ネルフのかいだん

 僕は碇シンジ、世界を守る主夫です。

 今日はちょっとしたかいだん話があるんだ。

 かいだんと言っても怖い怪談ではなく、上り下りする階段話なんだよね。

 いつものアスカの気まぐれな一言なんだよね。



「シンジ〜休憩に行きましょう」

「うん」

 実験途中の小休止、喉が渇いたからジュースを飲みに行こうかな。さあエレベータに直行だ。

「ちょい待ち!」

「ん、どうしたの?」

「エレベータは使わないわよ。階段で行くのよ」

 どうして階段なんだろう。エレベータは故障しているのかな。

「故障しているの?」

「してないわよ。たまには〜〜階段で行ってもいいかな〜〜って思ったりなんかしたのよ」

 アスカは指をモジモジからませて顔をちょっと赤らめているぞ。はは〜〜ん。

「さあ行くわよ」

「さては太っ・・・ぐえっ!

 最後まで言えなかった。僕のお腹にアスカのコブシが突き刺さったよ。

「半殺しにするわよ」

「も、もうなっているよ」

 もう少し当たり箇所が違っていたら僕は今この場所にいないよ、きっと母さんの所にいるんだ。

「グズグズしてないで行くわよ」

「ぼ、僕はお腹が痛いからエレベータで」

 突き刺さった場所が痛いよ。

「ああ〜〜ん?アタシ一人だけに歩けって言うの?そんな事許されるわけ無いじゃない、アンタも来なさい」

「うわっ」

 僕は手を引かれ強引に階段に連れて行かれたよ。




 目の前に階段が現れた、コマンド。さあどうしようかな、当然上るんだよね。

「ふっふっふっふ、腕がなるわね〜〜」

 上るのにどうして指を鳴らしているんだろう、気合はいりすぎだよ。

「じゃあ行こうか」

 休憩時間が無くなるから早く行かないとね。

「ちょっと待った〜〜〜!」

「何?まだなにかあるの?」

「階段は一段とばしで上るのよ」

「どうして?」

「一段とばしなら股の裏の筋肉が使われるからいいのよ」

「ふ〜ん」

 そういえば昨日テレビで健康についてやっていたな。それを食い入るように見ていたのを思い出したよ。

「さあ行くわよ」

「うん」

「上る度に腰をひねって腕を動かす、こうすれば全身を使うから良いのよ」

「ふ〜〜ん」

 僕もアスカにならって実行してみた。なかなかいいね。

「よいしょ、よいしょ。うん燃焼しているって感じね」

 脂肪がね。って口が裂けても言えないね。言ったら全殺しだよね。

「よいしょ、よいしょ。よしスピードアップよ」

 アスカが歩く速度をあげたぞ。

「アスカ危ないよ」

「平気よ平気〜〜」

 ツルッ!

「きゃっ!」

「アスカ!」

 ドスドスドス〜〜ン!

いった〜〜〜い!

 あ〜〜あ足を踏み外して尻餅ついちゃったよ。

「大丈夫?」

「う、うう・・・痛い!お尻がいた〜〜〜い!」

 お尻をさすって涙目になっている。見ているこっちも痛そうだったもんな。

「いたいよ〜〜」

「立てる?」

「痛くて立てな〜〜い、歩けな〜〜い、おんぶ〜〜」

「ええっ?」

 腕を伸ばしておんぶせろって訴えているよ。誰がおんぶするの?僕?僕だよね。

「おんぶ〜〜」

「はいはい」

 僕は諦めてアスカをおぶった。はあ〜〜アスカをおぶって階段を上らないといけないのか。

「へへ〜楽チン楽チン」

 僕には地獄だよ。重くて重くて・・・口には出しては言えません。





「はあはあはあ・・・つ、ついた〜〜」

 ようやく自販機に着いたぞ。喉が渇いた。

「ありがとう」

「次からはエレベータで来ようね」

「どうしてよ、今回は失敗に終わったけど次がまだあるわよ」

「・・・」

 気合入っているけど、次も失敗すると僕は予感した。そして失敗したら僕が地獄になって一層やせて・・・

「ぷは〜〜歩いた後のジュースはおいしい〜〜」

 歩いたのは僕だよ〜〜〜!って言いたかったけど僕は言えませんでした。


 健康の為に階段を使うアスカちゃん、でも気合が入りすぎて尻餅ついてしまいました(^^;)

 痛くて歩けないアスカちゃんは楽ですがシンジ君が大変です。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION ネルフのかいだん