おねがい

 あ〜あちいわね〜歩くだけで汗ダラダラだわ、早く帰ってアイスを食べようっと。

 あら、あの後姿はファーストじゃない、あれは笹?笹を持っているの?どうしてかしら。

「ファースト、アンタ何やってんの?」

「何って何が?」

「それよ、笹なんかどうするのよ」

「七夕」

「へ?」

「明日、七夕だから飾るの」

 あ〜七夕ね、すっかり忘れていたわ。

「そんなイベントよく覚えているわね」

「物覚えいいから、頭が悪いお猿さんとは違うわ」

「誰が頭悪いよ、アタシは頭悪くなんかないわよ」

「お猿さんって言ったのよ、誰もアスカの事を言ってないわ。もしかしてお猿さんなの?」

「ち、違うわよバカ〜」

 あ〜ちょっと笑っているわ、むかつく〜

「さよなら」

「あっどこ行くのよ」

「帰るの、家でお願い事を書くの」

「待って!お願い事書くんならアタシんちで書かない?」

 アタシもお願い事書きたいわ〜

「いいわよ」

「OK〜決まりね」

 何をお願いしようかしら、いっぱいい〜〜っぱい書くわよ〜








「さああがって」

「おじゃまします」

 シンジはまだ帰ってきていないわね、どこで遊んでいるのかしら。

「ジュース持ってくるからゆっくりしていて」

「うん」

 ふんふんふ〜〜ん、オレンジジュースを入れて、オヤツはおっ!シュークリームがあるわ、いただき〜





「あっもう書いてる」

 リビングではすでにファーストが短冊に願い事を書いていたわ、早すぎよ。

「何を書いたの?」

「秘密」

 秘密って言っているけど、こっそり見ちゃうわよ。ええ何何〜胸が大きくなりますように〜?フッ乳なしの大きな悩みね。

「アンタそんなに胸がないの?」

「こっそり見たのね」

「見えたから見たのよ。大きくなりたいって今のサイズは何カップよ」

 そんなに無いようには見えないけど。

「・・・カップよ」

「・・・カップ〜?十分あるじゃない」

 中学生では大きいほうよ。

「葛城三佐みたいにバイ〜ンってなりたいの」

「ミサトみたいになりたい〜?やめときなさい、ミサトみたいに大きくなったら歳を取るごとに垂れてくるわよ」

「垂れるの?」

「ええ、ミサトなんかもうすぐ三十路だからやばいわよ」

 それにお腹の肉が付いてきているから更にやばいのよね。

「そうなの、じゃあやめるわ」

 やっぱり垂れるのは嫌よね、アタシは何を書こうかな。

「ええと、お小遣いが増えますように」

 今のお小遣いじゃすぐに無くなっちゃうのよね、お洋服も沢山買えないわ。

「凄く現実的なお願いね」

「良いじゃない、お小遣い沢山欲しいんだもん。アンタだって欲しいでしょ」

「欲しいわ、私も書く」

 ファーストもアタシと同じお願い事を書いたわ。ファーストはお小遣いをリツコから貰っているのよね、結構少ないみたい。

「次は美味しいものを沢山食べれますように」

「いつも食べているじゃない」

「え、いつも?」

 食べていたかしら?

「碇クンのご飯、美味しくないの?」

 あっシンジのご飯ね、確かに美味しいわね。

「美味しいわ、じゃあこれはヤメね」

「私は書くわ、碇クンのご飯が食べたい」

 ファーストは一人暮らしだから大変よね、家事は自分でしないといけないから自由になる時間があまりないのよね。

「そうだ!ファースト、今日泊まっていきなさいよ」

「泊まっていいの?」

「シンジのご飯も食べれるから七夕前に願いが叶うわよ」

「ありがとう、嬉しい」

 あらたまって礼を言われると照れるわね。

「良いってことよ、ゆっくりしていきなさい」

「うん」

 うふふ、アタシってなんて優しいのかしら、こんなに優しかったらアタシのお願い事も絶対に叶うわね。


 七夕前日、レイちゃんとアスカちゃんのお願い事は凄く現実的(^^;)

 お小遣いアップは無理と思いますけど、シンジ君のご飯を食べる事はすぐに叶いますね。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION おねがい