プレゼントは

「んっふっふ〜」

「アスカ、ニコニコして何かいいことでもあったの?」

 リビングでアスカは雑誌を読みながら鼻歌を歌っていた。

「ふふふ、わかる〜?当ててごらんなさい」

「ええと〜わかった!」

 シンジは手をポンと叩くと嬉しい理由がわかった。

「二週間ぶりに出たんだね」

 バシッ!

 アスカの投げた雑誌がシンジの顔面にヒットした。

「いった〜〜」

「そんなに長く出てないわよ」

「そうなんだ、じゃあ一週間ぶりに出たんだね」

 バフッ!

 今度はクッションが飛んできて顔面にヒットした。

「いたた」

「一週間も我慢してないわよ」

「そうだったんだ、わかった!三日ぶりに出たんだね」

 ゴンッ!

 極めつけは座椅子が飛んできて顔面にヒットした。

「し、死ぬじゃないか」

「死んでしまえ!アンタはどうしてそっち方面しか答えが出ないのよ」

「だっていつも、う〜〜んう〜〜んって唸っているじゃないか。今日も頑張っているなあって思うよ」

「ちょっと盗み聞かないでよ」

「だって声が大きいから聞こえるんだよ」

 いつも台所で家事をしているとアスカの唸る声が聞こえてくる。

「そんなに大きいの?」

「うん」

「・・・」

 アスカは真っ赤になってうつむいた。

「女の子って出ないんだね。僕は毎朝出るよ」

「そうなの?」

「うん、すっきり爽快さ」

 シンジの健康さに少し驚いた。

「ふ、ふんだ羨ましくないわよ」

「野菜を食べたらいいんだよ、アスカ野菜嫌いだから出ないんだよ」

「う・・・」

「今日は野菜のフルコースにするからね」

「や、やめてよ〜〜」

 楽しみのご飯が憂鬱になってしまう。

「はは冗談だよ。ところでいい事ってなんだい?」

「もうすぐクリスマスでしょ、クリスマスプレゼントが楽しみ〜」

「そうかもうすぐクリスマスだね」

 シンジはカレンダーを見た、クリスマスに真っ赤な丸がつけてある。

「サンタさんは何をくれるのかしら?」

「何が欲しいの?」

 サンタシンジがリサーチを始める。

「ええとね〜DSとPSPが欲しいの」

「DSとPSP〜?た、高いんじゃない」

 プレゼント代を出すのはシンジ、二つ買うとお小遣いが無くなってしまう。

「高いけど、サンタさんは良い子の所にやって来てくれるのよね〜」

 アスカは首を傾け微笑んでシンジを見た。

「よ、良い子かな?」

「誰が見たってアタシは良い子じゃない。もうすごっ〜〜〜〜〜く良い子!良い子選手権があったらダントツで優勝してるわよ」

「予選落ちかも」

「シンジ〜クリスマス前に死にたいわけね」

 アスカは指を鳴らすと口元をゆがめ不気味な微笑みで睨みつけた。

「う、ウソです、ウソ〜〜」

「よろしい」

「ほ・・・助かった」

「なんか言った?」

「何も言っていません」

 シンジは正座をして背筋を伸ばした。

「まあサンタさんもDSとPSPじゃ懐が大変だと思うから一つにするわ」

「一つ、それがいいようん。それでどっちがいいの?」

 シンジとして値段が安いDSを選んで欲しいのだが・・・

P・S・P

「・・・」

 夢は打ち砕かれた。

「DSじゃダメなの?」

「DSはね、多分シンジのところに来るサンタさんがあげると思うわよ」

「・・・」

 シンジのところに来るサンタはもちろんアスカである。

「何くらい顔してんのよ、サンタがくるのよ。もっと喜びなさいよ」

「う、うん。でも・・・」

「なに?」

「何でもないよ」

 シンジは『でも』のあとの言葉を口に出さなかった。

(僕が貰ったってどうせアスカが使うんだろうな)


 もうすぐクリスマス、アスカちゃんの目的はプレゼント。欲しいものは二つ、でもサンタさんの懐事情が厳しいので一つにしました。

 嬉しい事にシンジ君のところへもサンタがやって来る、でもプレゼントは何故かアスカちゃんの希望の品です(笑)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION プレゼントは