使って買ったんですね?」

「か、買ってないわよ、それは前買ったやつよ」

「ふ〜〜ん、そうなの、前見たときは入ってなかったわよ」

「入れてなかっただけよ」

「それにしては説明書が新しいですね」

 シンジは説明書をめくっていった、新しくシワが入っていない。

「私〜物を大事にするから〜」

「ウソおっしゃい!十秒で壊すくせに」

「ウソじゃないわよ〜」

 大声で潔白を訴えるが・・・

「ミサトさん、保証書の日付が今月、それもボーナスが出た次の日になっていますよ」

「な、何のことかしら?」

「確定ね、クロね」

「ミサトさん、ウソを言ってはいけませんよ」

「う、ウソじゃないわよ。それは誰かが私を陥れる為に仕組んだ罠よ」

「はいはい、言い訳はわかりました。シンジ行きましょう」

「うん」

「あ、どこへ行くの?」

「今日は外食をするんですよ」

 二人にもボーナスが出たので豪勢にディナーに行く予定である。

「わ、私は?」

「ミサトさんはパーツを黙って買った事と嘘をついたことで留守番してもらいます」

「ええ〜〜?じゃあご飯は?」

「お茶漬けと漬物だけです!」

「そ、そんな〜〜」

「じゃあ行こうアスカ」

「ええ」

「うえええ〜〜〜いぢわる〜〜〜」

 二人の背中を見送るミサトは肩を落として大粒の涙を流すのであった。


 ボーナスが出たミサトさん達、嬉しいですね。でもシンジ君の疑問がミサトさんに向けられました。

 ミサトさんを問い詰めたらパーツを買っていた事を黙っていましたね。怒るシンジ君当然です(笑)

 罰としてミサトさんはお茶漬けと漬物、黙っていてはいけませんね(^^;)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION ボーナスは