伝授

「綾波、はいクッキーだよ」

「ありがとう碇クン」

 今日も碇クンにクッキーを作ってもらったわ、嬉しいありがとう。

 碇クンのクッキー、ぱくぱく美味しい。

「ファースト、アンタまたシンジに作ってもらったのね」

「うん」

 アスカが愚痴を言いにやってきたわ、そして・・・

「一個貰うわよ」

 愚痴を言いに来たのは口実で、碇クンのクッキーを食べたいだけなのよね。

「おいしい〜〜もう一個貰うわよ」

「駄目、私のものよ」

 何だかんだ言って全部取ってしまうから早く隠してしまわないといけないわ。

「けちね〜」

「ケチじゃないわ、食べないなら自分で作りなさい」

「フンッ!その言葉そっくりアンタに返すわよ、アンタこそ自分で作ったらどうなのよ!」

 ・・・自分で作る。確かに自分で作ればいつでもクッキーが食べられるわ。でも碇クンのクッキーじゃない、それに私はクッキーを作れないわ。

「・・・」

「どうしたのよ?何か言いなさいよ」

「作り方知らない」

「ならシンジに習ったら」

 碇クンに習ったら良かったのね。そしたら自分で作っても碇クンのクッキーを食べられるわ。早速碇クンに教えてもらいましょう。



「碇クン」

「ん、なんだい?」

「クッキーの作り方教えて」

「いいよ、一緒に帰ろうか」

「うん」

 ありがとう碇クン、それに一緒に帰れて嬉しいわ。






 葛城三佐のマンション、碇クンと私は台所に立っているわ。葛城三佐は今日のお仕事はサボりでテレビを見ていたわ、赤木博士に報告しておきましょう。

「アスカも作るかい?」

「アタシはパス〜作るより食べるほうがいいもん」

 アスカは作ることを拒否してリビングへ行ったわ。この時点で私の勝ちね、台所には碇クンと私の二人だけ、何かハプニングが起きても構わないわ。

「それじゃあ小麦粉を用意して」

「うん・・・へくちゅっ」

 しまったわ、うっかりクシャミをしてしまったわ。私の顔に碇クンの白いのが付いてしまったわ。

「綾波大丈夫?」

「うん大丈夫、白いのがかかっても平気よ」

「何言っているのかわからないけど、顔を拭かなきゃ」

「ありがとう碇クン」

 碇クンがタオルで拭いてくれたわ、優しいのね。

「じゃあ作ろうか」

「うん」

 これからは二人だけの時間、誰にも邪魔はさせないわ。


 教えてもらったレシピは秘密、二人だけの秘密。



 クッキーを作っている碇クンの姿、素敵だわ。




 私も碇クンのようにクッキーを作るわ、二人だけの作業、愛の作業ね。





 オーブンで焼いたら完成、完璧な出来だわ、私と碇クンの愛の結晶ね。






「上手に出来たね、食べてみよう」

「うん」

 碇クンが私のクッキーを食べてくれたわ、味はどうかしら?

「うん、美味しいよ」

 碇クンからお褒めの言葉も貰ったわ嬉しい。

「お〜〜出来たみたいね、いっただき〜〜」

 アスカがやって来たわ、碇クンのクッキーを食べ始めた、ハイエナね。

「私もいっただき〜〜〜」

 今度は葛城三佐もやってきて私のクッキーを食べ始めたわ。

「ん〜〜レイ、上手に出来たじゃない、シンちゃんのクッキーと同じだわ」

 私の作ったクッキーが碇クンの作ったクッキーと同じ味、私も食べてみましょう。

「美味しい、でも・・・」

「どうしたの綾波?」

「碇クンのクッキーだけど碇クンのクッキーじゃないわ」

「どういう事だい?」

「碇クンのじゃないの」

 どう説明していいかわからないわ。

「舌が麻痺してんじゃない?シンジのクッキーの味じゃない」

 麻痺なんかしていないわ、アスカじゃあるまいし。

「あ〜〜わかったわ、それわねレイ。シンちゃんの愛が入ってないからよ」

「愛?」

「そ、レイはシンちゃんのクッキーを作ったけど、シンちゃんの愛をクッキーに入れることはできなかったのよ」

「は〜愛?な〜〜にバカな事言ってんのよ」

「愛、葛城三佐、どうすれば入れることができますか?」

 碇クンの愛を私のクッキーに入れたいわ。

「うふふ、入れたい?」

「はい、入れたいです」

「それじゃあ、シンちゃ〜〜ん」

「何ですか?」

「ズボン脱いで〜〜」

「ええっ!?」

 あっ葛城三佐が碇クンのズボンに手を伸ばしたわ、そしてパンツにまで・・・

「や、止めてくださいよ、ミサトさ〜〜〜ん」

「良いではないか、良いではないか。うぶなやつよのう」

「いや〜〜〜やめてくださ〜〜い」

 ああっ碇クンの禁断の場所が見、見え・・・見たいわ、ドキドキ。

ゴラァ〜〜バカミサト〜〜〜〜!

 ゲシッ!

「ぐえっ・・・」

 もう少しのところでアスカが邪魔を・・・じゃなくて葛城三佐に蹴りを入れて碇クンを助けたわ。

「うう・・・汚された、僕が汚されたよ〜〜」

「メソメソするんじゃないの、男の子でしょう」

「でもでも〜〜僕の純潔が奪われそうになったんだ・・・」

「それは女の子の言う台詞でしょ、まったく涙を拭きなさいよ」

「うぐっ・・・ひっく・・・」

 あっアスカが碇クンの涙を拭いたわ、その役は私なのに。

「本当にバカミサトは〜もう呆れるわ。ファースト、ミサトを部屋にぶち込むから手伝って」

「あ、うん」

 私とアスカは葛城三佐の脚を片方ずつ持って部屋まで引きずったわ。

 葛城三佐の突然の暴走で碇クンが泣いちゃったけど、碇クンの愛を手に入れる方法が、わかりかけてきたわ。今度二人っきりのときに実行しましょう。


 シンジ君のクッキーをいつでも食べる方法はレイちゃんがシンジ君から作り方を教われば良いんですね。

 早速家でクッキーを作り始める二人、邪魔者は誰もいません。そして完成ですがレイちゃんには何か物足りないみたいですね。

 シンジ君の愛(笑)ミサトさんがそれを入手しようとして暴走、シンジ君は泣いてしまいました(^^;)

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 伝授