BAD

「シンジ〜これヴァレンタインプレゼントよ」

「うわ〜〜ずいぶん大きいなあ〜何が入っているんだい?」

「うふふ開けてみて」

「うん!」





「あっ洋服じゃないか」

「うふふ、可愛いでしょう。シンジに似合うかなって思ったのよ」

「ありがとう、嬉しいよ。それで・・・」

「それで?」

「チョコは?」

「無いわよ」

「な、無い〜〜?」

「チョコなんてお菓子会社の策略でしょうが、売り上げに貢献するつもりはないわ。それにチョコ以外のヴァレンタインプレゼントも良いでしょう?」

「そうだね、流石アスカ。一味も二味も違うよ」

「ふっふっふ〜〜当然でしょ。ねえ着てみてよ」

「うん!」






「どうかな?」

「すっごく似合っているわよ、カッコいいわ!」

「ありがとう、アスカ。実は僕からもプレゼントがあるんだ」

「シンジからも?」

「うん、アメリカでは男性から女性にバレンタインにプレゼントを贈るんだって、だから僕もアスカにプレゼントを贈るよ。はいこれが僕からだよ」

「ありがとう、でもこれは何かしら?封筒の中に何が入っているの」

「開けてみて」

「うん・・・あ。これって第三新東京で一番高いビルのレストランチケットじゃない、それもVIP席」

「うん、取るのに苦労したよ」

「苦労したって、高かったでしょう」

「それなりにね、でもアスカと一緒に行けるなら安いよ。一緒に行ってくれるね?」

「シンジ・・・うん」

「ありがとう、アスカ」


「シンジ・・・」



「アスカ・・・」



















 な〜〜んて事になる予定のはずが〜〜〜〜!バカシンジが〜〜〜

「ゴホゴホゴホ」

 どうして狙いを定めたみたいにヴァレンタインに風邪を引くのよ〜!

 せっかくアタシが最高のシナリオを描いていたのに〜〜ってシンジがプレゼントくれるわけないわよね、シンジの部分だけは想像よ。

「シンジ〜〜具合はどう?」

「うん、頭が痛い・・・」

 アタシはタオルの水を取り替えるためにシンジの部屋に入ったわ。シンジはベッドに横たわって苦しんでいる。

「熱は?」

 おでこに手を当ててみたわ、まだちょっと熱があるみたいね。

「まだ身体が熱い」

「水換えてくるわね」

「うん」

 アタシは台所へ行って洗面器の水と氷を入れ替えたわ。

 ・・・ふう〜〜シンジの風邪はいつ治るのかしら?やっぱり家事で疲れているのよね〜アタシとミサトが最近していないからだわ。

 ・・・悪い事しちゃったかな。ようし!治ったら渡そうと思ったけど元気付けに今渡しちゃおう。




 自分の部屋に戻ってプレゼントを持ってシンジの部屋へ行くわよ。

「シンジ、水換えてきたわよ」

「あ、ありがとう」

「それと、これプレゼントよ」

「へ?プレゼント」

「なに目真ん丸くしてんのよ、今日はヴァレンタインでしょう」

「チョコにしては大きくない」

「バカねえ〜ヴァレンタインにチョコを贈るのは凡人がやる事よ。天才美少女のアタシは違うわよ、開けてみなさい」

「う、うん。ゴホゴホ」

 あっシンジが起き上がろうとして咳をしたわ。苦しむからやめなさいよ。

「まだ寝ていなさい、アタシが開けてあげるわ」

「うん」

「よろしい、これはね〜絶対に気に入るわよ〜ほら!」

 洋服をシンジの目の前で広げて見せたわ。

「うふふ、どうかしら、可愛いでしょう?」

「うん、可愛いね」

「絶対にシンジに似合うわよ」

「僕に?ちょっと派手じゃないかな」

「アンタの暗めの性格に、この派手さがマッチして丁度良いのよ」

 アタシが選んだ服を拒否する権利はないわよ。

「そ、そうかなあ?」

「そうよ、絶対に似合うんだからね、風邪が治ったら着てみなさいよ」

「うん、ありがとうアスカ」

 うふふ喜んでいるわ、アタシもプレゼントを贈ったかいがあったわね。

「僕からもプレゼントがあるんだ」

「え?シンジからも」

 ま、まさか?レストランの?もしかして正夢ならぬ正妄想?

「机の上に置いてあるよ」

「机!」

 机の上なのね〜〜〜!

「あっ!」

 小さな箱にリボンがラッピングされていたわ。この時点でチケットではないわね。

「これなの?」

「うん、そうだよ」

「開けていい?」

「いいよ」

 まあシンジのお小遣いじゃチケット入手は無理よね。さあて箱を開けますか。

「キャンディー・・・」

「もっと良いものを贈りたかったんだけど、今月小遣いがピンチだったんだ。ごめんね」

 バカ、どうして謝る必要があるのよ。

「ううん、いいのよ。値段じゃないわ、ありがとうシンジ」

 キャンディーを一個口に入れたわ、甘くて美味しい〜〜

「さっさと風邪治しなさいよ、そして服を絶対に着るのよ」

「うん、わかったよ」

「そしてアタシを食事に連れて行くこと」

 レストランじゃなくてもいいのよ、シンジと行ければいいの。

「約束するよ」

「よしっ!指きりよ」

「うん」



 指き〜りげんま〜〜ん嘘ついたら、ホワイトデーは十倍返しよ、指きった!


「じゅ、十倍〜〜?」

「そうよ、やけに慌てふためいているわね〜嘘をつくつもりだったの?」

「つ、つかないよ。絶対につかないよ!」

「よろしい!」

 これでシンジと食事に行けるわよ〜早く風邪治しなさいよ!


 ヴァレンタインデー、アスカちゃんにはシナリオがあったようですがシンジ君の突然の風邪でシナリオは崩壊しました(笑)

 ご立腹だけど優しいアスカちゃんはシンジ君の看病ですね。そして食事に行く約束をしました(^^)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION BAD