泳いで
「あっっつ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぅ」
外を歩くだけで汗がダラダラ、イヤになっちゃうわ。はあ〜買い物なんかに付き合わなければよかったわ。
「シンジ〜アイスちょうだい」
「もう少しで家に着くから我慢しなよ」
「え〜ヤダヤダ〜汗かいた、喉渇いた、アイス分が不足しているの〜〜」
アタシが選んだアイスだからすぐ食べる権利があるのよ。
「はいはい、あと五分したら食べて良いよ」
「あと五分って、もう家に着いているじゃないのよ」
「うん」
「うん、じゃないわよ〜あ〜暑くて死にそう〜〜泳ぎたいわ〜〜」
「じゃあこの後プールに行こうか?」
「プール?いいわね〜それじゃあ早く帰って準備するわよ」
ネルフのプールなら思う存分遊べるわ。
「わあっ待ってよ」
「ほら、早く走らないと置いて行っちゃうわよ」
家に帰ってアイスを食べたらプールに行くわよ〜〜
「アイス、アイス〜〜」
買ったアイスはスイカバー、美味しいのよね〜
「クエクエ」
ペンペンも喜んでいるわ、暑さに弱いから大変よねえ。
「ペンペンもプールに行くかい?」
「クエ」
ペンペンも行くんだ、今日のペンペンは温泉ペンギンじゃなくてプールペンギンね。
「ん?」
「アスカどうしたの?」
「なにか忘れているような気が・・・」
え〜と、なんだったかしら?もの凄く重要な事・・・プールに関する事・・・
「あっ!」
「ど、どうしたの?」
「新作の水着を買っていないわ」
「な〜んだそんな事か」
「そんな事かじゃないわよ、女の子にとっては重要な事よ」
「去年の水着は?」
「去年の水着は去年の水着よ。古いの着れるわけないじゃない」
「じゃあ買いに行く?」
「買いに行く時間で一日が潰れちゃうわ」
プールに行けなくなっちゃう。
「じゃあ去年のを着なくちゃいけないね」
「はあ〜しょうがないわ、準備してくるわ」
アタシとしたことが不覚だわ、水着を買うのを忘れるなんて・・・
去年の水着は引き出しの奥だったわね。
何段目だったかしら?自分でしまったのに忘れちゃったわ。
ええと〜確か一番したの段だったわ・・・ビンゴ〜大当たりだわ。
ん?お尻のところが、ゲッ穴が開いているわ、虫に食われちゃっている〜
これじゃあプールに行けないじゃない、防虫剤をもっとたくさん入れておけばよかったわ。
他に水着はなかったかしら?ええと、ええと〜〜
・・・こ、これしかないのね。
「アスカ〜準備できたかい?」
部屋の外からシンジの呼ぶ声が、う〜〜〜ん・・・しょうがないこれでいいわ。
あっつう〜〜ネルフに来るまでも暑かったわ、帰りはミサトに送ってもらおうっと。さあ水着に着替えて・・・
着替えて・・・
着替えて・・・
着替え・・・ここで着るのはちょっと抵抗があるわね、でもしかたないわ。
「シンジ〜お待たせ〜」
「やあ遅かった・・・ね。そ、その水着は?」
「スクール水着に驚くんじゃないのよバカ!これしかなかったのよ」
まったく恥ずかしくて顔が真っ赤になっちゃったわ。
「クエックエ〜」
ペンペンはもう泳いでいるわ、まあいつも裸だから準備も早いわよね、それじゃあアタシも泳ぎますか。
「アスカ、準備運動は?」
「したわよ」
本当はしていないんだけど、しなくてもアタシの素晴らしい運動神経なら問題ないわ。
「ふう〜気持ちいいわ〜〜」
水が冷たくて最高〜ずっと泳いでいたいわね、それ〜〜
「クエックエ〜」
「ペンペン速いわね」
さすがペンギン泳ぎが上手ね。
「でもアタシの方が速いわよ」
スラリと伸びた長い手足、学校でも一番速いわよ。
「クエクワ」
「えっじゃあ勝負してみるですって?いいわよ、勝負してあげるわよ」
「アスカやめなよ、相手はペンペンだよ」
「どうしてやめなきゃいけないのよ?アタシが勝つに決まっているでしょう」
「ペンペン速いんだよ」
「クエクエ」
ペンペン自信たっぷりね、でもアタシが勝つ!
「それじゃあペンペン勝負よ、距離は100メートル。シンジ、スタートお願いね」
「あ、うん。それじゃあ位置について〜〜よ〜〜い、ドンッ!」
とええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!
決まったわ、最高のスタートダッシュ、これまでで最高のスタートだわ。ほらペンペンがもう後ろに・・・
「クエックエ〜」
速っ!もうはるか先じゃないのよ、なんて凄い速さなの卑怯よ。アタシもエンジン全開よ〜〜
「んきゃっ!」
あ、足が攣った〜〜
「アスカッ!」
「クエックエ!」
足が動かない、溺れるのねアタシ・・・短く儚い人生だったわ、美人は早死にするって本当だったのね。薄幸の美少女アスカ・・・さよなら。
「クエックエ」
「アスカ大丈夫?目を開いて」
・・・ん?シンジとペンペンの声が聞えるわ、アタシ助かったの?どうやら神様は美少女天才なアタシをまだ必要としているのね。
「クエクエ」
「えっ人工呼吸?僕がするの?」
人工呼吸?シンジがするの?それってもしかして・・・アタシは意識はあるけどこのまま目を閉じていた方がいいのかしら?
「クエクエ」
「う、うん」
なんだかドキドキしてきたわ、ドキドキ、ドキドキ。さあアタシはいつでもOKよ。
チュ
ああっこれがシンジの人工呼吸・・・って何だか固いわね、唇が痛いわ。
ちょっと痛すぎ、シンジのバカ緊張しすぎよ、眼を開けて驚かしてやるわ、それ〜〜
「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「クエ」
人工呼吸をしていたのはペンペンだったの、アタシの唇が〜〜〜〜〜〜〜!
「ふ、ふにゃ・・・あれ?自分のベッド?」
ベッドで昼寝していて転げ落ちたみたい、あ〜〜変な夢見ちゃったわね。正夢にならないように水着を買っておかないといけないわね、後からシンジを誘って買いに行こうっと。
暑さに弱いアスカちゃん、夏はプールで涼みます。でも水着が(^^;)
ペンペンと勝負して当然負けて溺れて・・・夢オチ、アスカちゃんへっぽこの夏ですね。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 泳いで