春休み

 ・・・おはよう、今日も良い天気。朝がきたから起きる。

 ・・・時計を見ると午前九時、学校の時間は過ぎている遅刻確定。

 ・・・早く準備をして行かないと。

 ・・・今は春休みだったわ、行かなくていいのね。

 ギュルル〜

 お腹が鳴っているわ、お腹が空いたのね。

 冷蔵庫には何か入っているかしら?



 ・・・あるのは牛乳とバナナだけ、これだけじゃお腹がふくれないわ。

 どうしよう、このままではお腹が空いたまま・・・

 そうだ!













 ピ〜〜ンポ〜〜ン!

「は〜い、どちらさま?ってファースト、アンタ何しに来たのよ?」

 出てきたのは碇クンじゃなくてアスカだったわ、残念。

「ごはん」

「はあ、なによ?」

「お腹が空いたからごはんを食べに来たの、碇クン居る?」

「ぬあに図々しい事言ってんのよ、アンタに食べさせるご飯なんか無いわよ、さあ帰った帰ったシッシ」

 邪険にされているわ、でもこんな時の素敵なアイテムを持ってきているから。

「これお土産」

 冷蔵庫にあったバナナを持参、これで玄関トラップは抜けたわ。

「バナナ〜?ふざけてんの、アタシがこんなんで騙されるわけ無いでしょうが、モグモグ美味しい〜」

 満足したアスカはバナナを食べながら部屋に戻って行ったわ、単純ね。

「お邪魔します」

 玄関には誰も居なくなったけど言うのは礼儀、碇クンはどこにいるのかしら?多分台所に居るわ、私の感が、第六感がそう告げているわ。





「碇クン、おはよう」

「やあ綾波、来ていたの」

「うん」

 碇クンは食器を洗っていたわ、いつ見ても似合っているエプロン姿、後ろから見ていると思わず襲いたくなっちゃうけど我慢我慢。

「もうすぐ洗い終わるからちょっと待っていてね」

「ごはん」

「ん、何?」

「家にごはんが何もなかったの、今お腹が空いて碇クンのごはんが食べたいの」

「そうなんだ、すぐ支度するからちょっと待っていてね」

「うん」

 碇クンは洗い物を止めると、味噌汁を温めはじめたわ、それと目玉焼きを作り始めた。碇クン、どうして貴方の家事姿は素敵なの?襲っていい?

「味噌汁は今朝の残り物だけど勘弁してね」

「問題ないわ」

 碇クンの作ったものなら何でも食べれるわ。

「はい、目玉焼きもできたよ」

「ありがとう」

 目の前に並んだご飯に目玉焼きに味噌汁、美味しそう。

「いただきます」

「召し上がれ」

 モグモグ、モグモグ、流石碇クン美味しいわ。

「どうかな?」

「うん、美味しいわ」

「よかった」

 碇クンが正面に座って私が食べている姿を見ている、ちょっと恥ずかしいわ。










     「綾波、ご飯粒が付いているよ」


     「え?どこに」


     「口元にだよ、チュッ」


     「な、何をするの」


     「はは、驚いたかい、ごめんごめん」


     「もう、碇クンのバカ」








「み・・・なみ・・・やなみ・・・綾波」

「碇クンどうしたの?」

 私を見つめているわ。

「ボーっとしてどうしたの、味噌汁こぼしているよ」

「え?あ」

 手に味噌汁を持ったまま傾けたから膝にこぼれているわ、大変だわ。

「早く拭かないと」

「うん」

 碇クンは慌てているけど、こんな時こそ冷静にしないといけないわ、冷静に・・・

「熱いわ」

「火傷するから早く脱いで」

 脱ぐ?台所で脱がせるなんて碇クン、なんて大胆なんでしょう。

「アスカ〜ちょっと来て〜〜」

「なんなのよ、五月蝿いわね〜」

「綾波のスカートを脱がせてよ」

「はあ〜?何馬鹿な事言ってんのよ」

 アスカより碇クンに脱がせて欲しいわ。そんな事を考えていたら碇クンがアスカに説明していたわ。

「また〜ボケボケってしているからこぼすのよ、ほらこっちに来なさい」

「うん・・・」

 仕方ないからアスカに脱がせて貰うわ、アスカの部屋に行くのね。

「アスカちょっと待って」

「何よ?」

「目玉焼き、まだ食べてないの」

「バカッ!早く来なさい」

 ああっ無理やり連れて行かれたわ、まだ碇クンの愛のこもった目玉焼きを食べてないのに残念。


 春休み、レイちゃんの目覚めは遅いです。遅めの朝食をとろうとしたら何もありませんでした。

 そこでシンジ君ちへ食べに(笑)アスカちゃんには賄賂のバナナを差し出せば玄関を通れます。

 そしてシンジ君の朝食を食べて妄想して・・・味噌汁をこぼしてしまいました。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 春休み