おにぎり

「ただいま〜」

 シンジが買い物から帰ってきた、額から汗が流れており外はかなり暑かったようだ。

「喉渇くなあ」

 そのままだ台所に直行、冷蔵庫を開けて麦茶を取り出した。

「ゴクゴク・・・ぷは〜〜生き返るなあ」

 コップに氷を入れ冷えていた麦茶を入れて更に冷やして一気に飲み干した。

「さあて」

 先ほどテーブルに置いた袋から何かを取り出して皿に盛り付けた。そしてもう一つコップを出して氷を入れて麦茶を入れた。

「これでよし!」

 用意した皿とコップをオボンに乗せてリビングに向かった。





「アスカ〜〜おやつだよ」

「おやつ、おやつ〜〜」

 リビングで寝転がってダラダラしていたアスカはおやつと聞いて素早く身を起こした。

「今日は何?」

「今日はこれ?」

 アスカの前に先ほど盛り付けた皿を置いた。

「おにぎり?それに色が茶色なんだけど?」

 皿に盛り付けられていたのはおにぎりであった。しかし普通のおにぎりではなく色が茶色であった。

「ふふ、どうして茶色だと思う?」

「醤油を塗っているの?」

 アスカは以前焼きおにぎりを食べたことを思い出した。

「ブ〜残念、違うよ」

「じゃあソース!」

「それも違う、食べてみなよ」

「うん」

 アスカはぎこちない手つきで箸を使うとおにぎりを一口食べた。

「もぐもぐ、もぐもぐ・・・この口の中に広がる香ばしさと苦味はコーヒーね」

「ピンポ〜ン、正解。これはコーヒーで炊いたおにぎりなんだよ」

「へ〜〜」

「珍しいから買ってきたんだ」

「でもこれってコーヒーって言われないと気がつかないわね」

 何も言われずに食べたら気がつかないほどの香りであった。

「分量が難しいんだろうね。多く入れたら苦いし少なかったら香りがしないからね」

「シンジは作れる?」

「どうかな〜?ちょっと難しいだろうね」

 シンジはおにぎりを一口食べた。

「もぐもぐ、もぐもぐ。う〜〜ん、薄味だね」

「コーヒーに浸したらいいんじゃない」

 シンジにはちょっと期待はずれだったようである。

「ごちそうさま」

「あれ、もういいの?」

 アスカは麦茶を飲み干した。

「うん、ちょっとね。残りはあげるわ」

 アスカにはお気に召さなかったようである。

「じゃあ、もらうよ」




「たらいま〜〜〜」

 そこへミサトが帰ってきた。

「おかえりなさい、今日は早いですね」

「やる気が無いから帰ってきたのよ」

「アンタね〜〜それでよくクビにならないわね」

 ミサトの行動に呆れた。

「ネルフは私の才能を必要としているのよ、クビにするわけないじゃないの」

「甘いわね、そう思っているだけですでに用済みなんじゃないの?」

「そうだね、明日にはミサトさんの部屋が無くなっていたりして」

 シンジは笑ったが現実に起こりえる事である。

「無いわよ、逆に豪華になっているかもね」

「お気楽ね〜〜」

「おおっ、おにぎりじゃない。貰っていい?」

 テーブルに置いてあるおにぎりに気がついた。

「いいですよ、全部食べてください」

 シンジもあまりお気に召さなかったようである。

「じゃあ、も〜〜らい。もぐもぐ、もぐもぐ・・・にがっ!苦いわね〜〜何が入っているの?」

「これはコーヒーで炊いたんですよ」

「コーヒー?苦すぎるわ。砂糖が入ってないわね」

 ミサトはシンジの飲みかけの麦茶を飲んだ。

「砂糖は入っていませんよ、入れたら甘くて食べられませんよ」

「ダメよ〜私はコーヒーには砂糖が必要なのよ。シンちゃん砂糖を取ってきて」

「うげ不味そう」

 アスカは舌を出しておにぎりに砂糖をつけているところを想像した。







「はい、砂糖です」

「サンキュウ〜」

 シンジから砂糖を受け取るとおにぎりにつけた。

「もぐもぐ、もぐもぐ・・・」

「ど、どうですか?」

 二人はミサトの感想を待った。

んま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!

「えっ美味しいの?」

「美味しいんですか?」

「ええ、んまい〜〜いわよ。あ〜〜ウマウマ」

 ミサトの顔は極楽に満ちていた。

「アタシにちょっとちょうだい」

「僕にも」

 二人は一口取って食べた。

「「・・・まずっ!あまっ!」」

 二人はおにぎりの甘さと苦さに意識が遠退くのであった。

「あらあら、二人とも夏バテなのね。ちゃあんと栄養摂らないとだめよん」


 シンジ君が買ってきたおにぎり、ちょっと外れたようですね(^^;)

 早く帰ってきたミサトさん、よくクビになりません。そして味覚はいつもどおりに変です(笑)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION おにぎり