アルバイト

「アイタタタ〜腰が痛いわ」

 ミサトは腰を押さえながらネルフの通路を歩いていた。

「もう歳かしら?ちょこ〜〜〜と筋トレしただけで体中が痛くなるなんて・・・」

「もう歳ですね、四捨五入したら40ですから」

「30よ!」

 後ろからレイに声をかけられすぐさま振り向き訂正した。

「30?葛城三佐は今年で39、い、いひゃい」

「この口〜〜〜〜引き裂くわよ!」

 ミサトは力いっぱいにレイの口を横に引っ張った。

「ご、ごめんにゃはい。もう言いません」

「よし、ついでに言っておくけどね。私は今年で20なのよ」

「・・・」

「こら、何でそこで黙って嫌そうな顔すんのよ!笑って『若いですねミサトお姉様、私も美しさを見習いたいです』と言っても良いんじゃない」

「・・・用事を思い出しました、さよなら」

 レイは回れ右をしてその場を立ち去ろうとした。

「まて〜〜〜い、用事って何よ?今は暇なんでしょうが」

 チルドレンのスケジュールは全て把握している。レイは今の時間帯に予定は何も入っていない。

「この場から立ち去る事が用事です」

「私から逃げたいって訳ね」

「はい」

 レイは頷いた。

「はっきり言ってくれるわね〜その用事は却下ね、私が今から命令を下すわ」

「命令?」

「そうよ、これはトップシークレットの命令、他言は無用よ。もし他人に話したら命は無いと思っていいわよ」

「その命令は?」

 トップシークレットと聞いてレイの全身に緊張が走った。

「その命令は・・・私をマッサージする事よ!」

「・・・帰ります」

 全身の緊張が解けため息を付いた。

「待て待て待て〜〜ちゃんとアルバイト代も出すわよ」

「こ、これは」

 ミサトから受け取った一枚の写真にレイの目が止まった。

「そっ、シンちゃんの入浴シーンよ」

「い、碇クンの入浴シーン・・・キュン」

 レイの頬が赤く染まった。

「一時間ほどマッサージしてくれたら十枚あげるわよん」

「わかりました、快くお受けします」

 レイはお辞儀をするとミサトの部屋に向かった。

「この事は他言無用よ」

「はい」

 シンジの写真を欲しがっている者はネルフ内にも多数いるので、絶対に他言しない事を心に誓った。









「ん、んあ〜〜気持ちいいわ〜〜レイってテクニシャンなのね」

「それほどでも」

 机の上に乗っていた書類を床に払いのけてミサトはうつ伏せになり背中を押してもらっていた。

「んあ、んあ、んあ〜〜そこそこそこそこ〜〜〜!」

「凄く凝っていますね」

「まあね〜毎日の激務で疲れてんのよ」

「激務?」

 レイは首を傾げた。

「激務よ激務!あんた達の面倒見るのもきついのよ」

「そうですか、私は葛城三佐の面倒を見るのがきついです」

「面倒見てるのは私!ふあああ〜〜」

 マッサージが気持ち良いのかミサトの瞳がうつろになってきた。

「眠たくなってきました?」

「う、うう〜ん。私が寝ちゃったら終わって良いわよ、ご苦労様・・・zzz」

「ありがとうございます」

 ミサトは写真十枚をレイに渡すとそのまま夢の世界に入っていった。







「疲れていたのね、碇クン」

 ミサトにタオルケットをかけると椅子に座り写真を見始めた。

「碇クンの入浴シーン・・・素敵」

 レイはマッサージのアルバイト代に満足しながら写真をずっと見続けるのであった。


 筋トレでちょっと疲れたミサトさん、やはり歳(^^;)運動後のマッサージが必要になりますね。

 運悪く?出くわしたレイちゃん、でもアルバイト代がシンジ君の写真なのでラッキーだったかも。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION アルバイト