おみやげ

「たっらいま〜〜」

「おかえりなさい、どうでした?」

「チョ〜〜サイコ〜〜だったわ」

 ミサトさんが一泊二日の研修から帰ってきた。研修というのは口実で単なる飲み会みたいなものらしい。

「おかえりミサト、おみやげは?」

 アスカが玄関にやって来た、普段は出迎えに来ることがないのに、おみやげを頼んだときだけ玄関まで来るんだよなあ。

「バッチリ買ってきたわよん」

「わおっ!楽しみだわ、早く早く」

「慌てない慌てない」

 アスカはおみやげを待てないようだ、ミサトさんの手を引っ張ってリビングへ連れて行ったぞ。









「んじゃ、これはシンちゃんね」

「ありがとうございます」

 何を買ってきてくれたんだろう、早速開けてみよう。

「ミニカーだ」

 それも地方限定版のやつだ。

「どう〜?喜んでもらえたかしら」

「はい、とっても嬉しいです」

 これはトウジやケンスケに自慢できるぞ〜

「おもちゃに喜んでいるなんて、まだまだお子ちゃまねえ〜」

「いいじゃないか、好きなんだから」

 お子ちゃまとか言っているけど、アスカは僕が貰ったミニカーをマジマジと見ているんだよね。

「これはペンペンによ」

「クエクア〜〜」

 ペンペンは干物かあ、大好物だね。

「そしてこれがアスカによ」

「わお〜〜サンキュー」

 アスカが貰ったのはTシャツみたいだ。

「絶対にアスカに似合うわよ〜」

「本当?まあアタシが着たら何でも似合うけどね」

 アスカが早速Tシャツを広げてみた。へえ〜背中に文字が書いてあるんだ。文字が・・・ってミサトさん!












 












 背中に大きくプリントされた文字。た、確かにアスカに似合うかも・・・って言ったら殺されるよ。

 アスカは難しい漢字がわからないから喜んでいるし、ミサトさんはわかっていてニヤニヤしている、どういうつもりで買ってきたんですか?

「流行の漢字Tシャツよ、人気があって売り切れ寸前だったわ」

「へ〜〜そうなんだ。この漢字もなかなかカッコいいわね〜なんて読むの?」

 キタッ!これは本当の事を言った方が良いのだろうか?いいやダメだ、言ったら殺されるよ。

「んふふ〜〜それはね」

 ド、ドキドキ。ミサトさんは何て言うんだろう。

「アスカって読むのよ」

 ・・・間違っているけど間違ってないかも。

「へえ〜これでアスカって読むんだ、覚えておこうっと。どうシンジ〜良いでしょう」

「あ、うん。い、いいなあ」

「なによ〜その羨ましくなさそうな返事は、もっと羨ましそうにしなさいよ」

「う、うん。いいなあ〜〜すっごく良いよ。欲しいなあ〜〜」

「ふふふ、でもあげないわよ」

「ざ、残念だよ」

 ふう〜おみやげでこんなに疲れるのは初めてだよ、汗かいて喉かわいちゃった。













「シンジ〜〜ほらほら見て〜〜」

 ブッ!

 台所へお茶を飲みに行って戻ってきたら、アスカがもうTシャツを着ていたよ、それも嬉しそうに。そしてミサトさん、ニヤニヤしないでくださいよ、何を期待しているんですか。

「凄く似合うよ」

「気の無い返事ねえ〜もっと褒めなさいよ」

「す、素敵だよ。すっごく似合うよ」

「ふふ、ありがと。気分良いから散歩に行きましょう」

「ええっ!?それを着て」

「そうよ、美しいアタシが着ているんだからみんなが振り返るわよ」

 確かにある意味振り返るな。

「そ、それはダメだよ」

「なんでよ〜?」

「そのTシャツは室内用なんだよ」

「室内用?なによそれは」

「し、室内用はパジャマと同じなんだよ。アスカはパジャマを着て外にでないだろう」

「確かにそうね」

「シンちゃん流石ね」

「ミ、ミサトさん」

 ミサトさんがアイコンタクトを送ってきた、『言い訳が上手になったわね』だって・・・誰のせいで上手になったと思っているんですか!

「だから着るのは家だけにしなよ」

「ん〜〜残念だけどしかたないわね」

 ふう〜〜〜納得したようだ、また喉が渇いちゃったよ。お茶を飲みに行こう。











 ゴクゴクゴクゴク

 ぷは〜〜〜生き返るなあ〜ミサトさんも困ったものを買ってくるなあ、アスカがTシャツを着る日は休まる暇がないよ。







ウッキ〜〜〜〜!

 な、なんだ!?アスカの叫び声がリビングから聞えたぞ。

「こら〜〜〜ミサト!アタシを騙したわね」

「騙してなんか無いわよ」

「ア、アスカどうしたの?」

「この漢字はサルって漢字だったのよ」

「ええっ!どうしてわかったの?」

「シンジ〜アンタも知っていて騙したわね」

「あ、いやその・・・」

 どうやらテレビのニュースで猿が出て字幕に漢字が出て知ったらしい、バッドタイミングだな。

「二人とも同罪ね、まずはシンジ!アンタから死ぬといいわ」

「し、死ぬってそんな・・・」

「覚悟はいいかしら」

「覚悟もなにも・・・」

 ああ、僕は儚き命を散らせてしまうのだろうか。

お逝きなさ〜〜〜〜い!

ぎゃっ〜〜〜〜〜〜〜!

 アスカの回し蹴りが僕の頬に直撃した。

 はうう、意識が薄れ行く中、回し蹴りでTシャツが少し捲れてアスカのブラジャーが少し見えたことをヨシとして死に行こう・・・ピンクだったよ・・・


 ミサトさんのおみやげに喜ぶシンジ君達、ミサトさんもたまにはいいことをします(笑)

 でもアスカちゃんのおみやげは・・・漢字の意味を知ってしまったアスカちゃん、早速シンジ君にお仕置きですね(^^;)次はミサトさんの番ですけど、すでに逃げていませんでした。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION おみやげ