仕事始め
「ダッル〜〜〜〜〜」
朝からミサトのやる気のない声、まだ眠たそう。
「ふあああ〜〜〜は〜〜くっしょん!」
欠伸をしてくしゃみ、だらしないわね。
「ミサトさんしっかりしてください、今日から仕事でしょう」
シンジが目玉焼きを焼きながらミサトを見て呆れていたわ。それはそうよね、今日からミサトは仕事、連休疲れで行きたくないみたいだから。
「アスカ〜味噌汁できたよ」
「わかったわ」
アタシは火を止め、味噌汁をテーブルに運んだわ。アタシとシンジはまだ学校が休みだから起きなくていいんだけど、仕事始めだからパイロットのアタシ達も来いとの事、ミサトじゃないけど面倒だわ。
「ミサトさん用意できましたよ」
「あんがと、いただきま〜しゅぅ〜〜・・・」
手を合わせながら寝たわ、器用ね。
「ミサトさん、起きてください!」
「ん〜〜今日は休む〜〜」
「休みって仕事一日目は行かないといけないですよ」
「大丈夫よ〜有休たあ〜〜ぷりあるから〜〜」
嘘おっしゃい、リツコからマイナスって聞いたわよ。
「たっぷりあってもダメですよ〜〜」
「シンちゃんが代わりに行ってよ〜〜」
「僕も行くんですよ」
「そうなの〜〜良かったわね」
「良くないですよ」
朝から疲れるわね〜イライラしてきたわ。
ボコッ!
「いった〜〜〜痛いじゃない〜」
アタシはミサトの頭に爆弾を落としてやったわ。
「痛くしたのよ、さっさと食べなさいよ!そんなんじゃ給料出ないでしょうが」
「朝からご立腹ね〜もしかして女の子の日なの?今日は二日目かしら」
「殺すわよ」
シンジの前で変なこと言わないでよ。
「女の子の日?アスカ二日目ってなに?」
「知らなくていいの!」
バカシンジ、レディに聞くものじゃないのよ。
「シンちゃん、それはお姉さんである私が教えてあげるわよん」
「教えなくていいの!」
ボコッ!
「はううう〜〜」
本日二発目を落としてやったわ。
「食べないならアタシが食べるわよ」
アタシはミサトの目玉焼きを奪い取ってやったわ。
「はうう〜〜ごめんなさ〜い、食べる」
「急いで食べて用意しなさいよ」
「う〜〜ん」
まったく世話が焼けるわね。
「はは」
「何が可笑しいのよ?」
何でか知らないけどシンジが笑っていたわ。
「だってアスカがお姉さんでミサトさんが妹に見えるんだもん、笑えるよ」
「笑えないわよ、手がかかってしょうがないわよ」
「あら〜私が妹って事は歳は十二歳くらいかしら?」
「違いますよ」
「じゃあ十歳かしら?」
な〜〜に寝ぼけたこと言っているのかしら。
「アスカ〜味噌汁おかわりするかい」
「うん」
「こら〜〜無視しないでよ〜〜」
調子に乗るから無視した方が良いのよ。
ご飯を食べたら用意をしてネルフへ行くわよ。
「リツコ〜居るかしら?」
「よく来たわね」
「アスカおめでとう」
「あ、マヤも居たの、おめでとう」
ネルフに来たらリツコの部屋に来るように言われていたの、部屋にはリツコの他にマヤも居たわ。それも二人とも晴れ着で。
「さあ服を脱いで」
「え?」
「着付けてあげるわ」
部屋には赤の晴れ着があったわ、どうやらアタシ用みたい、仕事始めは全員集合して司令の挨拶から始まるから着れっていうみたいなの。
「うん」
アタシは服を脱いで、着付けの邪魔にならないように髪を束ねたわ。
「着付けができるんだ」
「ふふ、女性はできて常識よ。アスカにも教えてあげるわ」
「先輩、着付けが上手なのよ」
「ふ〜〜ん」
別に普段着る事ないから覚えなくてもいいんだけどね。
「うっきついわ」
帯を締められたわ、お腹がちょっときつい。
「我慢しなさい」
「我慢しなくていいわよ、普通のお洋服でいいわ」
「ダメよ、新年は晴れ着って決まっているのよ」
「誰が決めたのよ」
「私よ」
「・・・」
リツコのペースだわ、しょうがないわ我慢しますか。
「髪は纏めてかんざしを挿すわよ」
マヤが髪を後ろで上げて纏めてくれた、あまり髪を上げないからうなじがスースーするわ。
「はい、おしまい。鏡を見てみなさい」
「あ、うん」
リツコが帯をポンと叩いておしまい、鏡を見てみたら・・・
「わあ、綺麗」
自分で言うのもなんだけど、赤い晴れ着とアタシの美貌がマッチして綺麗だわ。
「ふふふ、シンジ君に見せたら惚れ直すわよ」
「な、なんでシンジが出てくるのよ」
「見せる相手はシンジ君しかいないでしょ」
「加持さんが居るわよ」
そうよ、加持さんに見てもらうわよ。バカシンジに見せてもな〜〜んにも感想はないわよ。
「残念だけど加持君は出張で居ないわよ」
「え〜〜〜、そんな〜〜」
加持さん居ないんだ、がっかり・・・しょうがないバカシンジに見せてやるか。
履き慣れていない草履に悪戦苦闘しながら集合場所に向かったわ。あっシンジが居る、ファーストも居るじゃない。
「シンジ〜」
「やあアスカ」
「どうこの晴れ着、素敵でしょう」
アタシはシンジの前で一回点、うふふ美少女が更に美少女になるわ。
「うん、素敵だね」
「素敵ね、私の晴れ着はどうかしら?」
「綾波も素敵だよ」
「ありがとう碇クン」
ファーストも晴れ着、晴れ着・・・って〜〜〜〜
「アンタが着ているのウエディングドレスじゃないのよ!」
「そうなの?」
「そうよ、気づきなさいよ」
天然にもほどがあるわ。
「碇クン、これウエディングドレスみたい」
「そうなんだ、てっきり晴れ着かと思ったよ」
そういうシンジも〜〜〜
「アンタはなんでタキシード着ているのよ!」
「ええ?これタキシードなの、紋付袴かと思ったよ」
どうやったら洋服と和服を間違えるのよ。
「碇クンのタキシードなんだ」
「うっかりまちがえたよ、紋がついてないからおかしいとおもったんだけどね」
それ以前の問題でしょうが。
「うっかりだわ」
「うっかりだね」
「アンタ達うっかりしすぎよ」
まだ正月ボケが残っているのね、それにどうして他のみんなも何も言わないのかしら、全員正月ボケ?
「碇クン司令が来たわ」
「うん」
司令の挨拶が始まるのね、ちょっと気が引き締まるわ。
「え〜〜諸君おめでとう」
新年の定番の挨拶ね。
「今年はレイとシンジが婚約する事となった」
ええっ!?
アタシは耳を疑ったわ、シンジとファーストが婚約?回りは拍手をして祝福しているし二人は照れている。
「二人とも前に来なさい」
「「はい」」
「あっシンジ」
「アスカ、父さんが言ったとおり僕と綾波は婚約したんだ、だから一緒に暮らせるのも朝までだったんだ」
「うそ、うそでしょ」
「嘘じゃないわ、ほら」
ファーストは左手をアタシに見せたわ、薬指には・・・
「そ、そ、そ、それは!!」
「愛の証」
「それじゃあさようならアスカ」
「あ、待ってよ待ってよ〜〜〜〜〜!」
「はっ!」
ゆ、夢?
見回したらアタシの見慣れた部屋、どうやら夢だったようね。
「変な夢だったわ」
うっ汗でパジャマが濡れているわ。
「まだ五時」
ちょっと早いけど起きてシャワー浴びようっと。
アタシは着替えを持って洗面所へ向かったわ、まだ早いからミサトもシンジも寝ているわね、起こさないように静かにしないとね。
「ふんふんふ〜〜ん、あら誰か使っているの?」
洗面所の明かりがついていたわ、シャワーの音が聞こえる、ミサトかしら。
「私よ」
「え?」
中から聞き覚えのある声が聞こえたわ、この声は・・・
「ファースト!なんでアンタがここに居るのよ」
「だってここは私の家だから」
ファーストがシャワーを浴びて出てきたわ、前くらい隠しなさいよ。
「私の家?何寝ぼけたこと言ってんのよ、夢遊病ならさっさと帰りなさい」
「ここが私の家、ほら」
「はあ?」
ファーストが左手をアタシに見せたわ。
「うそ!?」
左手の薬指には・・・
「うふふ」
「うそよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
そこでアタシの意識は途絶えたわ。
「アスカ〜アスカ〜〜」
う〜〜ん、何よ五月蝿いわね。
「アスカ朝だよ」
「まだ学校は休みでしょう。寝かせてよ」
「休みだけどネルフに行かないといけないだろう」
そうだったわ、ネルフは今日が仕事始め、全員集合って言っていたわね。って!
「シンジ!」
「な、なに?」
「アンタ、紋付袴とタキシードの違いわかっているでしょうね」
「うん」
「じゃあ晴れ着とウエディングドレスの違いもわかっているわよね」
「うん、誰が見たって違いがわかるじゃないか、どうかしたの?」
ふう〜正常みたいね。
「何でもないわ」
「へんなアスカ」
正月から変な夢を見ちゃったわね、あ〜〜心臓に良くない夢だったわ。今年も頑張るわよ〜
正月ボケで仕事をしたくないミサトさん、困りましたね(^^;)シンジ君とアスカちゃんはマイペース。
ネルフへ行ったアスカちゃん、晴れ着を着て良かったのですが、レイちゃんとシンジ君の服が変、そしてゲンドウの言葉・・・夢オチでした。
寝汗を流すために洗面所へ、そこで見たのは・・・アスカちゃんにはショックでしたね。でも本当の世界は、普通でした。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 仕事始め